オリヴァーサックスのレビュー一覧
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人間の脳がいかに可塑的で適応能力があるかをわからせてくれる本。脳の障害はある意味で突然変異と同じ意図で人類がわざと発生させているのではないかとさえ思わせる。ひとつの短所は長所と裏返しでしかなく、その意味で知的障害は当人にとっては大きな苦痛を与えるが、人類の長い歴史にとって必要なことなのかもしれない。
火星の人類学者ではもし人造人間が出来たら彼女のようになるのかもしれないと少しぞっとしたが、そのような彼女に対して著書と同じように抱きしめたい感情になった自分に複雑な思い。
本書の症例は特殊な状況ではあるが、あとがきにもあるように、じつは「人間が置かれた普遍的な条件」を拡大させて見せているにすぎない。彼らの置かれた状況は我々の人生にもより緩やかな形であらわれているのである。 -
Posted by ブクログ
これはほんとに良く出来た医学ノンフィクションだった。内容忘れたら訳者のあとがきにうまいまとめがあるので、それを参照してほしい。一応一言でまとめておくと、以下の7つ。?色盲になってしまった画家の話?記憶が1960年代で止まって更新できなくなってしまった男の話?トゥレット症候群(チックのような行動や発言をしてしまう病)の外科医の話?40年全盲だった男が視力を回復した話?少年時代を過ごした村の記憶がとめどなくあふれだしてしまう画家の話?自閉症(サヴァン症候群)の天才少年画家の話?自閉症の天才動物学者♀の話(火星の人類学者)全て質の高い物語だが、なかでも出色は?、?、?。?の男の父親が死んだ時のエピソードで危うく泣きかけた。?では、自分を締め上げる機械を自作してそれによってやすらぎを得るということを無感情に告白することの悲哀を感じた。これ原題は"An Anthropologist on Mars - Seven Paradoxical Tales"ってなってて、副題の部分は直訳すれば、「矛盾に満ちた7つの物語」ってなるわけで、邦題とだいぶ違ってる気がする。おそらく分かり易さ・瞬発力を重視したんだろうけど、原題の方がかっこいい気がする。まあParadoxicalのうまい訳がないから伝わりづらいってのもあるんだろうけど。
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Posted by ブクログ
脳神経医のオリヴァー・サックス博士が1997年に執筆した医学エッセイ。前半の全色盲の人が暮らす島(ピンゲラップ島)へ行く話は、楽しい旅行記のよう。特に夜釣りの情景は美しかったです。同じく全色盲のクヌート・ノルドビー博士とほぼほぼ初対面で一緒に旅したのだから、なんという陽キャ!
※ ちなみに島民全員が全色盲なのだと期待したけど、全体の10%くらいだそうな。
後半は一転してグアム島特有の神経難病、リティコ・ボディグを巡る旅。グアムで20年リティコ・ボディグの原因を調査しているジョン・スティール博士と、重度の神経難病患者を巡る描写は、結構つらいものがありました。前半読んで、「読んだらグアムに行ってみたくなっちゃうかも〜(ピンゲラップ島よりずっと行きやすいし、いいな)」と思っていたら全然そんなことなかった(汗)。この難病、結局、未だに原因が解明されないまま患者が激減し、ついに途絶えたようです。著書は島民が難病患者たちを温かく受け入れて介護している様に感動していて、それに比べて米国は…と嘆いていたけれど、どうなのでしょうね。やっぱり一緒に暮らして介護したり、頻繁に病院に行くご家族も大変だと思うけど。
最後は怒涛のソテツ話。シダ植物好きっているのですね(著書のオリヴァー・サックス博士がそうなのですが)。ソテツとは太古の昔から生えてるシダ植物だそうで、植物なんて食えるか食えないかにしか興味のない自分には、ややツラかったですが、読み終わる頃には、植物園に行きたくなりました。
ミクロネシアの豊かな生活の中に、西洋化や太平洋戦争の影響が色濃く残っていて、随所で悲しい気持ちになります。日本軍による侵略の爪痕も残っていて…「太平洋」戦争って、「太平洋」戦争だったんだな、と当たり前の感想ですが、改めて実感した次第です。(日本のグアムのリゾート開発の話も出てきた。なんかホント申し訳ないです。)
なにはともあれ読み終わるのに1ヶ月以上かかった!ずっとミクロネシアを旅してた気分!
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Posted by ブクログ
●感想
サックス博士の患者さんへの眼差しが、その個人個人に寄り添ったものであり、決して上から目線や興味本位でないのが心地よかった。脳って本当に不思議。これまでの経験は、ふだん取り出せないだけで全部記憶されている、音楽をきっかけにしか思い出さないことがある、など自分の経験のなかでも納得がいくものもあった。だから、不思議な症例に見えても、そんなこともあるだろうなと思えた。
●本概要
頭がオルゴール? 化粧は右半分だけ?
『火星の人類学者』のサックス博士が
奇妙な患者たちを優しく見つめた代表作
妻の頭を帽子とまちがえてかぶろうとする音楽家、からだの感覚を失って姿勢が保てなくなってしまった若い母親@@脳神経科医のサックス博士が出会った奇妙でふしぎな症状を抱える患者たちは、その障害にもかかわらず、人間として精いっぱいに生きていく。そんな患者たちの豊かな世界を愛情こめて描きあげた、24篇の驚きと感動の医学エッセイの傑作、待望の文庫化。