あらすじ
先天的に色彩感覚をもたずモノトーンの視覚世界で暮らす人々がいるピンゲラップ島とポーンペイ島。原因不明の神経病が多発するグアム島とロタ島――脳神経科医のサックス博士はミクロネシアの閉ざされた島々に残る風土病の調査に訪れる。島の歴史や生活習慣を探るうちに難病の原因に関わる思いがけない仮説が浮かび上がるのだが……。美しく豊かな自然とそこで暮らす人々の生命力を力強く描く感動の探訪記。
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Posted by ブクログ
全色盲に興味があり読み始めたが、全色盲のことを冷徹に学ぶよりも深く、人間の温かみを感じながら、体全体で「知る」ことができたような、そんな感覚を抱く本だった。その上、全色盲だけでなく、神経疾患について、熱帯の島々の文化について、雰囲気について、人間関係について、シダについて、ソテツについて……等など、著者が見た景色、感じたものがそのまままるっと込められていて、良い「熱さ」が迸る本だった。特に自分はシダについて興味があるので、シダに関する記述が異様に細かく、熱量があることに親しみを感じた。ソテツについても勉強したいと思った。
Posted by ブクログ
脳神経医のオリヴァー・サックス博士が1997年に執筆した医学エッセイ。前半の全色盲の人が暮らす島(ピンゲラップ島)へ行く話は、楽しい旅行記のよう。特に夜釣りの情景は美しかったです。同じく全色盲のクヌート・ノルドビー博士とほぼほぼ初対面で一緒に旅したのだから、なんという陽キャ!
※ ちなみに島民全員が全色盲なのだと期待したけど、全体の10%くらいだそうな。
後半は一転してグアム島特有の神経難病、リティコ・ボディグを巡る旅。グアムで20年リティコ・ボディグの原因を調査しているジョン・スティール博士と、重度の神経難病患者を巡る描写は、結構つらいものがありました。前半読んで、「読んだらグアムに行ってみたくなっちゃうかも〜(ピンゲラップ島よりずっと行きやすいし、いいな)」と思っていたら全然そんなことなかった(汗)。この難病、結局、未だに原因が解明されないまま患者が激減し、ついに途絶えたようです。著書は島民が難病患者たちを温かく受け入れて介護している様に感動していて、それに比べて米国は…と嘆いていたけれど、どうなのでしょうね。やっぱり一緒に暮らして介護したり、頻繁に病院に行くご家族も大変だと思うけど。
最後は怒涛のソテツ話。シダ植物好きっているのですね(著書のオリヴァー・サックス博士がそうなのですが)。ソテツとは太古の昔から生えてるシダ植物だそうで、植物なんて食えるか食えないかにしか興味のない自分には、ややツラかったですが、読み終わる頃には、植物園に行きたくなりました。
ミクロネシアの豊かな生活の中に、西洋化や太平洋戦争の影響が色濃く残っていて、随所で悲しい気持ちになります。日本軍による侵略の爪痕も残っていて…「太平洋」戦争って、「太平洋」戦争だったんだな、と当たり前の感想ですが、改めて実感した次第です。(日本のグアムのリゾート開発の話も出てきた。なんかホント申し訳ないです。)
なにはともあれ読み終わるのに1ヶ月以上かかった!ずっとミクロネシアを旅してた気分!
Posted by ブクログ
アメリカンブッダでちらっと題名が出てきたので興味を持って。
思ったより旅行記で全色盲の人の言及が少ない。全色盲や奇病への学術的好奇心や哀れみというよりも、偶然的な条件によってそのような現象が起きる人体の不思議さとその中で共存して暮らす人々への敬意が端々から読み取れる。著者が自然科学への造詣と情熱が深いのでミクロネシアの島々の日差しが強く豊かな自然が生き生きと描写されている。とにかくシダとソテツの説明が長くて詳しい笑
Posted by ブクログ
自在であると思っていることが(時には意識すらしていないことが)、誰かにとっては自在でも当たり前でもない。色彩異常やALSなどの風土病が多発するミクロネシアへ向かった著者の生活のノンフィクション。
果てしない時間を生き抜いてきた植物や菌や自然に囲まれて生きる人間の、戦争や略奪そして忘却の歴史を通じて、人の生き様の密度と短さを思う。
各島でのバラバラの話が、最後、緩やかにつながるような不思議な感覚を覚えた。
Posted by ブクログ
神経科医師のオリヴァーサックス先生のミクロネシア探訪記。ピンゲラップ島とポーンペイ島には遺伝による先天的な全色盲の人が多く存在する。そしてグアム島にはリティコという筋萎縮性側索硬化症に似た進行性の神経麻痺とボディグというパーキンソン病に似た症状で痴呆を伴うことがある、この2つの病気が混ざり合って発症する風土病がある。
医者の記録だから症状の話や病気の原因の考察などがあるがそんな話は置いておいて、こうした原因不明の風土病に対して人間は寛容に受け入れる。これを病気と捉えず、ありのままに家族は受け入れる。何が普通、正常なのか知らないが、病名を付けて騒ぎ立てる現代医療には少し不信感がある。性格にも病名つけてつまらない病気を増やしていると感じている。病気を受け入れるミクロネシアの人たちに共感を覚える
Posted by ブクログ
全色盲の患者さんの多い島とALSやパーキンソン病の症状が多いグアムへの調査旅。グアムってただのリゾートのイメージやけど日本は戦時中にだいぶひどいことしたんやね。この病気とは関係ないけど。