山田風太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『くノ一忍法帖』に次いで読む、忍法帖シリーズ2冊目。
これもまさかのエロ忍法とは!
将軍お目見えの亥子餅(いのこもち)の儀。家斉(いえなり)の御前にて、父の名代で出席した伊勢三十二万石の後継者藤堂蓮之介が、突然に四つん這いになり、全身の精液を出し尽くし悶死してしまうという凄い幕開け。
何者かの謀略により世継ぎを亡くした上、将軍の御前での大失態にお家断絶もやむなしといった窮地で、藤堂家を救う秘策は息女鞠姫に将軍家から婿をとる事。
しかしその婿、将軍家第三十三子である徳川石五郎はとんでもないバカ殿で、いわば押し付け婿であった。
勝ち気で凛々しい鞠姫と、命を狙われ続けてもヘラヘラと鞠姫の尻を追いかけるバカ殿石五郎がだんだん可愛く思えてくる。そして敵か味方か、神出鬼没の自来也。
勧善懲悪、ヒーロー物の王道を行くストーリーがワクワクさせる。
そしてラストの余韻がいい。 -
Posted by ブクログ
面白い!
秀吉が胸のすく大悪人である。
悪人っぷりは容赦がない。
それも、「すべてお見通し」という風情でクールを気取る、作者の全能願望が透けて見えるような自己投影ではなく、悪人で、下品で、欲望まみれで、その欲望が汚くて、まさにダークヒーロー。こんや魅力的な秀吉見たことがない。
いや、太閤記はどれを読んでも、やはり秀吉は魅力的なのだけど、このえげつなさは最高だ。
わき役もいい。竹中半兵衛の悪役クールっぷりもすさまじいし、半兵衛の最後もいい。代わりに出てきた官兵衛もいいね。
上巻を読み終わって、本能寺の変が終わった。
このあと、まともに描いても怪物にしかならない秀吉後半生をどう書いてくれるのかと思うとぞくぞくする。
物語を読んでいるという楽しさを存分に味あわせてくれる小説だ。
いいものを読んだ、という感じがする。 -
Posted by ブクログ
山田風太郎作品は初めてだったが、友人に貸してもらったので読んでみました。内容的には「くの一」ものと聞くと、いやらしい描写のイメージが強かったのですが、確かに性的な描写も数多く出てきますが、イコール忍法ということで、それほどいやらしさは感じず普通に時代劇の娯楽作品として楽しめました。
ストーリーも豊臣家の女残党(くの一等)に戦々恐々の徳川家康が服部半蔵率いる伊賀忍者を擁して、くの一を抹殺しようとする話ですが、豊臣家と徳川家の確執が話の中心に置かれている内容も良いですし、春日局など実際の歴史上の人物もストーリーに重要に関わっているところが引き込まれます。
山田風太郎の世界観に嵌りそうな今日この頃です! -
Posted by ブクログ
大阪城落城寸前、秀頼の子を宿すよう命じられた5人の女忍者+徳川家を憎悪する千姫VS家康の命によりその腹の子を狙う伊賀忍者5人の死闘。
徳川VS豊臣、伊賀忍者VS真田くノ一という政治的な争いの中にあって、それ以上に強く描かれているのが女VS男です。
女を操る恐ろしい忍法を駆使する伊賀忍者、同じように男を惑わす忍法を操るくノ一。そして女の一生を利用した権力の男・徳川家康と、それを恨む千姫。
千姫一行は「妊婦」という最大に女の特徴を表しており、大きな腹を抱えた女達が、揃って凄惨な戦いを繰り広げていく姿には戦慄します。
女達の愛情と怨念にまみれた腹の子がだんだんと大きくなっていく様には、わたしも同じ女でありながらちょっと怖っかたです。
この女VS男の強烈な対立の構図に、女を道具にする女阿福や、千姫を慕う頼宜、愛する男を追った初音などの人物もあり、物語が複雑になっていきます。
この複雑さと長期戦で途中ちょっとだれましたが、「丸橋」の強烈なキャラクターはものすごく楽しめました。
最期の落とし方も素晴らしい!
ちょっとネタバレ・・・・・・・・・・・・
全員とはいかないまでも、無事に子を産んだお由比。千姫は初音を許したのかどうか……。