宮島未奈のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今月、宮島未奈さんの作品は2作目。
文体が読みやすくて、あっという間に読み終えてしまいました。
タイトルからして、YouTubeでよく見る、結婚相談所のおばさんが相談者にダメ出しするような内容を想像していたのですが、そこまで過激なものではなかったです。
婚活パーティーの運営者側を描いた小説でした。
私自身、婚活パーティーについてはTVのドキュメンタリーを見たくらいの知識しか持ち合わせていないのですが、結構ネタの宝庫なんだなぁ、と思いました。
運営側にとってはお仕事なので、日常の一コマなのかもしれませんが、この世界を知らない者からすると、「そんなこともあるのか?」と驚くような事態が次々と起こります。
中でも印象的だったのが、主人公が初めて参加した婚活パーティーでの出来事。
めでたくカップル成立したと思いきや、相手の女性から高額勉強会の勧誘を受けるのです。
弱みを持った人間は、どの時代もカモにされやすいんですよね。
せっかくカップルになれたと思ったのに、天国から一転、地獄に突き落とされるかのようです。
読んでいて、婚活パーティーの運営事情も気になりました。
この小説では描かれていませんでしたが、カップリングが成立すると、キックバックとしていくらか入ってくるのでしょうか?
その辺の懐事情が気になりました。
参加者からの参加費だけでは赤字だよな……。
そして、この小説でいいなぁと思ったフレーズがありましたので、紹介したいと思います。
「時間が溜まっていくのがいいんです。タイマーだと0になってしまうけど、ストップウォッチなら5になるじゃないですか。結婚するかもしれない二人の、最初の5分間なんです」
トークタイムの時間を測る鏡原さんに、タイマーではなくストップウォッチを使う理由を尋ねた時の回答です。
こういう考え方、好きなんですよね。
効率だけで考えたら、きっとタイマーです。
でも、こういうちょっとしたところにロマンを求めながらお仕事をする方って、いいなぁと思います。
目の前で繰り広げられている婚活パーティーの「今」だけではなく、その先まで考えているからこそ言える言葉なんだろうなぁ、と。
YouTubeで見る婚活といえば、相談者が強烈なダメ出しをされ、しょんぼりしながらもそのアドバイスを受け入れ、目標である「結婚」を達成する!みたいなものしか見てこなかったせいか、この小説の婚活パーティーはかなりアットホームなものに感じました。
5,000円の参加費で、困っていたらスタッフがフォロー。
プロフィールの書き方をレクチャーしてくれたり、会話の仕方までアドバイスしてくれたり。
そこまでやってくれるなら、むしろ安いんじゃないかとさえ思えてきました。
作品の中では、婚活アプリで結婚したという猪名川の友人も登場します。
今どきだなぁ、と感慨深いものがありました。
アラフィフの私にはなかなか想像しにくいのですが、今の時代は出会いもIT化しているんですねぇ。
婚活というと、どうしても「結婚できるか、できないか」という結果ばかりに目が向きがちですが、この作品では、その場を支える人たちの仕事や考え方まで描かれていました。
婚活パーティーという知らない世界をのぞきながら、人と人が出会う場を作る仕事についても知ることができる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
成瀬シリーズの宮島未奈さんの作品とのことで、読んでみました。
平安部。
聞いたことのない部活名。笑
そして、この表紙のイラスト。
これだけでも、青春を感じさせるストーリーであることが察せられます。
学生時代の部活って、人間関係を構築する上で重要な要素ですよね。
クラスメイトには、価値観も趣味趣向も合わない人がいるけれど、部活には「同じ目的」がある。
だからこそ、自然と似た価値観や趣味趣向を持つ人たちが集まりやすいのだと思います。
しかも、共通の目的があることで、「会話がなくて気まずい……」みたいなことも起こりにくいじゃないですか。
この小説を読んで強く思ったのは、
「自分の居場所がなければ、作ればいいんだよね」
ということです。
別に、学校の中だけで作る必要はない。
学校の外に作ったっていい。
すでに出来上がっている組織やチームに後から入る場合、そこにある空気に自分を慣らしていく必要があります。
でも、自分が初期メンバーであれば、その場所を少しずつ自分たちの色に染めていくことができるんですよね。
平安部も、5人それぞれの長所が混ざり合うことで、一つの部として成立しています。
そして何より印象的だったのが、誰一人としてネガティブなことを言わないこと!
とりあえずやってみる。
面白そうなら挑戦してみる。
その姿勢が、とにかく清々しかったです。
私自身、歳をとったせいなのか、挑戦する人を少し斜め上から見てしまうことがあります。
「それ、うまくいくの?」
「無理なんじゃない?」
そんなふうに、冷めた目で見てしまうことがある。
大いに反省です。
駄目ですね。
挑戦して、何らかの結果が出るからこそ、見える世界がある。
成功しても、失敗しても、やってみなければわからないことがあるんですよね。
平安部の5人の成長たるや、目を見張るほどです。
最初から何でもできたわけではない。
でも、挑戦を重ねることで、それぞれが少しずつ変わっていく。
そんな姿を見ていたら、
「明日も仕事、がんばろう!」
と思えました。
大きなことでなくてもいい。
小さくてもいいから、私も何かに挑戦してみたい。
そんな前向きな気持ちをもらえる青春小説でした。 -
Posted by ブクログ
ごくごく普通の高校生の入学から半年くらいの活動を、ちょっとぬるく追いかけた小説。「平安部」という部活動を作るという前振りから、もっとマニアックな物語を想像していたが、拍子が抜けるほど普通の高校生の普通の活動の話で、ほのぼのと気持ちがよかった。
登場人物の色分けがいい感じで、どこにでもいそうだけれど、少し癖がある人間像をうまく配置していると思った。そして、誰もがちゃんといい人で、安心してほっとしながら読めるのだけど、ちょっと物足りないような気もした。ささやかな「闇」も物語の中には感じられるのだけど、そこが前に出てくると、物語の深みのようなものが増したがした。しかしまあ、この小説にそれを求めるのは野暮というものだろう。
「平安部」の快進撃に「うまく行きすぎ」と思わなくもないのだけど、リアルさが失われていないのはすごいと思う。蹴鞠の大会なんて、ありそうでしかも初出場で優勝しそうで、しかもちゃんとバズりそうで、絶妙な設定だと思った。学校の組織については、ちょっとツッコミを入れたくなるところがないわけでもないが、こういう学校もあるかもしれないし、誰もが善意を前に出してくるファンタジックな物語世界の中では、こんな学校が嬉しい。
ぬるく、気持ちよく付き合える物語だった。