中島らものレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いつだったかなにかしらネタをきめて脳が活発に働くのを感じた中島らもがメモ用紙にアイデアを書き残し、翌日正気になって見るとそこに「冷蔵庫」とだけ書いてあり愕然とした。と言っていたのをこの小説を読んでいて思い出した。きっとラリっていたらもの脳はこの小説のように言葉が確かな意味を持って濁流のように巡っていたのだろう。酩酊状態の思考回路は本人にとっては自己完結的に真理を導くが、ロジックは無視される。意味を成さない言葉の羅列がぎっしり見開きに埋め尽くされているのを見てちょっと笑ってしまったが一字一句網羅する気にはならなかった。めんどくさいから。
町田康の解説が良い。 -
Posted by ブクログ
今は亡き中島 らも氏が、
ご自身の若い頃の出来事や考えなどを交えつつ
世の中のあれこれについて考察する。
一つ一つの文は短編で、文体も「らも節」で
気軽に読めるが、洞察は常に深く、鋭い。
氏特有のシャイで、世の中を斜めに見るようでいて
その実心の中は誰よりもピュアで、傷つきやすく...
それが自分でもイヤで、開き直って大けがして、
それでまた落ち込んで...
という性格? 生活? がよく出ていると思う。
年上の「おっさん」に対して不適切かも知れないが、
とても「チャーミング」である(^ ^;
かなりアクが強いので、好き嫌いは分かれるかも。
が、私のように、らも氏と同じ「万年青春病」を
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Posted by ブクログ
奇想天外過ぎる!
蛇女にしろいきいきデーにしろ、題材は<恐怖>なのにブラックジョークというか、ゆるいというか、陽気。明らかな非日常なのに、淡々と受け入れてしまうような説得力がある。その溝が面白い。
全てが馬鹿話(けなしてない)かと思いきや表題作の「白いメリーさん」だけやるせなさ、「夜走る人」の幻想的な空気、「ラブ・イン・エレベーター」で“恋人の全容を知るにつれ恋愛的興味も無くす”というなかな頷いてしまうようなキッツイ含み、アクセントになっててるせいか印象も強い。
これだけのショートサイズで特濃の空気感を出すのも凄い。なんかジャンル分けしようとすると非常に困る小説です。