オリヴァーサックスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
脳神経科医オリヴァー・サックスによる、1985年発表の医学エッセイ。
サックス教授は、自らの患者の脳神経に起因する奇妙で不思議な症例を綴った多数のエッセイ集を発表しているが、本作品は、後に映画化された『レナードの朝』(1973年)に次ぐ代表作のひとつである。
本作品では、症例を大きく「喪失」、「過剰」、「移行」、「純真」の4つに分けて24篇が収められているが、「喪失」の部では、視覚、記憶、身体の認知、空間認知などの障害を示す症例が示した奇妙な現象、チックに伴う暴言、人の間違い、切断された足の幻影など、「過剰」の部では、てんかん発作などに伴う幻覚、夢など、「移行」の部では、知的障害や自閉症の高度 -
Posted by ブクログ
ネタバレそういうわけで読んでみた。
映画のおかげでタイトルは「レナードの朝」だけれど、原題は「Awakenings(目覚め)」。
本を売るには知名度の高いこのタイトルの方が良いんだろうけど、
中身はやはり「目覚め」だよな、と思う。
出版社も慈善事業じゃないのでしょうがないけど、
ちょっと陳腐化されたようで残念。
これは執筆当時(少し前)に「奇跡の薬」と呼ばれた
L-DOPAという薬の投薬記録以外の何物でもない。
はっきりとメカニズムがわかっていなかったが故にどうしても実験的な色彩を帯びてしまい、
読者はオリヴァー・サックスの判断に
疑問を感じることになるのは避けられないのではないだろうか。
『火星の -
Posted by ブクログ
ネタバレ基本的には読み終わっていない状態では更新しないのだけど
(他の呼んでいる途中の本は今のところ改めて手に取るつもりはない)。
「最後のヒッピー」というタイトルで書かれたストーリーに
あまりにも心を打たれてしまったので。
脳に損傷を受けてしまい新しい出来事を覚えられない青年グレッグの話。
脳が損傷したために新しいことを覚えられない、とか、
病気のために記憶がどんどん失われていく、とか、
こういう記憶関係の障害の話は弱い。
悲しすぎるので。
本人は喪失すら気づけず、考えようによっては幸福とも言える状態なのだけど、
でもやはり、却って、と言うか、絶対的に、悲しい。
グレッグのケースは特に、
表面の意 -
Posted by ブクログ
この本に出てくる患者達のほとんどは病気に苦しみながら、完治する見込みがない。
悲しくなってくるが、病気をむしろ見方に付けている例も少し出てくる。
TVでこのような不思議な症状が紹介されているのを見て、生まれつきのものだと思っていたが、過度の飲酒、薬、事故、脳卒中、熱病などによるものが多く、誰にでも起こりうると知り、人間の脳は遺伝情報以上に神秘的に思えた。
しかし精神科医というのは何のために存在するのだろう。
症例を観察し、発表するだけ?
薬を打って一時的に緩和するだけ?
本書には患者の心に寄り添い心の声を聞く事が大事とあったが、それは医者でなくてもできると思う。
本書の中の考察を見ると、哲学