藤本ひとみのレビュー一覧
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ネタバレ黒木くんの真実を知って、思わず息を呑んだ。そんな子って、物語中にしかいないよね。そう信じたいけど、実際はどうなんだろう。人権なんかない国だってあるだろうし、似たようなことをされている人がいるかもしれない。私が住んでいる日本ではそんなことないと思うけど……ないとも言い切れない。
面白いというよりも、切なかった。入院中に読んだ本だったけど、その時は不安でいっぱいの気持ちだったので、あんまり読む時としては適してなかったかも。
彩が主人公の本は読んだけど、こんな切ない思いにはなったことがない。ホラーは苦手なので、殺人モノとかは無理なんだけど……ちょっと怖かった。それにしても良作だと思う。 -
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朝日小学生新聞に連載されていたものが一冊になった巻。最初は登場人物紹介、あとは少し大きめの謎解き一つと、上杉&あーやのコンサート小ネタ、ラブエッセンス入りです。
この辺からクラッシックネタ結構入って来ますね。KZは小知識話が結構楽しいなぁと思ってるので、どんどん広げて欲しいです。
新聞連載って、毎日カラーで挿絵入れるから、絵描きの方は大変だろうなぁと拝察します。でも、この本では白黒で何時もより多めに掲載されてる程度。なんか、もったいないです。東京新聞に連載されていた辻村深月の天体&高校生話にも毎回スカイエマさんの美麗なカラー挿絵あったんですが、きっとハードカバーになったらほぼ載らないですよね。あ、KZには関係なかった。 -
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ネタバレ何のために、どのように、生きるのか。
高速道路の建設が予定されている長野県下伊那郡に向かった小塚。そこで住民たちの対立や乱暴な男たちを見かける。数学の順位を落とし落ち込んでいるらしい上杉を誘い、後から来るはずだったが上杉は来ない。上杉は拉致されていた。小塚が身を寄せた寺の住職の息子がヘリの落下事故で亡くなる。そこにも謎が付き纏う。黒木にSOSを出したら、若武も付いてきた。上杉の生死は、麻薬栽培の証拠は、ヘリ墜落の秘密は、高速道路反対派を結ぶ線は?
自分の世界を見つけたようで、まだ自分に自信を持ち切れていない小塚。「トロい」と言われがちな小塚が、全力で動く。すべては友を救うために。証拠を集めても動いてくれないことにショックを受ける小塚に、彼の見ている世界はやはり純粋、もしくは世間から隔絶していると思った。父親も浮世離れした研究者だというし。黒木のようなフィクサーや若武のようなエネルギーの塊がいないと、世間と渡り合うのは難しいのかも。でも今回の事件で全力で動いて最善を掴み取って、桃香の思いを受け止められたことが自信につながるといい。
生死のギリギリにいる上杉先生の思考が面白すぎる。笑い事ではないんだけど。若武の承認欲求というか目立ちたがりがもはや怖い。これくらいのメンタルあると周りを謎に引き込んでしまうのもわかる。でも自分の周りにはいてほしくないかな。なんでここまで、とはちょっと思うけど。
暴力に土砂崩れに命がいくつあっても足りないKZメンバー。生きてるだけで充分だ。だけどそれだけでは満たされない、それが人間の欲。 -
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ネタバレヒーローになるんだ。
上杉は疎遠になっていた幼馴染の小林を誘い、小塚とともに京都へ向かう。黒木からの誘いだった。そこには村上聡をはじめ旧財閥の三住グループの重役たちが揃っていた。かつて小林が大変な時に寄り添えなかったことを気にしていた上杉は、彼の中に潜むエネルギーに不穏なものを感じる。いつになく荒れている黒木、相変わらず自分の興味にまっしぐらな小塚とともに、灼熱の古都で上杉たちが出会った謎と正義とは。
石綿と手榴弾はすぐに気付いたが、肝心のなぜ隠されていたかは掴めず。古都は古都でも長岡京というのが面白い。早良親王になぞらえた兄と弟の関係性が明らかになるところは、すべてがつながっていく感覚でミステリの醍醐味。
ミステリアスで大人びた黒木が上杉の胸で泣く。ここはなかなか重要なシーン。全体的には上杉の語りがメインで、いつものように上杉は数学の客観性と絶対性を愛しながらも、曖昧で繊細な人間関係の綾に手を伸ばす。小林や黒木にぶつかっていくだけでなく、ラストで犯人にも思いをぶつける上杉。閉じこもらない上杉はカッコいい。カッコつけきれてなくていつもより生身っぽい黒木もいい。
ゲストキャラ、アウトローの小林。頭の良さは上杉の語るエピソードでもわかったが、彼の本当に魅力的なところは、大それたことを計画しながらも人情を捨てきれていないところ。ヒーローを志す人間なのだから、情に弱くて当然といえば当然なのだが。それにしてもアパートの部屋に残された赤い文字はなかなか中学生男子の自意識が効いている。多くは夢想しても実行できず、ヒーローにはならないわけで、結果だけ見れば小林も行動は起こせなかった。しかしKのための志は別のかたちで果たし、上杉の視点では1人のためのヒーローになれそうである。
小林の心をほぐした小塚。あまりにまっすぐな言葉が出るところは確かに中学生男子の世界では生きにくいかもしれないが、彼にはそれを凌駕する森羅万象への情熱と、周囲との距離を気にしすぎない決心があった。もし小塚が何も起こらず蜂の巣から石綿の秘密を知ったならどうしていたのだろう。村上に伝えたら隠蔽される可能性を考えて、警察に持っていっただろうか。村上の良心を信じて伝えただろうか。森羅万象の観察から真実を掴む者としての小塚の姿が好きなので、ふとifを考えた。 -
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ネタバレ中学生だった自分がこんなに事件に遭遇してたら、、まぁ一生の大事件だろうね。
黒木くんが矢口沢さんに
『人間は誰も、生まれるところを選べない。どこに生まれ、誰を親にするかは、運命に任せるしかないんだ。でもそれは、長い人生のスタートラインってだけの話だよ。歩き出し、走り出せば、スタート地点なんてドンドン遠くなっていく。自分の行き先は、自分次第だ。どうにでも変えられる。頑張れよ!離れてても応援してる。カッズの皆で見守っているからね』
胸に沁みます。
ただこの言葉は、最低限必要な衣食住と教育を受けられた人にしか当てはまらないよね、とも思う。