エーリヒ・ケストナーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前回読んだ、「点子ちゃんとアントン」の3年前に書かれた本書(1928年)は、まだ世界恐慌前の、新しいものに囲まれ目覚ましい発展を遂げたベルリンを舞台に、主人公の男の子「エーミール」を初めとした、子どもたちの活き活きとした個性が、爽やかな余韻を残してくれる、子どもに語りかけるような、ケストナーの文体を見事に日本語で表した、池田香代子さんの訳も楽しい作品となっております。
そうした個性は、『女なんてあわれなもんよ』と、如何にもな知ったかぶりを得意気に言う姿に、却って、可愛らしさや明るさがある「ポニー」や、『てやんでい』が口癖の「グスタフ」、皆のまとめ役の「教授」、素直な寝言に微笑ましさがある -
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Posted by ブクログ
勇気とかしこさについての物語
寄宿学校で生活する個性豊かな少年たちのクリスマスのお話。悲しみを抱えながら一生懸命生きている少年たちや、彼らに寄り添う素敵な大人たちに出会えます。先生は「正義さん(ベク先生)」が好きで好きでたまりません。作家ケストナーの熱の込もった珠玉の言葉の数々も心の奥底を響かせます。何度読んでも味わい深い、先生の大好きな本です。
「人生、なにを悲しむかではなく、どれくらい深く悲しむかが重要なのだ。誓ってもいいが、子どもの涙はおとなの涙よりちいさいなんてことはない。」
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友達を救出するために「無断外出」した少年たちに正義さんが話をする場面、 -
Posted by ブクログ
読後感の重いものを読むのが好きなので、好みの本の中で、読み終わって幸せな気持ちになる本はあまりないのだが、児童文学の名作は、読むと幸せを感じることがある。それは単に明るく軽々とした気持ちではなく、不幸やアクシデントが人生には必ずあるが、幸せに生きることは不可能ではないという思いが満ちるといった感じ。そしてその中でも特に切ない幸福感を感じられるのがケストナーの作品である。
そのケストナーのその人となりがどのように形成されていったかがわかるのがこの本である。
ケストナー自身が、祖先から始まって、第一次世界大戦までの自分自身のことを書いた、前半生の自伝である。
子どもにも読めるように書かれているが、 -
Posted by ブクログ
存在は知っていたものの未読だった本で、新訳を機に初めて読みました。ケストナーらしい、優しく、たまに鋭く斬り込む文章で、まるで物語を読むのと変わりなく楽しみましたが、奥に秘められた故郷や家族親族への大きな想い、時代に対する深い慈しみと怒りのような、生身の感情が溢れていて、小説とはまた違ったケストナーの言葉を感じました。
タイトル通り、少年時代の終わりと共に終わっていて、あくまでも子どもの目線で見たままの世界がそこにあり、苦しさよりも、生き生きとした少年の日常の印象が強く、戦争の気配はまだないですが、ケストナーが生きた時代をより深く知るなら、この後、終戦日記を読むと、理解が深まるのかなと思っていま -
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Posted by ブクログ
物語は、大金持ちの娘「点子ちゃん」と、病気の母を支えながら学校に通う、今で言うヤングケアラーの「アントン」の素敵な友情に加えて、点子ちゃんの家族のあり方を、ユーモラスながら、とても真摯に描いているのが印象的で、これだけでも充分楽しめるところに、本書では、作者「エーリヒ・ケストナー」自身が、各章毎に書いた『立ち止まって考えたこと』が合わさることで、実はフィクションとして存在していた物語が、現実の世界を救うノンフィクションのような存在へと立ち替わる、この作り方には、最初、作者が物語に介入してくるような面白さを演出しているのかと思っていた自分が、思わず恥ずかしくなるくらい、直向きで切実な思いが宿って
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