山田風太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
多対多のエログロ能力バトルを描いた忍法帳シリーズも12巻に…って、なんかちがうぞ。なんと、この巻はうってかわって短篇集である。エロも忍法もそれほど多くは出てこない。歴史の中に名を残す人物が実は…というような吃驚を楽しむもののようだ。
あとがきではないがあとがきのような短編で、著者自身が、なぜ荒唐無稽な忍術モノをはじめたのか、ということに触れている。だがこの短編集は、それほど荒唐無稽でもない(いや、首切っても死なない奴とかは出るけどさ)。長編の忍法帳に比べると、歴史小説っぽい雰囲気があって、それはそれで嫌いではないのだが、何か逃避的娯楽たる読書から、少し地面に近いところにひきずりおろされたような気がして、不思議な感じ。
結局のところ、面白いんだけどね。カレーを食べたかったのに美味しいラーメンを食べたような。 -
Posted by ブクログ
最強妊婦とエロ忍者の戦い。巡るのは、妊婦の腹に入っている豊臣家の胤。
くノ一の術というのは、別名女の武器を使う術であるといわれるけれど、そのタイトル通り、くノ一たちはおよそ超人的、というか超自然的な術を用い、対するエロ忍者群もまた、光景を想像したくないようなトンデモ技(精液垂れ流してトリモチ)などを展開する。忍法は使わないが、超人的な体術を誇る妊婦も乱入し、さらには大御所徳川家康が、孫娘千姫可愛さにトチ狂い、手助けしたり邪魔したり。忍法の多くが下半身系なのだけど、エロくはない。むしろグロい。そんなわけで、ハチャメチャな進行ではあるのだけど、果たしてその結末に唸るのであった。イヤまじて唸るよ。
それにしても、山風作品には眼を見張るようななまめかしい美女が次々に出てくるなあ。なまめかしい、という言葉を本の外でも味わってみたい。いいなあ、江戸時代。 -
Posted by ブクログ
ものすごい調理技術を持つ忍者(←かなり違っている)が、捻くれてドイツもコイツも死ねばいいのに、と暴れる話。いや、やはりちょっと違う。多対多、男対女の能力バトルではあるのだけど、主人公は片方の陣営の見張り役であり、見張りが必要なだけあって、登場する女たちはけっこうコロッと男に転んでしまう。忠臣蔵、と銘打っているだけあって、舞台は浅野内匠頭率いる四十七士を巡っての、吉良側の味方同士の駆け引きなのである。
「女と忠義が嫌い」という主人公。ところが実のところ、どいつもこいつも忠義野郎ばかりで、主人公はションボリと去っていく。忠義というのはかくも面倒くさいものか。僕も割と嫌い。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ鮎姫可愛いよ。鮎姫。
筆者が『B級にも満たない作品』と評したらしい一作。
なるほど確かに、他の山田作品に比べ情念と言うかパワーと言うか、そういう熱量はあまり感じられなかったかな。
と言うのもやっぱり悠太郎の振る舞いが影響してると思う。
べらぼうに強い訳でもなく、一貫した強い思念がある訳でもなく・・・
ちょっと読んでいて爽快感を得られない部分はあったかな。
お縫に鮎姫に敵方である葉月に、女性登場人物が軒並み印象深い立ち位置であるがゆえ、尚更。
とは言えあくまでも『忍法帖シリーズ』という期待感が高いせいでもあるけどね。柳生と比べちゃったりするから。