唯川恵のレビュー一覧

  • 肩ごしの恋人

    Posted by ブクログ

    今から20年以上前の作品
    当時の女性たちの恋愛観や結婚観、
    仕事観が垣間見られる。

    5歳からの幼馴染である2人の主人公
    「るり子」は女であることを最大の武器として、
      フルに活用して生きる女
    一方、「るり子」とは対照的で常に冷静に物事を考え、
      恋に溺れず頭で考える「萌」

    現代は、「萌タイプ」の女性が圧倒的に多い気がする。
    「るり子タイプ」もかつては大勢いたが、何処へ行ったのだろう。個人的は、裏表が無い「るり子タイプ」の女性が結構好きだ。
    勿論、一定の距離を置いてという条件付きで。笑

    直木賞受賞作の恋愛小説とあって、等身大の女性の生き方が潔く、大胆ながら明るい筆致で描かれる。

    フェミニズムすらも、バッサリ切り捨てる るり子の思考回路が痛快だった。一昔前の、女性の生きる道を覗き見した気分になった。

    結末が予想外過ぎたが、当時の生き方としては、とても斬新で自由な選択で、それがとても魅力的に感じられたと思う。

    読後、当時よりも今を生きる女性たちの方が、もっと生きづらくなっているような気がした。



    以下、印象的だったフレーズを幾つか

    「女はいつだって、女であるということですでに共犯者だ」

    「我慢している女はみんな貧乏臭い顔をしている」

    「女にはふたつの種類がある。自分が女であることを武器にする女か、自分が女であることを弱点に思う女か。このふたつの女はまったく違う生きものだ。」

    「男が結婚しているという事実は、どこかで安心感を連れて来る。」

    「夜はいつだって、朝を連れてくる約束を必ず果たす。だから、人は安心して眠りにつける。」

    0
    2026年02月19日
  • 手のひらの砂漠

    Posted by ブクログ

    なんで逃げなかったのとか、そんな人早く別れちゃえとか、そんなことしか思えなかった自分に腹が立つ。
    口では言えるけどきっと彼女らの立場だと逃げ出せないのだろう。それほど身体的にも精神的にも追い詰められているのだから。
    ただ、幸せになって欲しい。
    やっと掴みかけた幸せを踏み躙られず、過去の記憶にとらわれず生きてほしいと心の底から思う。
    少しずつ自立し、逃げずに戦うことを決めた可穂子はすごい。強いよ。
    農園が可穂子のオアシスであり続けてほしい。

    0
    2026年02月16日
  • ため息の時間

    Posted by ブクログ

    短編小説だと、よく物足りなさを感じることもあるが、この本はどのお話も読み終わったときに満足感があった。と言っても、決して長いものではなくサクッと読めるからそれがまた良い。話によっては、「世にも奇妙な物語」ぽい感じがしたが、本当に過去に放送されていた。
    どの話も良いのだが、中年なら誰もが1度は妄想するであろう若い女との恋愛、簡単に言えば不倫なのだが、それが本当に幸せなのかを客観的に覗けたような感覚を味わえたのが面白かった。

    0
    2026年02月11日
  • セシルのもくろみ

    Posted by ブクログ

    結婚、仕事、子供、ステイタスなどどこの世界線でも女は戦い、そして誰にも負けたくない気持ちがある。そんな女たちの気持ちの動きが面白いです。

    0
    2026年02月10日
  • めまい

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    美容整形で綺麗になりたい女(きれい)。子供を授かりたくて下垂体を食べたいという女(眼窩の蜜)。大学時代の友人に恋心を抱く女(誰にも渡さない)。教え子に旦那を寝盗られる女(降りやまぬ)。
    何気ない日常からの憎悪、執着、妬み、依存、僻みがこの一冊に詰め込まれていた。
    なかでも作品集の最後「月光の果て」が好きでした。
    戦慄の十編

    0
    2026年02月08日
  • 啼かない鳥は空に溺れる

    Posted by ブクログ

    続きが気になってどんどん読み進めることができた。
    後味は決していいとは言えないが、とりあえずは落ち着くところに落ち着いて良かったとおもう。(ロ⚪︎コン田畑は別として)

    ただよくわからなかったのは、ラストでの千遥の母のセリフだ。別人のように穏やかになっていたのは結局演技だったのか?それとも何か別の意図があってのセリフだろうか。ちょっとしたホラーのような恐ろしさを感じた。

    昔メンタルを病んで入院していたというところも、だからと言って千遥への言動が許されるわけではないし、母には母の辛さがあったという以外にどういう意味があったのかいまいち不明だった。

    それと、亜沙子。
    ノルウェーって、観光目的ノービザで入国して、現地からリモートで働くってオッケーなんですかね・・・?
    (アメリカは絶対ダメで、バレたら一発アウト。受け入れ先にも迷惑がかかる。)
    ちょっとそのあたり、海外在住者としては安易さを感じてしまった。

    0
    2026年02月07日
  • 肩ごしの恋人

    Posted by ブクログ

    愛すべき二人の女性の話、といった印象だった。文章は全体的に読みやすくて、一度その沼に足を踏み入れたらずるずるとするすると読めて言ってしまうような感覚。個人的に萌の考えもるり子の考えにも好感が持てて、二人とも大好きだ。2人とも正反対に見えて、女の強さを持っていると思う。るり子の甘い考えが最初は苦手だったはずなのに、最後には最高の考えだと思わせてくれる。萌の固いと思っていた考えも、最後には新境地を見せてくれる。彼女たちがどこかで生きているような心地がして、私も信念のようなものがほしくなった。

    0
    2026年02月06日
  • バッグをザックに持ち替えて

    Posted by ブクログ

    文庫になってたんですね。7年ぶりに再読。
    角田光代さんの『あしたはアルプスを歩こう』とか、こういう山登りエッセイ読むと心が晴れ晴れするので好きです。

    0
    2026年02月06日
  • 60代、日々好日 時々ため息

    Posted by ブクログ

    地元の北國新聞社から出ている『月刊アクタス』から、ちょうど、著者の六十代にあたる10年分を抜粋。
    いつも病院に行った時に『アクタス』を待合室で読むのを楽しみにしていた。

    唯川恵さんの書くエッセイは、とても常識的で、安心して読めるので、物足りないと思う人もいるかもしれないが、私には共感できることが多い。文章もとても読みやすい。ユーモアもある。
    私よりもほんのちょっと年上なだけなので、育った時代が似ているから、特に共感できるのだろう。
    (唯川さんが書いているが、奥付に生まれた年を書かない人が増えているが、その人がどういう時代を、過ごしたかわかった方がいいのでは?そして、そういう人はかえって歳にこだわりを持っているのでは?)

    今も『アクタス』に連載しているということだが、また、本にまとめられることを願っている。

    0
    2026年01月31日
  • バッグをザックに持ち替えて

    Posted by ブクログ

    友人が数年前から登山に目覚め、ときどき話を聞いていたので親近感を覚えて読んでみた。エッセイだけど作者が徐々に山登りに目覚めていく様子が物語のようで面白く、『淳子のてっぺん』も読んでみたくなった。

    各章が短く、全体のボリュームも軽めでちょうどいい。手描きの登山ルートもところどころ添えられていて、温かみが感じられた。作者の旦那さんがクールで頼りになる感じで、まさに「リーダー」というあだ名に相応しい方だったのが印象的。

    ただ、これを読んでも私はやっぱり登山をしてみたいとは思えず、根っからのインドア人間なんだと感じた笑
    友人が登ったと言っていた山がたくさん出てきたから、この本をおすすめしてみたいと思う。

    0
    2026年01月27日
  • 別れの言葉を私から 新装版

    Posted by ブクログ

    別れを、真正面から、目を上げて、凛と、潔く、自分自身できっぱりと口にできる女性になりたい。そして、しっかりと受け止められる強さを持ちたい。そのとき、出会いの本当の意味さえ知ることができるような気がするのです。

    泣くのもいい、騒ぐのもいい、友達に愚痴るのも、遊び回るのも。忘れるためにさまざまな手段を使えばいいんです。けれどどこかで「これでおしまい」と自分の心に区切りをつける。

    新しい恋が似合うあなたになったのです。

    0
    2026年01月26日
  • 一瞬でいい

    Posted by ブクログ

    軽井沢に住む稀世と英次、東京から別荘にくる未来子と創介は高校最後の思い出に浅間山に登る計画を立てる。予定が合わず、11月半ばになってしまい、初雪がちらつく中登ることになる。無理せずと言っていたが、無理して進み、創介が骨折してしまう。創介が山荘まで降りれないために英次が助けを呼びにいくが、滑落して、なくなってしまう。
    そらぞれが英次の死を背負い、その後の人生を変えてしまう。
    3人が30年たっても恋愛感情を持つところは少し受け入れにくい気がしてしまう。だが、高校生の頃の軽い決断が、自分だけではなく家族含めて、その後の人生に影響を持って、そこから逃れられずに生きている様はそれぞれのがんばりとして楽しく読めた。

    0
    2026年01月24日
  • 雨心中

    匿名

    購入済み

    とても複雑な気持ちになった。彼女の彼に対する執着はいったいなんなんだろう。
    母性なのか恋なのか。彼と関わらなかったら彼女は幸せとまではいかなくても平凡には暮らせていただろうに、こんなに見返りもなくただ愛を注ぐのが彼女の幸せなんて。

    0
    2026年01月19日
  • 肩ごしの恋人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「女の幸せとは」「愛とは」がテーマの作品だと思った。
    20年ほど前の作品なだけあり、今現在の価値観で測ると引っかかるところは多少あったが、テーマが揺らぐほどのものではなかったのであまりノイズにならなかったのはよかった。

    読み始めは、るり子のやりたい放題な性格が苦手で最後まで読めるか心配だったが、読み進めるうちに登場人物たちの心境の変化にどんどん引き込まれていった。

    特によかったのが、さまざまな出会いの中で、終盤、るり子の考えの変化の中に変わらない芯のようなものが見えたところ。
    萌の変わらない考えの中に少し柔らかくなったところができたところ。

    心境の移り変わりがとても人間らしく、また、物語の終わり方も女の幸せはひとつではないと感じさせられた。

    集中力が続かないので、ふだん小説は2、3日に分けて読んでいるが、この小説はとても読みやすくするすると脳内に入ってきて半日で読み終わることができたのには驚いた。
    さすが直木賞受賞作……。

    0
    2026年01月16日
  • 永遠の途中

    Posted by ブクログ

    世の中には、私の生き方に対してあーだこーだと口を出したり、物事を白か黒かの二元論で決めつけたがったりする声があふれています。しかし、この本を読んで改めて強く感じたのは、自分の人生の主人公は他の誰でもない自分自身であるということです。誰かが私の代わりに人生を歩んでくれるわけではなく、最後に決断を下し、その結果を引き受けるのは自分に他なりません。

    物語の中で描かれる人々も、どんな立場であっても「これでいいのだろうか」という葛藤を抱え、同時にその場所なりの喜びを見出していました。完璧な人生など存在しないからこそ、悩みながらも自分で納得できる道を探していくことが大切なのだと思います。

    私は、たとえ多少の不自由が生じたとしても、結婚して心の拠り所がある人生を歩みたいと考えています。ただし、結婚はゴールではなく、そこから関係を育んでいく始まりに過ぎません。家族という形に甘んじることなく、日々の努力を積み重ねて良い関係を築き続けることを忘れてはいけないと強く感じました。

    また、仕事だけに依存せず、家族や趣味など多様な拠り所を持つことも、自分らしく生きるための鍵となります。周囲の声に惑わされすぎず、自分の人生の舵をしっかりと握り、一日一日を丁寧に積み重ねていきたいです。

    人生に正解はないと改めて思いました。

    0
    2026年01月06日
  • 60代、日々好日 時々ため息

    Posted by ブクログ

    若かりし頃、貪る様に読んだ三人の作家がいる。

    山本文緒さん、小池真理子さん、そして唯川恵さん。

    作品のタイプは三者三様だが、唯川さんの恋愛小説が大好きで発売されれば即購入して読んでいた。

    そんな唯川さんが70歳!
    時の流れの早さをしみじみと感じる。

    本作は北國新聞社の月刊誌「月刊北國アクタス」にて10年間に渡って連載したエッセイ集。
    唯川さんが過ごした60代の日々が57の切り口で綴られている。

    文章の切れ味は健在で全編面白かった。

    山本文緒さんとのエピソードに思わず涙。
    最近再販されている山本作品を再び手に取っている私だ。

    0
    2026年01月03日
  • 夜明け前に会いたい

    Posted by ブクログ

    前に読んだ作品と同じ恋愛小説を読みたくてこの本を取りました。
    丁寧に書かれた描写でその人の気持ちも分かったし、止まることなく読み進めることが出来ました。

    0
    2025年12月31日
  • 永遠の途中

    Posted by ブクログ

    自分にも似たような友人がいるから、あらすじを見て、その気持ちを整理したくて読んだ。
    その友人とは、今のところ乃梨子と薫のようにくっきりと別の人生と別れているわけではないが、幼い頃から似た環境で育ってきたからか、事あるごとに人生を比べて、誰にも言えない気持ちに苦しんできた。読みながら、彼女から私も思っても見ないことで羨ましがられたりしているのかもしれない、と感じた。長期的な人生を描いていたことで、また人生のあらゆるところで、立場というか、考えることが二転三転することもある、ということを感じた。
    結局のところ、全ては最後の方に乃梨子と薫が話していた、「自分の人生がこれでいいんだと自信を持って言える」人がいちばん幸せで、それに尽きるんだということを教えてもらった気がする。

    0
    2025年12月29日
  • 燃えつきるまで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    恋を通して知った「本当の強さ」と、自分を愛すること
    今回の読書を通じて、私は恋愛が単なる「二人の出来事」ではなく、自分という人間を成長させるための大切なステップであることに深く気づかされました。

    特に心に残ったのは、恋愛における「自然体」の重要性です。どちらか一方が無理をしたり、相手に合わせて自分を殺してしまえば、その関係はいつか必ず崩れてしまいます。無理に繋ぎ止めることが正解ではなく、お互いが自然体でいられること。それができないのなら、潔く離れることも一つの選択であるという視点は、これまでの自分にはない潔さでした。

    また、恋愛の始まりと終わりに共通する「フィーリング」の正体についても考えさせられました。「なんとなく好きになった」という直感が恋の始まりであるように、別れを決める時もまた、理屈ではない感覚的なズレがきっかけになるのだと感じます。言葉にできない自分の感覚(フィーリング)を信じることは、自分を信じることと同義なのかもしれません。

    そして、この本が私に最も勇気を与えてくれたのは、「失恋や傷ついた過去は決して無駄にならない」というメッセージです。私自身、過去に大好きな人に振られ、言葉にできないほど辛い思いをした経験があります。当時は「あんなに苦しい思いをするなら、恋なんてしなければよかった」と考えたこともありました。

    しかし、今振り返れば、誰かをあんなに真っ直ぐに好きになれたこと、そしてその痛みを乗り越えて今日まで歩んできたことは、今の私の大きな誇りです。傷ついた過去があるからこそ、人の痛みに寄り添えるようになり、今の自分があるのだと確信しています。

    「恋は人を強くする」——。 恋愛がうまくいっている時だけでなく、たとえ終わってしまったとしても、人を愛した記憶は自分の中に蓄積され、自分を強くする糧になります。これからも、たとえ傷つくことがあっても、自分の感覚を大切にし、自然体のままで誰かを好きになれる自分であり続けたい。そう強く思わせてくれる読書体験でした。

    0
    2025年12月23日
  • 霧町ロマンティカ

    Posted by ブクログ

    軽井沢に移住した49歳男性が主人公。男性を主人公にして長編とは、唯川氏にしてはなんだか珍しいなという印象だった。が、読み進めるにつれ、彼の視点から色々なことが読み取れていき、面白くなった。日常系ではあるが、生きていればどんな物事もいい意味で風化していく、そんな温かいメッセージが込められている気がした。犬、泣けた。

    0
    2025年12月16日