髙樹のぶ子のレビュー一覧
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「伊勢物語」125章段をシャッフルし取捨選択して、時間軸の糸を通しながら在原業平の一代記として小説化するという試みで描かれた作品。
私が高校生の頃、その色男ぶりと溢れるほどの歌の才に魅力を感じ半ば惚れていたといってもいい在原業平。
その業平が15歳で初冠(ういかぶり)の儀式を終えたばかりの年から、齢55でこときれるまで、歌と恋に生きた人生を平安の雅と共に生き生きと描き出す物語に酔いしれた。
32の章からなるこの物語は、単なる業平の私歌集でも現代語訳でもない独特の文体で描かれるからこそ作中に折々挟み込まれる歌が自然と溶け込み、平安の都の風景、人々の生活、鄙の地の空気感などが自然と感じられる。 -
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「業平少しは働けよ」と業平が女の尻ばかり追いかけてる前半は特にそう思いました。
ゲーム感覚で女に手を出して、手に入れたら次の女に行く。ヒロイン高子姫(藤原基経の妹。後の皇后)にツレなくされたら昔の女のとこに戻ったりする。サイテーです。
後半に入り、たまに働いているかと思ったら仕事にかこつけて絶対手を出しちゃいけない人(もう一人のヒロイン恬子内親王。伊勢斎宮)に手出しちゃうし、、、何かにつけて加持祈祷してた時代に斎宮に手出すなんて禁忌中の禁忌ですね。やっぱりサイテーです。
皇族として生まれながら、臣下に下った悲しみとかもあるんだろうけどさぁ、だったら仲良しの源融ちゃんも一緒じゃん。融ちゃんはも -
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表紙がとても綺麗で手に取りました。
二十四節気は知っていても、それをさらに三等分した七十二候は知らない人が多いのでは?
わたしも今回初めて知りました。
雉始雊(きじはじめてなく)というように、動詞で示されているのが、分かりやすい。
どれも現代人にも理解できるもので、時代が変わっても季節の移ろいは変わらないものだなと思います。
この本では、二十四節気の春夏部分を抜き出し、また、各節気の真ん中の七十二候をタイトルに各自が短編をお書きになっています。
思えば、短い作品は触れてこなかったので、どれも不思議な余韻を残す終わり方で、こちらの想像力や読解力を掻き立てるなぁと短編の面白みを初めて知りま -
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平安初期、六歌仙の一人、絶世の美女とされた小野小町については、どのような人であったかは不明だという。この本は文字通り著者による「小説」以外の何物でもないと思う。
出羽国で中央貴族・文人の小野篁の庶子として産まれ、10歳で母と別れ、父の篁ともに宮廷に出入り、優秀な歌人として評判になり、幾人かの男性との深い関係も。当時の恋愛は和歌・文の交換だったと聞いているが、正にそのようなやり取りが…。僧正遍昭、在原業平、文屋康秀らが登場する。重要人物として篁の義弟・良実が、京への案内者、運命的な夜の当事者、そして笛を聴きつつ雪の中で最期を迎える人として登場する。そして後の日の僧正遍昭もまた…。独特の雅文調が -
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ネタバレ容姿端麗、自由奔放。和歌に生き、恋に生きた男・在原業平。かの光源氏のモデルの一人と称されるくらい、とにかく世の女性にモテまくった、という。
そんな男の生き様を、彼の創った和歌を織り交ぜながら綴られた一代記・伊勢物語。
以前からなんとなくは知っていたけれど…。それが許された時代とはいえ、ここまで恋に自由だったとは…少し呆れてしまった。
憂さを晴らすため女性に走ったかと思いきや、知り合いから頼まれて好奇心により女性の元を訪れたり、見目麗しいとの噂から高貴な女性に恋い焦がれたり。そのシチュエーションは様々で、どれだけ年が離れていようが結婚していようが全くお構いなし。
もしかして恋の駆け引きをしたい -