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Posted by ブクログ
尼子の大軍六万に囲まれ、篭城戦をとった元就。大内の援軍も遅参し絶体絶命の状況で、驚天動地の逆転劇。城内で恐怖心を増やさないために、家臣や家族をねぎらい結束を固めていくその心は、多くの経営者にとって模範となるだろう。
元就が中国を制覇したのには、兵法に寄らずに自分の勘を鍛えた天性の才能、幼い頃の不寓による忍耐力もあったろうが、尼子や大内といった強敵の後継ぎがことごとく愚鈍であったということにも負っている。信頼できる家臣にも、息子にも恵まれた。彼が江戸時代に国人のような身分で生まれていれば、一生そのままであったことだろう(よい国家老ぐらいには出世できただろうが)。まさに時代が生んだ寵児である。
元就の成功は、ひとえに彼の人徳と民を憂い国を和平で治める経綸の志があるゆえ。その象徴となっているのが、間諜の成田小五郎と於仙の夫婦の存在感。於仙などは恋愛沙汰をまで操り、大内家内紛の騒動の種をつくりあげる。最後はこの夫婦の別れで締められる。
主家を滅ぼした陶晴賢を厳島との合戦を打ち破ったところで物語は幕を下ろす。以後の尼子とのことは書かれていないが、毛利家が中国を制覇したのは皆が知るところであったので蛇足であったのだろう。
元就の夢は、勤王であり、かつ国土の安定と民草に戦乱のない日常を約束することであった。個人の享楽のみのために謀略に終わる、領地を広げることに囚われ戦争を広げていく、という夢との対比がおもしろい。
当世代の横の連携のみならず、その高い理想を子々孫々まで継承すべきという「百万一心、百代一心」の思想はすばらしい。
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小説・文芸
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