山田風太郎のレビュー一覧
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ネタバレ女って怖いgkbr。読んでる間ずっと薄ら寒さを感じました。
男を手玉に取る女達の恐ろしさやエロティシズム、業をまざまざと描写した中篇2編を収めています。
最初の「誰にでもできる殺人」は、とあるアパートの一室に越してきた男が、押入れの隙間に隠された一冊のノートを見つけることから始まります。
そのノートにはその部屋にこれまで入居してきた人々が綴る奇妙な体験談が綴られており、彼等の話の中心にはいつも1人の女性がいて・・・っていう、何とも分かりやすいオムニバス形式のサスペンス・ホラー(?)。
奇妙な住人、奇妙な事件、奇妙な符号。
真実に限りなく近い印象を持つ読者のもどかしい気持ちを高めながら、次々と -
Posted by ブクログ
短編集。
【忍者服部半蔵】忍法帖シリーズではお馴染みの服部半蔵。伊賀を束ねる頭領としての話は、ほかの忍法帖シリーズでの服部半蔵を知っているとよりおもしろいと思います。
忍法帖シリーズではそんなばかな!というようなとんでも忍法が魅力の一つですが、作者が自分で作った忍法を登場人物の一人にそんな無茶な、と突っ込ませているのがおもしろいです。その皮肉に陰に生きる忍者の哀愁も漂っています。
まさに「服部半蔵の血」とでも言うべき意外なラスト。最後の台詞もこの人物が忍者として変わった冷酷さと、変わらない軽薄さが伺えて味わい深い。
【忍者枯葉塔九郎】体をばらばらに出来るという忍術を様々に活かした物語ですが -
Posted by ブクログ
『くノ一忍法帖』に次いで読む、忍法帖シリーズ2冊目。
これもまさかのエロ忍法とは!
将軍お目見えの亥子餅(いのこもち)の儀。家斉(いえなり)の御前にて、父の名代で出席した伊勢三十二万石の後継者藤堂蓮之介が、突然に四つん這いになり、全身の精液を出し尽くし悶死してしまうという凄い幕開け。
何者かの謀略により世継ぎを亡くした上、将軍の御前での大失態にお家断絶もやむなしといった窮地で、藤堂家を救う秘策は息女鞠姫に将軍家から婿をとる事。
しかしその婿、将軍家第三十三子である徳川石五郎はとんでもないバカ殿で、いわば押し付け婿であった。
勝ち気で凛々しい鞠姫と、命を狙われ続けてもヘラヘラと鞠姫の尻を追い -
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面白い!
秀吉が胸のすく大悪人である。
悪人っぷりは容赦がない。
それも、「すべてお見通し」という風情でクールを気取る、作者の全能願望が透けて見えるような自己投影ではなく、悪人で、下品で、欲望まみれで、その欲望が汚くて、まさにダークヒーロー。こんや魅力的な秀吉見たことがない。
いや、太閤記はどれを読んでも、やはり秀吉は魅力的なのだけど、このえげつなさは最高だ。
わき役もいい。竹中半兵衛の悪役クールっぷりもすさまじいし、半兵衛の最後もいい。代わりに出てきた官兵衛もいいね。
上巻を読み終わって、本能寺の変が終わった。
このあと、まともに描いても怪物にしかならない秀吉後半生をどう -
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山田風太郎作品は初めてだったが、友人に貸してもらったので読んでみました。内容的には「くの一」ものと聞くと、いやらしい描写のイメージが強かったのですが、確かに性的な描写も数多く出てきますが、イコール忍法ということで、それほどいやらしさは感じず普通に時代劇の娯楽作品として楽しめました。
ストーリーも豊臣家の女残党(くの一等)に戦々恐々の徳川家康が服部半蔵率いる伊賀忍者を擁して、くの一を抹殺しようとする話ですが、豊臣家と徳川家の確執が話の中心に置かれている内容も良いですし、春日局など実際の歴史上の人物もストーリーに重要に関わっているところが引き込まれます。
山田風太郎の世界観に嵌りそうな今日この頃で