山田風太郎のレビュー一覧
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山田風太郎 著「あと千回の晩飯」を読みました。
著者独特の死生観、老いへの提言をユーモアたっぷりに綴ったエッセイ集。
自分の余命を感じながら老いを生きていく人生観は、まだ想像がつきません。
おそらく、人生の折り返し地点を過ぎてしまったと思われる自分ですが、人生のゴールをどのような心境で走り終えられるのか、考えずにはいられませんでした。
著者のようなユーモアや皮肉を込めた辛辣な切り口で人生や世界を割り切ることができたら、老いの世界も悪くはないのではないかなと感じました。
自分はあと何回晩飯を食べられるのでしょうか。
家族と共においしく食べられる幸せをしっかり -
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短編集。
PART1(本格もの)
【天狗岬殺人事件】先生とお父さんが二人で話をし、それを息子が聞いているというあの場面が不穏な雰囲気で良いです。手紙に綴られた彼女の複雑な思いと、親の勝手に振りまわれた青年の心の傷も残酷。「揺れるもの」には親二人のエゴが詰まっており、結末も苦々しかった。派手なトリックと不穏な雰囲気が漂う良質なサスペンスです。
【この罠に罪ありや】刑事が尋問によって相手を追い詰めていく様がロジカルでとても楽しいですが、心理的なオチにしているのがおもしろいです。
【夢幻の恋人】夜な夜な繰り広げられていたであろう狂気の遊びを想像するとぞっとします。哀しい愛の物語が根底にあるものの -
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ネタバレ女って怖いgkbr。読んでる間ずっと薄ら寒さを感じました。
男を手玉に取る女達の恐ろしさやエロティシズム、業をまざまざと描写した中篇2編を収めています。
最初の「誰にでもできる殺人」は、とあるアパートの一室に越してきた男が、押入れの隙間に隠された一冊のノートを見つけることから始まります。
そのノートにはその部屋にこれまで入居してきた人々が綴る奇妙な体験談が綴られており、彼等の話の中心にはいつも1人の女性がいて・・・っていう、何とも分かりやすいオムニバス形式のサスペンス・ホラー(?)。
奇妙な住人、奇妙な事件、奇妙な符号。
真実に限りなく近い印象を持つ読者のもどかしい気持ちを高めながら、次々と -
Posted by ブクログ
短編集。
【忍者服部半蔵】忍法帖シリーズではお馴染みの服部半蔵。伊賀を束ねる頭領としての話は、ほかの忍法帖シリーズでの服部半蔵を知っているとよりおもしろいと思います。
忍法帖シリーズではそんなばかな!というようなとんでも忍法が魅力の一つですが、作者が自分で作った忍法を登場人物の一人にそんな無茶な、と突っ込ませているのがおもしろいです。その皮肉に陰に生きる忍者の哀愁も漂っています。
まさに「服部半蔵の血」とでも言うべき意外なラスト。最後の台詞もこの人物が忍者として変わった冷酷さと、変わらない軽薄さが伺えて味わい深い。
【忍者枯葉塔九郎】体をばらばらに出来るという忍術を様々に活かした物語ですが -
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『くノ一忍法帖』に次いで読む、忍法帖シリーズ2冊目。
これもまさかのエロ忍法とは!
将軍お目見えの亥子餅(いのこもち)の儀。家斉(いえなり)の御前にて、父の名代で出席した伊勢三十二万石の後継者藤堂蓮之介が、突然に四つん這いになり、全身の精液を出し尽くし悶死してしまうという凄い幕開け。
何者かの謀略により世継ぎを亡くした上、将軍の御前での大失態にお家断絶もやむなしといった窮地で、藤堂家を救う秘策は息女鞠姫に将軍家から婿をとる事。
しかしその婿、将軍家第三十三子である徳川石五郎はとんでもないバカ殿で、いわば押し付け婿であった。
勝ち気で凛々しい鞠姫と、命を狙われ続けてもヘラヘラと鞠姫の尻を追い -
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面白い!
秀吉が胸のすく大悪人である。
悪人っぷりは容赦がない。
それも、「すべてお見通し」という風情でクールを気取る、作者の全能願望が透けて見えるような自己投影ではなく、悪人で、下品で、欲望まみれで、その欲望が汚くて、まさにダークヒーロー。こんや魅力的な秀吉見たことがない。
いや、太閤記はどれを読んでも、やはり秀吉は魅力的なのだけど、このえげつなさは最高だ。
わき役もいい。竹中半兵衛の悪役クールっぷりもすさまじいし、半兵衛の最後もいい。代わりに出てきた官兵衛もいいね。
上巻を読み終わって、本能寺の変が終わった。
このあと、まともに描いても怪物にしかならない秀吉後半生をどう