唯川恵のレビュー一覧
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千遥の境遇に度々共感しながら読んでいたから、最後らへんで千遥がお母さんとの関係を修復しつつあったこと、千遥自身がなによりそれを喜んでいることが私にとっても嬉しかったのに、最後の最後、千遥母のセリフが恐ろしすぎて鳥肌立った…。
千遥が不憫でならない。じゃあ離れれば良いじゃんって思う人もたくさんいるんだろうけどそうじゃない。子供にとって親は、たとえ大嫌いでも心の奥底では大好き、愛してほしい、認めてほしい。だから表面上では憎くて憎くて忘れたくても、愛されることを求めて離れられないんだよな、少しでも認めてくれたらそれまでの恨みがどうでもよくなるくらき嬉しいんだよな。千遥には幸せになってほしい…
どうし -
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男性目線で女性を描いた9つの短編。
ただ少し愛し方を間違えただけ。
それぞれの男性主人公の身勝手さに言葉が出ない。話にオチがあり(非現実的だったり)男は痛い目に合う(自業自得的に)。女性のしたたかさが際立っていた。
個性に富んでさくさく読める面白さだった。一時間完結ドラマになりそうな題材だと思った。
裏切り裏切られても、惹かれ合って繰り返すんですよね、それでも…。
(男性ではないので)共感とは違うが、寂寥感に包まれた男性の姿が、身近に居そうでリアルだった。
終の季節、バス・ストップ、分身(このラストは好み)が特に良かった。濡れ羽色のカラスはなんて言ったのだろう。 -
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いや何ちょっと待って、しんどい…
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千遥と亜沙子、東京で暮らす2人の女性が、それぞれの結婚を機にそれぞれの母親と向き合っていくお話。
32歳の千遥は、幼い頃から母に疎まれ虐げられて生きてきた。地元ではそれなりに名のある家庭。跡取りである弟といつも差をつけられ、大学生になって独立してからも、母の影をいつも気にしながら生きている。自分はちゃんと母に認められるような生き方をしているか。
27歳の亜沙子は、中学の時に父を亡くして以来、母親と2人暮らし。「亜沙ちゃんだけが生きがい」という母親を大切に思いながらも、どこかで鬱陶しさを感じている。
どちらも必要だったのは、母親と自分は別々の人間 -
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美への底のない執着に、取り憑かれてしまった女たちの物語。
それぞれの美の形がある。
みんなが見て綺麗と思われないといけない「美」を仕事にしている人。
他の人がなんと言おうと自分の美を追求する人。
好きな人に好きでいてもらうために美を追い求める人。
欲しいものを手に入れるために自分の美を利用する人。
全く違う価値観の登場人物だけれど、それぞれに、共感してしまう部分があった。
美は、薬にもなれば毒にもなる。気持ちを明るくする効果もあるが、使い方を間違えれば、そこから抜け出せなくなってしまうのだ。
美は、きっとどの時代にもある永遠のテーマなのだろう。
人はどうしても、美しいものに惹かれてしまう。
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最初は同じ会社に勤めていた薫と乃梨子。
薫は社内結婚、寿退社。乃梨子は独身のままキャリアを積むかと思われたが、仕事に失敗し退社。専業主婦で子供にも恵まれた薫の方が幸せに見えたときもあるが、乃梨子が運良く起業するとそちらの方が幸せにも見える。そんなふうに2人の女性の人生を対比しながら描いた作品。
自分はどちらかと言えば乃梨子側の立場だけど、入れ替わり立ち代わり描かれる双方の立場は、どちらも読んでいるときはそちらのほうに感情移入できて、反対側が羨ましく感じられたりもした。
一概にどちらがいいとは当然言えないけど、自分を不幸だと感じたときに夫や子供のせいにできる主婦は「甘やかされている」と感じるのは -
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主人公の二人とも共感できる点が多かった。
複数の男と交際し、お金をかけて綺麗であり続ける千遥にも、
同年齢で周りから結婚について聞かれる亜沙子にも。
母子家庭で育った私は亜沙子に近いが、私の母はどちらかというと放任主義で、2人で旅行なんて行ったこともないし、最後にランチをしたのなんていつだろう…。
母と娘は、姉妹でも友達でもない、私にとって一番不思議で一番居心地の良い関係だ。
私がどんな時に喜び、どんな時に苦しむか、何でも知っている、一番信頼できる存在。
そんな母が私を縛り、口を開けば私を蔑み、苦しみ続けていたら…と考えるとゾッとする。
私が母を好きでいるのは、「ほっといてくれるから」であ -
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ネタバレ「淳子のてっぺん」を読んだ後、このエッセイを読んだ。田部井淳子さんの物語があまりにリアルだったから、もしやと思ったら、やはりそうだった。彼女は山と運命的な出会いをしていた。山に登っている人でしか描けないシーンがたくさんあったから。
彼女が富士山で味わった高山病は、私も経験した。酸素ボンベの使い方すら知らなくて、私は一本無駄にしてしまった・・・。その前に高山病とも気づかす、頭痛薬を6錠も飲んでしまっていたが。
彼女が富士山では飽き足らず、エベレストに思いをはせたところも只者ではないところ。高山病に苦しみながらも憧れがそれに優っていく。帰ってきてヒマラヤロスになったところが面白い。そうだ、このコロ -
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ネタバレ唯川恵作品。2作品目。
時代が人を作る?、あるいは、人が時代を作る? バブル期の人生観とデフレ期では、こんなにも違うものでしょうか?
結婚と同時に壊れてゆく夫婦関係。バブル崩壊と同時に崩れてゆく未来予想図。
気持ちが納得できる部分が半分、首を傾げる部分が半分でした。”バブル”に踊った世代は、きっと彼ら以外には納得されないかもしれない。
主人公たちは、自己中心的でプライドが高く、どことなくお気楽です。まだまだ、時代がそれを許していたのでしょうか。恋愛なら絶対に別れる理由が、夫婦には当てはまらない、だけなのかもしれない。逃げられないのかもしれない。が、諦めているわけでもなく、許しているわけで