川原繁人のレビュー一覧
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生成AIに興味があるので読んでみた。
前に同じ著者の本を読んだことがある。
その著者が、AIに批判的な点をどうとらえているのか気になった。
音声学者というだけあって、文字情報よりも音声の言語を重視している。
「文字がない言語はあるけど、音声がない言語はない(手話は音声とみなす)」には納得。
そのうえで、AIおしゃべりアプリの問題点を「感情的な抑揚」「他の感覚を含めた随伴性」「養育者との愛着」という点で否定的な立場をとっている。
「専門家アクセント」は初めて知った。面白い。
マイクのマを低く発音するような。
確かに、その業界感があふれて来て楽しい。
SNSの広がりの時期と、精神疾患増加 -
Posted by ブクログ
子ども向けのおしゃべり生成AIというものが開発されているらしい。それへの危機感から書かれた本書だが、それ以外にも生成AIと人間の言葉の処理の仕方の違いなど、周辺のことがよくわかり、自分なりにどう向き合えばいいのかを考えるための材料が得られたと思う。
学者なので、著者個人的には否定的な意見を持ちつつ、できるだけ公平に議論を進めようとする書き方にも好感を持った。
生成AIとおしゃべりを続けた子どもが、生成AI言語と人間の言語のキメラのようなものを作り上げてしまう可能性、
生成AIの即応性や、何を言っても決して傷つかない感情のなさに慣れてしまい、人間とのコミュニケーションに支障をきたす可能性、
生 -
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音声学の入門書ではありますが、本書のなによりの魅力は、著者の川原 繁人(かわはら しげと)さんが出会った「声のプロ」たちとのエピソードだと思います。
例えば、「第一章 声から言語を考える」では、俳優の上白石萌音さんとNHKEテレの番組『スイッチインタビュー』で対談したエピソードが紹介され、「第二章 感覚をいかに言語化するか」では、歌人の俵万智さんとの出会いが紹介されていて、有名なサラダ記念日の歌は元は恋人に唐揚げ弁当を作ってあげた歌だったのをサラダに変えたというエピソードや、「さ行」は多くの空気が流れるから、俵万智さんは「爽快」というイメージで創作の中に取り入れているという音声学的な話も -
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「ラップは韻を踏む上で子音も大切」といった内容の言語学の分析がメイン。FLOWだったり母音での韻が気持ちいい要因だと思っていたので、今後はそこも意識して聴きたい。
ラップの歴史にも軽く触れており、知らなかったので知れてよかった。参考文献にあった、『ラップスター宇多丸の「ラップ史」入門』はいずれ読みたい!
最後はラッパーにインタビューをする章で、特にMummy-Dへのインタビューがよかった。当時の様子などが知れたし、Mummy-Dが丸くなっているというのも含めて。
本書で紹介された、聴こうと思った曲をメモがてら以下に記載。
・BUDDA BRAND「人間発電所」
・LAMP EYE「証言」 -
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息子がまだ小さかった頃の話で。
車に乗せていたら窓に映る自分の顔を見ながら
「ぼくのかお、きたないなあ」
と突然言い出した。
えっ何言ってんの!?と驚いて聞き返すと、実は自分を見ていたわけではなくて窓の外に見える風景を見て
「ここのかわ、きたないなあ」
と言ったのだと判明した(まあまあの雨が降ったあとで川が濁流みたいになっていたのだ)。
いきなり自分の顔に嘆く○歳児が登場したわけではなくて安心したが、こういう聞き間違いが私には多い。
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川原繁人先生の著書は一筋縄ではいかない。
というか、言語学というものが扱う範囲の広さに驚きつつ感動するのだ。
初めて読んだのは、先生ご自身の -
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言語学者である川原 繁人(かわはら しげと)さんの日本語ラップについての本です。
音声学的に日本語ラップの韻について詳しく解説されています。
川原先生は、研究者になる前からラップが大好きだったそうで、研究者となってからは日本語ラップを大学教育に取り入れて数多くのラッパーを授業に招いているそうです。
ラップの最大の特徴は韻を踏むことですが、「脚韻」と呼ばれ古くから詩歌に使われていたことは、ご存知のとおりでしょう。
日本語ラップの韻は、母音と子音の韻だけでなく、音節構造を保持して韻を踏むということも行われているそうです。(詳しくは、「第2部 言語学的ラップの世界」の「第7章 講義4: -
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ネタバレ小学生の「ことば」に関する質問を言語学者である著者が授業を行い、それを本として残したもの。
それぞれの章が小学生の素朴な質問にできるだけ専門用語を使わないように授業をするパートとそれを補足するパートに分かれている。
本のタイトルにもなっている「ぱ行」について、元々は「は行」は「ぱ行」だったという面白い研究から論を広げていく。
小学生の合いの手のおかげもあり、言語学を楽しく学べる一冊。
本編は良かったのだが、著者あとがきに「子どもにはテストで100点を取る必要はないと言っている。なぜなら世の中の答えは明確にあるものではないからだ。」のような記載があった。
これには賛同しきれない。
小学生のテス -
Posted by ブクログ
日本語ラップなどを題材にしたユニークな研究が注目されている言語学者による、言語学エッセイ。
言語学、その中でも特に音声学を専門に研究している言語学者・川原繁人さんの言語学・科学エッセイ本です。
言語学・音声学って何? どんなことやってるの? 何か役にたつの? といまいちピンとこない人にこそ読んでほしい。
ドラクエの呪文、ポケモンの進化前と進化後の名前の変化、メイド喫茶のメイドさんや、プリキュアの名前の分析、日本語ラップの韻の踏み方などとっつきやすい題材から言語学とはどのような学問かを分かりやすく、かつ楽しく説明してくれます。
日本語話者だと普段何気なく使っている母音と子音。「にせたぬき -