唯川恵のレビュー一覧
-
購入済み
登場人物はわりと多くて多彩でしたが、一言でくくるなら身勝手な男たち、したたかな女たち。主人公の男の生き様は世間一般の共感や憧れを得るのは難しそうな気もしますが、50歳を前に生きることの意味に本気で向き合って自分を省りみる姿には徐々に応援したい気持ちすら湧いてきました。若い頃の利己的な性質から変化して、他人の生き方を純粋に冷静に尊重できるようになるのは歳ゆえなのか。幻想的な題名とは裏腹に、現実のいろいろを考えさせられながら、一気に読んでしまいました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ夢中で一気読み。
人をどうしようもないくらい好きになることは
自分で自分を裏切ることもあるんだよなぁ
ななこの自分でもどうしようもない感情
どうしようもないくらい好きになってしまった相手の彼女がどんな人なのか気になる気持ちは分かる。
そこからまさかの友だちとなり
しっかり悪女となり、しゅんを自分の彼氏にする
でも手に入れたあとは今度はずっと
不安と心配が彼女を占めていて、苦しい。
美咲という存在
美咲から奪ったと言う事実
だから幸せになれないとどこかで思ってるのがまた辛い。
美咲からしたら恨むしもちろん復讐した気持ちというかやり返した気持ちも分かる。
ここが女の怖いところなのかも -
Posted by ブクログ
娘の結婚を機に、歪みがさらに浮き彫りになる2組の母娘の関係が交互に描かれてゆきます。
愛情を求めても幼い頃から母親に暴言を吐かれ拒否されてきた千遥と、過干渉な母親の善意を装った重たい思いに絡めとられそうな亜沙子。
まったく逆の関係性ではあるけれど、千遥も亜沙子も母親に自分の人生を支配されてきたと思っていて、でも顔色を伺いながら自分の気持ちより母親を優先しているのは娘自身で、共依存の関係性にあります。
最後、亜沙子の母親のブログ(母娘がどんなに仲がよいかを虚実を混ぜて発信している)の言葉にも恐ろしさをかんじたけれど、千遥の母親の言葉が、もし記憶の残像としてではなく現在の言葉としたらと思うと -
Posted by ブクログ
ネタバレDVの持つ問題、闇の深さに苦しく、
胸が締め付けられながら、読み切った。
一度DVにあってしまうことで
周りの人を巻き込んでしまう恐怖や
いつ加害者に見つかるかもしれない恐怖がついてまわり、終わりのない砂漠のような道のりの中を
歩かされる。タイトルの手のひらは加害者のもので、被害者は砂漠を歩かなくてはならない…
その果てしない道のりを生きている人たちが
少しでも安らかにあれる場所があってほしい。
最後、可穂子が恐怖に怯えない生活を得たことに安堵すると同時に、それでも雄二の影はあって、しまうんだろうなと思ってしまった。
この問題に対する刑が軽すぎることや
被害者が逃げて隠れて、怯えながら暮らさ -
Posted by ブクログ
恋人がいる男性、駿のことを好きになってしまった七々子がとった行動は、その恋人美咲と友達になること。
「そんなつもりじゃない」と思いながらも少しずつ美咲を裏切り、駿に近づいていく。悪になりきれないからタチが悪い。
恋をすると人はエゴイストになる。
多かれ少なかれ周りを振り回し傷つけて、そうして手に入れたものが本当に自分を満たしてくれるのかは誰にもわからない。
*
大人になった七々子が若い頃の恋を回想する、という構成になっていたのが救いかも。
*
自分にも尚人という恋人がいるのに駿のことを好きになってしまって葛藤する七々子の描写があって、唯川恵さんは本当にこういう描写が鋭いよなと思う。
-
Posted by ブクログ
結婚を望み、平凡で安定した生活を望んでいた早映。望んでいたものが手に入る中で数年前に偶然から命を救った麻紗子をとの再会により少し運命が変わる。
麻紗子は情熱的で生きることも死ぬことも同じうように扱い、自分の欲するままに男とセックスし、自由に生きていた。
麻紗子は自由で刺々しい。発する言葉には毒が含まれているようだが彼女の経験から出る自信にみなぎった言葉に圧倒される。自らを信頼している人の激しく力強い言葉は心に突き刺さる。
麻紗子の死をきっかけに早映は自分の内なる欲望に素直になり、光を影をどちらも楽しむようになる。そこに足を踏み込めば簡単には抜けられない。
☆
最終章で心をえぐられた。幸せな生 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初はめちゃめちゃ共感で泣けたけど、途中からホラー要素強めで着いていけなくなった。
でも、最後はやっぱり共感で泣けた。
私の何がダメだったんだろうとかなんであんな事言っちゃったんだろうとか考えてしまうのめちゃめちゃわかる。
別れる理由とか耕一郎が言うセリフとか、全てが重なり合ってて、自分が言われたセリフって一般的によくあることなんだって知れて良かった。
新たに好きな人ができて幸せになりましたという様な綺麗事では無く、ちゃんと現実的な終わり方で読んでいてすっきりした。
・人生はこんなはずじゃなかったとの戦い
・恋の終わりなんて、所詮はどちらかの理不尽な押し付け。結局、背を向ける者と向けら -
Posted by ブクログ
女がそうさせるのか、愛情がそうさせるのか
母と娘は似ているのに似ていない
唯川恵さんの本が大好きなので買いました。唯川さんの本にも介護という言葉が出るようになったのか。時代を感じる。
ひたすらキラキラ女子の女同士のドロドロ恋愛が多かった作家さんですが、昨今のキーワードを上手く拾ってらっしゃるのかなと思いました。面白かったです。一気に読みました。
さて、母と娘がキーワードのこの本です。読んでいて既視感を感じる方も多いのかな。親ガチャに失敗した女2人。幸せと言われるはずの結婚話が逆に怖い。
読んでいて、幸せになって欲しい、でも普通に終わるはずないよねと思っていたら案の定でした。
唯川恵さんの本は -
Posted by ブクログ
久しぶりに唯川さんの作品を読みました。
1人の男性の突然の死を起点とした彼に関わった女性5人の物語。
女性であれば必ず持っている感情・・・というか個性?側面?みたいなものを1つずつデフォルトして5人の女性の個性としたような、そんな印象を受けました。
だからこの作品を読んだ女性は5人のうちの誰かに自分を重ねて読んでしまうのではないかと思います。
「これ」といった結末や提示があるわけではないので
読み終わった後にすっきりすることはありません。
でも、改めて女性ってなんだかんだ、逞しい生き物なんだなー、
だからきっと自分も大丈夫、なんとかなるんだろうなーと
思わせてくれました。