トマス・ハリスのレビュー一覧
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購入済み
迫力ある作品だったので星5つの評価をつけますが、ハンニバルは私には最後まで謎のままの存在でした。
単純に捉えれば、感受性の強い戦争孤児だった少年が、妹を殺し、その肉を食べた人物たちへの復讐という理由で殺戮を繰り返すストーリーなのでしょうが、そう簡単には割りきれず、ハンニバルと接する大人たちも皆ハンニバルのふしぎな正体を見極めようと苦悶しているように感じました。
ミーシャと共にハンニバルは死んで怪物が生まれたという意見。
紫夫人の「あなたに人を愛する何が残っているの?」という言葉。
色々印象に残ったシーンはありましたが、
私には、鳥かごの鳥を放しながら、
「バルト海はそっちだよ、もう二度と -
購入済み
クラリスはどうなってしまうのだろう、クラリスにはあまり酷い運命を突き付けないでほしい。
レクター博士もまたどうなるのだろう。逃げきれるのか、捕まるとしたら誰に?
ハラハラしながら読みましたが、ラストだけは想定外で、ワンダーランドに入ったようなふしぎな感覚でした。
このラストはずるいぞと思いながら、なんだかほっとしたり、安堵する自分がいました。
本当のクラリスはどこにいるのか?
目覚めているのか?
クラリスとレクター博士の生涯が尽きるまでに、まだ何が起こるかわかりませんが、私もバーニーのように詮索せず、本を閉じます。
「知りすぎないほうが」ですね。 -
Posted by ブクログ
羊たちの沈黙、レッドドラゴンと読んできて、
さぁ待ちに待ったハンニバル。ようやくレクター博士が主役の本編にたどり着いた感じだ。
前作で盛大に脱獄したレクター博士は、別人になりすまして優雅な逃亡生活を送っている。猟奇的殺人を犯しながら。FBI捜査官クラリス・スターリングに手紙を送るレクター博士。愛情なのか支配なのか、殺して食べたいのか。その真意は何なのか。
スターリングと対峙する時が迫って来る。
復讐に燃えるメイスンもかなり不気味で残虐だ。怖さを引き立てる。
この順番で読んで正解だった。レクター博士とスターリングの過去の関わりを理解できるからだ。そして私もレクター博士が好きなのだと気づく。
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Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かった。
上下巻を一気読み。
サイコパスの代名詞、レクター博士はやっぱり凄かった。
FBI捜査官訓練生のクラリスが、刑務所に収監中の狂人サイコパスのレクター博士との面会から連続猟奇的殺人の犯人像に迫っていく。
とにかくレクターの狂人ぶりが、エグすぎる。
精神科医でありながら、患者を何人も殺害し、独房に収監されている。隙を見せた看護師の顔を噛みちぎったり、置き忘れのボールペンを使い刑務官を襲ったりと、危険極まりない。
脱獄のやり口には、驚くばかりだ。
でも魅力的で憎めない。信用したくなる不思議なキャラだ。
一方、クラリスは優秀な訓練生だが、派手さの無い田舎出の女性。何故かレクター -
Posted by ブクログ
既に知れ渡っているレクター博士の脱出劇の模様、バッファロウ・ビルのラストに至るまで、一旦流れ始めたら息もつかせぬ展開。細部の描写は偏執的だが、その分一つ一つ調べながら読んでいくと情景が浮き上がってくるようだった。クラリスとミスター・ガムの応酬、蛾の出現で張り詰めるその場の緊張感、手紙によって多少窺い知れる博士の感情、仕事ぶりや時折挿入されるベッラとの関係から見えるクロフォードの人間性、情感たっぷりにほんの1ページ程で綴られるエピローグ。個人的にチルトンはとてもいい味を出している。どこの職場にもいて、そして一番平均的な人間心理を投影しているキャラクターだと思う。
読み終えて、映画も確かめたくなっ -
Posted by ブクログ
映画、原作、どっちも好きかもしれない。
レクター博士の心を満たせる人は、クラリスだけなのね。
知識、教養全てのレベルが高くて、素晴らしすぎた。
これでレクターの殺人(食人)が治まっているいるのなら、ハッピーエンドなのかもしれないけど、クラリスは最初は薬で操られていたわけで、本人の意思でレクターを選んだのではないから、そこが少しもやもやするけれど、クラリスが目覚めるのでは、と時々確認しているあたり、目覚めてもおかしくないのかもしれない。
レクターはどうせ死ぬならクラリスに殺されてもいいと思っている気もするし、目覚めてほしくないとも思っているのでしょう。
どっちにしろ、博士との日々は優雅で贅 -
Posted by ブクログ
「まるでハンニバル・レクターだな」
と、他の警察モノでセリフに出てくるくらい有名な本
被害者の皮を剥ぐ「バッファロウ・ビル」と呼ばれる連続殺人鬼を追うクラリスと、豊富な知識と洞察で捜査を手助けする。"人喰い"ハンニバル・レクター博士、2人の駆け引きによって捜査が進んでいく。
この本が売れた後「サイコキラーブーム」みたいなのが起きたらしい。当時のことはよくわからないけど、よく読むサスペンスモノの中にもサイコパスが出てくることも多く、それらの
「元祖」のような感覚で読み始めてみる。
…何というか、音楽で言うと(現代のサイコスリラー)「ゴリゴリのEDM」を聴いたあとすぐに
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Posted by ブクログ
ハンニバル・シリーズを完結させてから13年も鳴りを潜めていたトマス・ハリスが帰ってきた。それもレクター博士シリーズのようなサイコ・サスペンスではなく、初期の『ブラック・サンデー』のような国際テロ小説でもなく。作者が現在生活し、その地に魅力を感じてやまないマイアミを舞台として、犯罪者たちの激闘をブラックでアップテンポな筆致で描きつつ、ひとりのニューヒロインを際立たせたエンターテインメント小説という形で。
本書は、『スカーフェイス』でお馴染みの、実在のコロンビア麻薬カルテル王パブロ・エスコバルがマイアミに実際に遺したとされる豪邸が軸となる。現在では何代目かの持ち主によって取り壊されてしまった