唯川恵のレビュー一覧
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身近な女性を描くのが大変上手な作家さんだと思う。
何気ない日常、普段過ごしてる風景が切り取られて書いてある感じ。どの主人公の心情も矛盾なくよく分かる。
『ロールモデル』『教訓』『約束』あたりが好きかな。
大事件は起こらないが、ちょっとしたエピソードが、平凡な日常を過ごしている者にとっては親近感がわく。
個人的には、ここまで他人と比べて卑屈になったり、優越感に浸ったりするの?他人なんてどーでもいーじゃん?などと、軸が自分じゃない事が不思議な気がするが、解説の『女は不幸や不満を数える天才ですからね!』で納得した。そういう視点で書いてある物語だ。
所詮他人の芝生は青く見えるのだから。自分の心地よさを追求したいと思った今日この頃。 -
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ネタバレ「例愛は不安との戦いであり、結婚は不満との戦いである」中扉裏の一文が、私たちの戦いに終わりがないことを示している。そして、勝ち目がないことも。
「女は、負けの恋愛をしちゃいけないと思う」マリが語る。「女の人は結婚で人生が変わる確率が凄く高い」順子が語る。周りからも、自分自身でも、追い込まれてゆくだけだ。
「欲しいのは確かなもの。確かな約束、確かな成就、確かな未来」美月が答える。そして、私たちは知っている。確かなものなど、どこにもないことを。”確かなもの”を見つけても、いつの間にかそれは砂上の楼閣に変わってしまうことを。
ない物ねだりかもしれない。隣の芝生は青く見える、なのかもしれない。”自分”が揺らぐのかもしれない。”安定”と”変化のなさ”に捕まったのかもしれない。そして、”もし”という選択肢が、よぎっているのかもしれない。そして、抜け出せない”自分”に
人生のゴール、完結は、結局ないのかもしれない。確かなものがないのと同じ。確かなものがなくても、自分を信じられれば…、と。終わりがなくても、勝ち目がなくても、信じられるものがあれば…、と。 -
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千遥の境遇に度々共感しながら読んでいたから、最後らへんで千遥がお母さんとの関係を修復しつつあったこと、千遥自身がなによりそれを喜んでいることが私にとっても嬉しかったのに、最後の最後、千遥母のセリフが恐ろしすぎて鳥肌立った…。
千遥が不憫でならない。じゃあ離れれば良いじゃんって思う人もたくさんいるんだろうけどそうじゃない。子供にとって親は、たとえ大嫌いでも心の奥底では大好き、愛してほしい、認めてほしい。だから表面上では憎くて憎くて忘れたくても、愛されることを求めて離れられないんだよな、少しでも認めてくれたらそれまでの恨みがどうでもよくなるくらき嬉しいんだよな。千遥には幸せになってほしい…
どうして千遥の母がこうなってしまったのか、何十年も前に姑との不仲が原因で精神的に病んでいたという話があったけど、正確な原因はわからず。家族の記憶と千遥の記憶が異なるのもすごく共感できた。家族って一番近いから言わなくても伝わるよねって思うけど他人だからそんなことない。近すぎて言いたくても言えないこともある。母との関係に悩む一娘として、心に残った小説だった。 -
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男性目線で女性を描いた9つの短編。
ただ少し愛し方を間違えただけ。
それぞれの男性主人公の身勝手さに言葉が出ない。話にオチがあり(非現実的だったり)男は痛い目に合う(自業自得的に)。女性のしたたかさが際立っていた。
個性に富んでさくさく読める面白さだった。一時間完結ドラマになりそうな題材だと思った。
裏切り裏切られても、惹かれ合って繰り返すんですよね、それでも…。
(男性ではないので)共感とは違うが、寂寥感に包まれた男性の姿が、身近に居そうでリアルだった。
終の季節、バス・ストップ、分身(このラストは好み)が特に良かった。濡れ羽色のカラスはなんて言ったのだろう。 -
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いや何ちょっと待って、しんどい…
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千遥と亜沙子、東京で暮らす2人の女性が、それぞれの結婚を機にそれぞれの母親と向き合っていくお話。
32歳の千遥は、幼い頃から母に疎まれ虐げられて生きてきた。地元ではそれなりに名のある家庭。跡取りである弟といつも差をつけられ、大学生になって独立してからも、母の影をいつも気にしながら生きている。自分はちゃんと母に認められるような生き方をしているか。
27歳の亜沙子は、中学の時に父を亡くして以来、母親と2人暮らし。「亜沙ちゃんだけが生きがい」という母親を大切に思いながらも、どこかで鬱陶しさを感じている。
どちらも必要だったのは、母親と自分は別々の人間である、とお互いが認識すること。
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普通に結婚が決まって普通に母親と和解していい感じに再構築していくストーリーかと思ったら、なんか母娘も結婚相手もその周りも波瀾万丈すぎて最後までドキドキした。
中林さん良い奴じゃん、、と思ったけどそういうことか、とか。
功太郎なんか不憫だけど人のこと言えないよな、とか。
千遥の地元の友達とカラオケにいくシーン、よかったけどきっとあれが続くとそれはそれでしんどいんだろうな、とか。
人間は欲張りだな。
ラスト、亜沙子はまだ希望が持てる終わり方だったと思うけど(突拍子はないけど)、千遥のあれはただのホラーじゃないか?
どん底に突き落とされた。あれでもまだ頑張って再構築しようとするんだろうか。母娘のしがらみってそうまでしないと抜け出せないものなんだろうか。
あんなこと言われたら、もう知らない、私は私よ、って飛び出してしまいそうだけれど。
私は私よ、と言えるだけの主体性がこれまでの千遥の人生の中で作られてこなかったのかもしれないな、とは少し思った。 -
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美への底のない執着に、取り憑かれてしまった女たちの物語。
それぞれの美の形がある。
みんなが見て綺麗と思われないといけない「美」を仕事にしている人。
他の人がなんと言おうと自分の美を追求する人。
好きな人に好きでいてもらうために美を追い求める人。
欲しいものを手に入れるために自分の美を利用する人。
全く違う価値観の登場人物だけれど、それぞれに、共感してしまう部分があった。
美は、薬にもなれば毒にもなる。気持ちを明るくする効果もあるが、使い方を間違えれば、そこから抜け出せなくなってしまうのだ。
美は、きっとどの時代にもある永遠のテーマなのだろう。
人はどうしても、美しいものに惹かれてしまう。
美しくなりたいと思うのは、自然なこと。
この永遠のテーマに、どう向き合っていくか。
答えは出ないけれど、非常に考えさせられた小説だった。 -
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最初は同じ会社に勤めていた薫と乃梨子。
薫は社内結婚、寿退社。乃梨子は独身のままキャリアを積むかと思われたが、仕事に失敗し退社。専業主婦で子供にも恵まれた薫の方が幸せに見えたときもあるが、乃梨子が運良く起業するとそちらの方が幸せにも見える。そんなふうに2人の女性の人生を対比しながら描いた作品。
自分はどちらかと言えば乃梨子側の立場だけど、入れ替わり立ち代わり描かれる双方の立場は、どちらも読んでいるときはそちらのほうに感情移入できて、反対側が羨ましく感じられたりもした。
一概にどちらがいいとは当然言えないけど、自分を不幸だと感じたときに夫や子供のせいにできる主婦は「甘やかされている」と感じるのは共感できた。
仕事をする事は、生きがいや趣味ではなく「責任」である。
多分それを背負って生きていることは、それをしている人間にしか実感できないことだと思う。 -
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主人公の二人とも共感できる点が多かった。
複数の男と交際し、お金をかけて綺麗であり続ける千遥にも、
同年齢で周りから結婚について聞かれる亜沙子にも。
母子家庭で育った私は亜沙子に近いが、私の母はどちらかというと放任主義で、2人で旅行なんて行ったこともないし、最後にランチをしたのなんていつだろう…。
母と娘は、姉妹でも友達でもない、私にとって一番不思議で一番居心地の良い関係だ。
私がどんな時に喜び、どんな時に苦しむか、何でも知っている、一番信頼できる存在。
そんな母が私を縛り、口を開けば私を蔑み、苦しみ続けていたら…と考えるとゾッとする。
私が母を好きでいるのは、「ほっといてくれるから」である。
とはいえ、親にだって苦悩があり、誰にも言えない闇がある。
この本を読んでみてと勧めてくれた、27年間私をずっと支え続けてくれた母に感謝したい。 -
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ネタバレ「淳子のてっぺん」を読んだ後、このエッセイを読んだ。田部井淳子さんの物語があまりにリアルだったから、もしやと思ったら、やはりそうだった。彼女は山と運命的な出会いをしていた。山に登っている人でしか描けないシーンがたくさんあったから。
彼女が富士山で味わった高山病は、私も経験した。酸素ボンベの使い方すら知らなくて、私は一本無駄にしてしまった・・・。その前に高山病とも気づかす、頭痛薬を6錠も飲んでしまっていたが。
彼女が富士山では飽き足らず、エベレストに思いをはせたところも只者ではないところ。高山病に苦しみながらも憧れがそれに優っていく。帰ってきてヒマラヤロスになったところが面白い。そうだ、このコロナでみんな山ロスになっている。私もそうだ。まずは膝を治さなくては・・・。ヒマラヤでみんなが涙ぐんだ加藤登紀子の歌の話が印象的。