山岡荘八のレビュー一覧
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吉田松陰の生涯を描いた山岡荘八著書の2巻目(最終巻)。黒船に乗ろうとして失敗するところから、安政の大獄で斬首されるまで。
松下村塾や野山獄の「教育者」としての描写は若干あっさりしていて、少し残念。
『あらゆる面で「真理」の証明に応えるような人生を志して止まなかった、凄まじい彼の良心は、まさに「神」そのものといってよいほど「高貴な清純」さと底抜けの「善意」に支えられている』
以下引用~
・佐久間象山と先代(真田)幸貫の関係は、薩摩の西郷隆盛と島津斉彬、水戸の藤田東湖と徳川斉昭、越前の橋本左内と松平慶永などの間に劣らぬ、切っても切れない君臣一体の関係だったが、松代藩ではそれに快からぬ老臣たちが多 -
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大権現様が時勢を味方に付けた者との戦いを堪え忍ぶ10巻。
何もかも思い通りにしてきた秀吉だったが、
全てをお見通しの大権現様は思い通りにはならなかった。
だが、平和のために今秀吉を潰すのは得策では無いと考え、
兵を引き、講和を決意する大権現様。まさに神である。
そして苦しい立場に置かれる石川数正。
秀吉派の作家は冷たい徳川より温かい羽柴を選んだとし、
家康派の作家は徳川のために汚れ役を引き受けたとしている。
どちらがより史実に近いのかはもはや誰にも分からないが、
三方原や伊賀越など苦難を一緒に乗り越えて来た
主君や仲間たちをそう簡単に捨てられるかと考えると、
願望もあるが、後者の方がより事 -
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ネタバレ全4巻「柳生宗矩」はでっかいケーキだ。このケーキが甘くて結構美味しい。
1971年、NHKの大河ドラマ「春の坂道」のために書き下ろされた原作。オイルショック直前、いかに自分を社会に生かしていくべきかを描いた作品。ある意味、同じ71年に完結した「巨人の星」と似た一心一徹な生き方の提示であり、そういう生き方が好まれた時代の作品なのかもしれない。
とは言いながら、面白いことには間違いない。リアルタイムで「春の坂道」を見ていたので、宗矩の所作言動はすべて中村錦之助の姿と重なる。世間に反抗するだけの青年宗矩が石舟斎とともに家康と出会い、戦国末期の戦乱から学び、家光までの三代将軍の傍にあって、剣を平和の -