唯川恵のレビュー一覧

  • 肩ごしの恋人
    るり子の性格が物語の終わりと始まりでまったく変わっていなくてよかった。こういう小説は大体主人公の性格や考え方が変わり、「新しい自分」で未来へ歩む が多い気がするが、るり子は、「自分は美しいしモテるし幸せになる未来しか見えない」という考えを改めなかった。
    めちゃくちゃな考えだとは思わなかった。るり子が...続きを読む
  • 【電子特別版】みちづれの猫
    猫にまつわる短編集。
    優しくて温かいながらも、どこか別れの寂しさや切なさが心に残る素敵な話ばかりだった。

    猫飼いとして特に心に残ったのは「運河沿いの使わしめ」と「約束の橋」
    生きる気力を無くして汚部屋に住んでいたのを、猫との出会いで変わる江美。紆余曲折の長い人生をさまざまな猫と共に過ごしてきた幸乃...続きを読む
  • テティスの逆鱗
    美容整形の話。一気読みしてしまった。すごく面白い!
    女はやはり、いくつになっても「美」に気を遣っており、お金があるのであればシミを消したりたるみを無くしたり美肌になろうとしたりするだろう。
    だが、一度タガが外れると最も戻すことが困難になるものが美容整形だと思った。YouTubeで美容整形を繰り返し、...続きを読む
  • 啼かない鳥は空に溺れる
    最後の数行を読んで、思わず息を呑んだ。その辺のホラー映画よりも怖かった。唯川恵さんは恋愛小説のイメージしかなかったため、今回のような話は新鮮だった。
    母親に愛されすぎるが故に、縛り付けられる娘。
    幼い頃から母親に憎まれ、お互いに憎悪の対象であった娘。どちらも苦しくなるほど辛く、読んでいて応えた。
    ...続きを読む
  • 啼かない鳥は空に溺れる
    母と娘の、歪ながら、ありふれた関係性。言葉で傷つける母親、言葉で縛り付ける母親、その中に渦巻く仄暗い心理。娘は大人になるにつれて母親の心理を読みとり、距離をとろうと抗っていきます。相手にされたような心理攻撃をやり返すのではなく、むしろなるべく相手を傷つけないように配慮して、波風を立てないよう努め、あ...続きを読む
  • 啼かない鳥は空に溺れる
    人生は自分の都合のよいようにばかりはいかないものです。ちょっとしたタイミングのずれで全く違う結果になることもありますよね。
    そして、やっぱり人は大きくは変わらない。人の温かさに触れたと思ったら、あぁやっぱりと何かが待ち受けている怖さをずっと抱えながら、一気に読み進めました。
  • ため息の時間
    男性目線で描かれている愛し方が少し変わっていた男女の短編集。サクサク読めるからオススメ。
    リアリティがあるものもあれば、背筋少し冷たくなる唯川さんホラー?のような作品もある。
    最後の男は悔しがり、女は寂しがりの表現は言い得て妙だと思いました。
  • 燃えつきるまで
    「別れないか。」の一文で始まり、
    それを受けて恋人関係解消となった女性の葛藤を延々と描く。

    たったこれだけなのにもかかわらず、約300ページを一切退屈することなく一気に読ませてしまう本作に驚愕。

    本作は主人公(女性)の目線でのみ描かれており、
    最初から最後まで完全に彼女の主観によるものとなってい...続きを読む
  • 燃えつきるまで
    ほんとは星5付けたいところだけど、
    きっとそれは状況や心境が主人公と
    重なってるからであって、何年後かに
    読み返した時にも星5を付けたいと
    思えたら修正したい。
    玲子がエスカレートしていく様を
    見ていると客観視出来て、おいおい
    それは辞めとけってストップをかけたくなるけど、
    一歩踏み外したら自分も似...続きを読む
  • 【電子特別版】みちづれの猫
    病院の待ち合いで読んでいた、
    冒頭の『ミャアの通り道』の最後でいきなり泣けた。
    どのお話しも『猫ってそうだよな〜』と納得しながら、
    いつもそばにいてくれるウチの猫への愛しさが、
    読み進めるごとにどんどん強くなるのがわかるし、
    猫と暮らす人はみんな同じ想いなんだなぁと、
    改めて実感する。

    ストーリー...続きを読む
  • テティスの逆鱗
     美容整形にハマった女性たちの悲惨な末路。老いを受け入れ、素直に穏やかに歳を重ねていくことができない気持ち、めっちゃわかる。わたしだってシワもシミも目の下のたるみも不必要に強靭な太腿も重力に逆らえないほっぺたもおっぱいもお尻も全部気に食わない。さらに良くなるためじゃなく、現状維持のためにすでにお金と...続きを読む
  • 愛に似たもの
    唯川さんは女性の触れられたくない問題
    結婚だったり嫉妬だったりを描くのがとても上手いと思う。

    どの章もすごく面白かった。
    最後ゾゾっとするのも良い。

  • 病む月
    【幸福とは何なのか。そんな抽象的なことを常に頭の片隅で考えつつ、考えても考えても出ない結論に見切りをつけて、女たちはとりあえず今日という日をしのいで生きる。身を守りながらも放埒に、飛翔しているはずなのに堕落しながら、生きるのである。】
  • 孤独で優しい夜
    一人の男を巡る能動的な女と受け身な女。
    お互いが両思いであることを知らない受け身な男女と、二人が動き出さない状況を利用して、男を手に入れた積極的な女。結婚後に実は両思いだったと知った受け身な二人は不倫を始める。
    略奪愛をしたのは結局どちらだったのか。

    ただただわがままでどうしようもないやつと思って...続きを読む
  • 雨心中
    唯川恵、すごい…
    恋愛の話のイメージが強かったけど、どんなジャンルの話もすごく上手。

    共依存の関係。虐待を受けて育った周也をどこまでも受け入れる、姉代わりの芳子。
    同じ施設で育った2人は普通の兄弟以上に支え合って暮らしている。
    周也の純粋さと短絡さがゆえどんどん道を踏み外していく…

    相手のことを...続きを読む
  • テティスの逆鱗
    整形自体は悪いことじゃないと思うけど、失うものの方が多い気がしてしまうので無理だなーと思ってしまう。容姿で辛い思いをしている人も多いだろうから、前向きになるための整形ならよいのでは。ただし、過ぎたるは及ばざるが如し。やり過ぎや、精神が壊れてしまうなら全く意味がない。
  • ゆうべ、もう恋なんかしないと誓った
    短編集で読みやすかったです。
    今の自分よりも大人の恋のお話でした。それでも、どうしてこんなひとに執着してしまうんだろう、相手の良いところしか見えていないんだろうな、などと恋というものは年齡で大きく変わるものではないですね。恋は、他人からみると馬鹿馬鹿しいもので、他人が理解することはできない。
  • 霧町ロマンティカ
    登場人物はわりと多くて多彩でしたが、一言でくくるなら身勝手な男たち、したたかな女たち。主人公の男の生き様は世間一般の共感や憧れを得るのは難しそうな気もしますが、50歳を前に生きることの意味に本気で向き合って自分を省りみる姿には徐々に応援したい気持ちすら湧いてきました。若い頃の利己的な性質から変化して...続きを読む
  • 手のひらの砂漠
    展開が気になり、どんどん読み進められた。後半は、幸せな結末を望みながら読んでいた。配偶者がDVって、恋人関係だと見極められないものなのか、気づいた時は遅いのか、恐ろしい。世間体や他人からの見え方を気にすると、どうしても取り繕ってしまうし。悲しい。

    主人公に感情移入というよりは「大切な家族や友人がこ...続きを読む
  • ヴァニティ
    続きが楽しみになる短編集小説
    最後が特に、どういう展開で終わるのかなぁと
    想像とはまた違った展開で良かった
    それと、ビデオテープのお話がまたドキドキで良かった