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Posted by ブクログ
これぞ歴史小説だと大声で言いたくなるほどの傑作だった。多くの策謀の中でたった一つの王座を巡り二人の兄弟が争う様は何よりも貴き運命的なものを感じた。
歴史小説というものは事前に史実を知っていれば物語がどの様に推移していくのか大体想像することができる。だからこそ一つ一つの展開をどれだけ味のあるものに料理できるか、その腕前が問われる。その時およそ二つの描き方があると思う。主人公を稀に見るような傑物として英雄伝にするか、歴史の荒波にもまれる人々の群像劇とするか。この藤本ひとみ先生はどちらかというと後者の色合いが強いように感じる。もちろん、類稀なる知略を持つ知将は登場するが、あくまでもその人物は補佐役に徹している。主人公はひたすらに足掻く。時には誰かに助けられ、時には誰かを利用して。私はそういう作品が大好きだ。
中盤辺りからクライマックスへの流れは特に素晴らしかった。二極的に展開される物語により息もつかせぬ流れになっていたのは読んでいて全く飽きさせなかったし、歴史小説にありがちな難解な点もほとんど気にならなかった。クライマックス数ページでは予想もしなかった展開が広げられ驚愕してしまった。
後書きにより作者の作品に懸けた思いも垣間見えたし、作品リストを見ることもできた。おそらくこれからしばらくはこの人の作品ばかり追う事になるかもしれないと思えるほどの力作だった。
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小説・文芸
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