トマス・ハリスのレビュー一覧
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【2025年63冊目】
誘拐された娘を救出するため、上院議員はレクター博士に面会し、取引の上で情報を引き出す。一方でクラリスは、訓練生としての地位が危うくなりつつも、独自の捜査を続けていた。再びレクター博士に面会したクラリスは、彼の発する言葉からヒントを得て、犯人の思考、過去の被害者の身辺に肉薄していく――。
一気読みでした。映画のシーンを思い出しながらでしたが、クライマックスの建物内での描写にはハラハラさせられました。クラリスと犯人視点の両方が描かれてるのにシームレスに視点が切り替わるのが見事でした。翻訳者の方の腕も良かったのでしょう。
しかし、レクター博士の滲み出る色気はなんなんでしょ -
Posted by ブクログ
【2025年62冊目】
連続女性誘拐皮剥事件が世間を賑わすアメリカ。FBIの訓練生であるクラリス・スターリングは上部の要請で、ある一人の男を訪ねる。男の名はハンニバル・レクター。殺人を犯し、被害者の人肉を食べたことで精神異常犯罪者用病院に収監されている。クラリスは皮剥事件の犯人を割り出すため、レクター博士と応酬をすることになるが――。
映画を見て「これは原作も読みたい!」と手に取った一冊。映画、結構原作に忠実に作られてたことがわかってまずはにっこりしています。映画でハンニバルを演じたアンソニー・ホプキンスを思い浮かべながら読んでいました。あの人、色気すごいですよね…。
連続皮剥事件の犯人の -
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ネタバレレクター博士らしいグロテスクな脱獄。
そしてホテルでのしばしの安息と、クラリスに残したメッセージや新たに送った手紙など、良きキャラクター性。
犯人も犯人で、母親の若き姿に憧れる洋裁が得意なオネエ寄りの男。愛犬を人質にとられ、愛犬のために髪の毛を諦めて頭から撃ち抜くか…と検討する。人間味も感じられ、個性的で好き。最期は呆気なかったが。
クラリスが有能すぎるが、犯人の家を突き止めて偽名を名乗る犯人と対峙するところからワクワクする。
子羊の悲鳴は止んだかい?クラリス
クラリスの知る最も明敏な二人の人間のうち、一人は同時に彼女の知る最も堅実な人間であり、もう一人は最も恐ろしい人間だった。その二人 -
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ネタバレ映画は好きで何回か見ているが、本書は思ったよりグロ表現が少なかった。それもあって、事件の凄惨さの割には読みやすい。
やはり、レクター博士とクラリスの対話が一番面白い。話の流れは知っているものの、やっぱり面白くて一気に読めた。
映画と比べて、クラリスの研修生として、男ばかりの中の女としての苦労などをより感じる。
上巻はレクター博士に対し、協力してくれたら待遇を良くしてあげるとクラリスが説得したにも関わらず、実はそれを盗聴していたチルトンが横暴を働き、台無しにしてしまうまで。
クラリスに精液をかけた房に入っている犯罪者に対し、レクター博士は言葉だけでそいつを自殺に追い込み、クラリスに謝罪するの -
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ハンニバル・レクターさんが「ハンニバル・カンニバル」になる事情が見えてくる幼少から青年時代のお話。
とにかく文章の表現が美しい…と思いました。原語で読めばもっと味があるのでしょう。
ハンニバル少年が影響を受ける日本人の叔母さんである紫夫人の日本人像がリアルな日本人からすると「フジヤマ・ゲイシャ」っぽいのだけど、日本文化への憧憬とリスペクトはきちんと感じられました。
被爆した広島の禎子さんが血縁だったり、伊達政宗さんぽい人がご先祖だったりは、同じようなことを日本の小説でも外国人キャラに対してやっているのだろうからOK牧場です。
海外の方にとって日本女性はかく神秘的なものであるのならば、らじ家の -
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ネタバレこの物語の最初にクラリスは「理解と共感は違う。その違いを知ることが大人になるということだ。」と言っていたけれど、前作の若い頃からクラリスはレクター博士を「理解」できていて、それが今作の最後では「共感」もできてしまったということなのかな。
クラリスにとっては父親、レクター博士にとっては妹という心の大きな空洞があって、陰と陽が見事に噛み合ってしまった。もともと最初から自分たちは同族といった「理解」はあっただろうし、才色兼備な女性にありがちなクラリスの表層的な社会的鎧をレクター博士が薬と時間で溶かしてしまって、こういうラストになったのでしょう。
共通の敵となって殺されたサディストが、食肉加工会社 -
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原題 HANNIBAL
7年の時を経て(作中で)再び回り出す歯車。
レクターとスターリングは、たぶん二つの隣り合うパズルのピース。認識してるかしてないかの違いはあるけども…というのが最後の第六章「長いスプーン」を読んだ(ショックから立ち直った)後の、行き着いた感想。
レクターもスターリングも、なぜそうなった?ではなく、もともとそういう〝存在〟だったと考えれば腑に落ちる…かな。
それにしてもここで長いスプーンとは…天国と地獄、どっちだろ。
なぜハンニバルという名前にしたかも気になって調べてみた。バアル(嵐と慈雨の神)の恵み、という意味があるみたい。悪(嵐)と善(慈雨)の恵み、としてみると