オリヴァーサックスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
見てしまう人びと、やばい人の話っぽいタイトルであるが、医学的にはよく知られた幻覚について、書いた本です。患者の体験をいきいきと描くのが、オリバーサックスさんのスタイルで、この本でもそれが生きていると思います。著者自身が見てしまう人びとだからか、自身の体験が多く出てきますが、僕自身は、熱が出ても何も見えないし、寝たり起きたりしても何も感じないし、宗教も信じない人なので、脳疾患の人々以外の部分に関して、これほどあるのかな~と疑問を感じました。脳のメカニズムに関して、一部記載がありますが、手紙などからの体験が多く、もう少し脳について語ってほしい気はしました。
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Posted by ブクログ
以前からこの本のハードカバー単行本を書店で見かけ、気にはしていたのだが、突然文庫化されたので早速買ってみた。
著者は「レナードの朝」で有名な脳神経科の臨床医で、ここでは音楽にまつわる様々な脳現象(音楽が頭から離れない神経症的状況とか、脳の損傷の結果音楽が意味あるものとして把捉できなくなるといった症例とか)を豊富に列挙しており、音楽現象の一面として、興味深い。
ただし、著者は臨床医としての誠実さから、「わからない」ことはわかったように書かないため、諸事象の根本的な理由、その解釈が、読者には呈示されない。
その辺は興味本位で読んでいる我々にとってはちょっと不満である。解釈のほどこされない諸現象が列 -
Posted by ブクログ
視力にまつわる医学エッセイ。
「みる」「読む」ということが、いかに精妙複雑な働きで成立しているかを教えられる。
反射した光を感知するだけでは駄目なのだ。それを「認識」できなければ意味はない。
りんごを見たとき、脳内で抽象化された「りんご」という概念と結びつけられなければ、その人はそれをりんごとして見ることすら出来ない。「紅くて丸いの」だ。
物の特徴を抽象化して分類することができなければ、隣の人の頭をスイカだと勘違いしたっておかしくはない。
むしろ人の顔を見分けるのすら高度なワザに思えてしまう。
立体視の素晴らしさについての体験記はとても心を打つ。
雪の一ひら一ひらのなかに身を置く自分を実感す