川原繁人のレビュー一覧
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小学生向けに行った言語学の授業を書籍化したもの。小学生向けなだけあってわかりやすいし、生徒から寄せられた質問は大人が「なんとなくスルーしがち」なものばかりで、子供のナゼナゼは改めて気付かされることが多いものです。
特に女児向けアニメ『プリキュア』のヒロインの名前分析や『ポケモン』のモンスターの進化と名前の関係についての分析は子供受けは良さそうだし身近なテーマなので大人の私も楽しめました。
古代の日本では「ぱぴぷぺぽ」がなぜか「はひふへほ」に変わってしまったという研究にはびっくり。「はひふへほ」が当たり前だったので信じられない気持ちが強いけど、アイヌ語には「ぱぴぷぺぽ」がそのまま残っているというので渋々認めざるをえない感じ。そもそも言葉がいつ発生したのか、だれもまだ知らないっていうレベルなことにも驚愕しました。
でも聖書に出てくるバベルの塔や、アダムが名前をつけたというエピソードなどが伝わっている事実は昔の人たちも言語には疑問を持っていたことを示唆していて胸熱です。 -
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子どもはもちろん、大人にこそ読んでほしい ・ポケモンは名前だけで強さがわかる
・「濁点を付けられる文字」と「濁点を付けられない文字」があるのはなぜ?
・半濁音はぱぴぷぺぽだけ
・「っ」が前に付くとあれが付く
・呪術廻戦のキャラの名前には響きが影響
過去に聞いたことがないのに、意味の違いがわかる。
「ことばが理解できる」ということは、「過去に聞いたことのある単語の意味を暗記する以上の何かを含んでる」これは当たり前のことではない!
深く頷くと同時に、普段何気なく使ってる「ことば」に興味が湧いてきた。
子どもと一緒に読んでみると楽しいと思う。
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Posted by ブクログ
言語学、その中でも音声学を研究する著者が、母校の小学校で特別授業を実施。本書はその模様を書籍化したものである。
ちょっとしたコラムや巻末の橋爪大三郎氏(社会学者)との対談を除けば、あとは著者と子どもたちとの対話形式になっている。
言語学・音声学が何たるものか、事前に子供達(小学校4−6年生)から募っていた質問を基に解説。ポケモンやプリキュア・鬼滅の刃など、彼らの興味の対象を取り入れているのもユニークなポイントの一つだ。
この特別授業は、小学生だけでなく日本語を勉強中の外国人にもピッタリだと思う。大人の自分も楽しんで学べたが、本書の子供たちと同年代の子と読んだら(あるいは受講したら)もっと盛り上がりそう!!
子供たちを退屈させないよう、著者は母校の先生方にアドバイスを請いながら授業の進め方を工夫する。(そのやりとりも余すことなく綴られていて、何だか微笑ましかった*´ー`*)
その工夫の一つが発声。濁音(が行など)を発声している時の喉の動きをMRI画像で見てみたり、発声した時に抱く言葉の印象について子供たちに意見を聞いていく。他にも隣同士で口の動きを確認し合うようなグループワークを導入したりと、授業全体にハリと活気があった。
そして読んでいる側も、思わず声に出しながら口内〜体内の様子をイメージしてしまう。年末年始のどを痛めている時に読まなくて良かったー笑(押しつぶされた吐息同然の声しか出ないだろうから。。)
「研究者を続けていて思うことは、答えがないことを考えることが一番大事だってこと。答えがすぐ出ちゃう問題って考えてもつまらない」
音声学・言語学は、我々人間の体内構造を解明するための学問だけでなく、発声方法や外国語の発音のメカニズムを客観的に掴める効用もあることが分かっている。
その一方で「原始人はどのように意思疎通を図っていたのか」「いつ誰が単語を生み出したのか」といった、時間を遡らねば分からないような疑問の解明はまだ成されていないという。
不完全さで言えば、子供の言い間違えに対する著者の視点も目から鱗だった。
幼児と大人ではそもそも声道の構造が違うので、お互い楽な言い方になったり違う発音になったりするのは当然のこと。だから子供の言い間違いを憂いたりせず、優しく観察していこうと著者は促す。(ちなみに言い間違いは徐々に自然消滅していくらしい)
言語はそのように不完全な人間が紡いできた産物。そのため上出来も不出来もなく、大人たち・ひいてはお上が「不完全だ」とみなす子供の言い間違いや若者言葉・方言だって立派な人間の言葉に含まれている。だから何にでも正解や正確さを当てはめてはいけない。
完璧主義者だったという著者が、今回恩師に教えを請いたり「文責を一手に引き受けると精神が崩壊し次の仕事に取り組めなくなる」と敢えて弱さ・不完全さを露呈させているのをみて、授業内容以上に伝えたかったのってこれらのことでは?と思い始めている。 -
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研究者夫婦がお子さんたちの言い間違いやお子さんたちが楽しんでいるアニメ・キャラクターなどを題材にして音声学の観点で考察したことが紹介されている。
読みやすくおもしろかった。
QRコードで実際の音声・動画にアクセスできるのは助かった。
音から受ける印象は、その音を発するときの口の形の大小、口の中の圧力の強弱などによって傾向があるみたいな話が繰り返しなされる。
最後の対談で歌手の方が音声学の知識を歌唱や声の演技の技術向上、教育に役立てられるみたいなことをお話していてなるほどなあ〜と思った。本文でも英語のL・Rの発音のこととか出てきたけど、より納得。
小さな子どもに話しかけるときの独特の言い回しに定着した和訳がないからと「お母さん言葉」と呼んでいたが普通に「赤ちゃん言葉」って言わないか?子育ての性別役割偏重に言及して言い訳したうえでわざわざ馴染みのない「お母さん言葉」という語を使っており、なんかちょっといやだった。 -
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タイトルの通り、小学生の質問に川原先生が答えていく本。
川原先生のポケモン言語学やプリキュアの統計が知りたいけど、言語学の詳しいことはわからない人におすすめ。
本文は小学生との対話が主なのでサクサク読めて、必要な部分に解説や補足が入っている。
2時間目「ぱぴぷぺぽ」に関するエトセトラ や 3時間目 子どもの言い間違いを愛でる が特に面白かった。
なぜぱぴぷぺぽがつく言葉は外国語に多いの?や
なぜあいうえお表はあの順番なの?など、考えてみたことがなかったけれど改めて思うと不思議な謎の答えがわかる。
あかさたなはまやらわの順序にも法則があったんだ!と初めて知った。
何か新しい分野をかじってみたいけど、難しいことはわからない。でも面白いことを知りたい気分、って人におすすめ。 -
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ネタバレ子どもが言語を習得していくのを間近で見ていて、単語を何らかの法則性を持ってアレンジしているのが不思議で、何か学べないかしら…と思って手に取った。
…音声学の世界、面白すぎ…!
音の分類や発声時の口腔内構造など突っ込んだ内容も解説しているが、著者が「面白いでしょ、面白いでしょ」と喫茶店で好きなことを近くでいっぱい語ってくれているような熱さが感じられ、夢中で読み切ってしまった。著者の研究テーマもプリキュア、ポケモン、コギャル語、日本語ラップ…と魅力的。
子どもの言い間違い(→正確には間違えている…というより、言い換え?)は音韻学で説明がつくことも多い。
・両唇音は赤ちゃんが最初に発する。音象徴。両唇がふさがり、鼻から空気が流れる哺乳行動由来?
・子音は調音点(どこで発音)、調音法(どうやって発音)、有声性(声帯振動)で分類
・母音は発音時の舌の高さ、前後の舌の位置で分類
・子どもの発音は決して未熟な発音とは言い切れない
・2文字分が標準
・子音がひっくり返りがち
・後ろの音を大事にする
・繰り返しが好き -
Posted by ブクログ
小学生の時から翻訳家になりたかったり、センター試験の勉強で発音記号の面白さに気付いてしまい「言語」にはたぶんずっと興味はあった。
大学では「純ジャパ」ながら言語学のゼミに入り、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)を学び、スペイン語もど初心者だったのにバスク語の研究を齧った。そして難しすぎてほんとに齧って終わった。(ごめんなさい)
でも、言葉は面白いと思っている。社会人になって、仕事の都合上、中国語を学ぶ機会があったのがとても面白かった。が、頭でわかっていても思った通りの発音が出来ない言語だった。同じ漢字なのに英語より難しいのなんで…と泣いた。
初めて韓国に降り立ったのは仁川空港でのトランジット。なぜ、隣の国の言葉なのに全く分からないのか驚いた。(欧州に行けば仏だろうと西だろうとアルファベットで単語も似ていてなんとなく分かる)
そして数年前からK-Pop界に足を踏み入れ、ハングルを勉強してみようかな(の状態が3年超続いている)となったんだけど、古に学んだ発音記号の知識はめちゃくちゃ役立っている。
と、前置きが長くなったけれど。
何故この本を読みたいリストに入れていたのかは分からない。どこで出会ったのか。
ナムペン(BTSのRMのファンのこと)、ラプラペン(BTSのラップメンバーのファンのこと)を拗らせすぎて、ラップの研究をしようと思っていたのか。
実態として世界の共通語となっている英語を母語としない私たちは、母語と英語をミックスして使うことが当たり前になっていて、似た発音、異なる発音をうまく使い分けている。それは韓国も同じ。
東方神起やBIGBANGからK-popは聴いていたがバンタンに出会い歌詞の哲学性やラップの面白さにドツボにハマった。沼である、沼。初見でカッコイイ。(怒られるかもだけどビジュがというよりはオーラがカッケー!という感じ)気になるから歌詞の和訳を調べると、え、めちゃくちゃ深い。哲学的。政治的。社会的。
そして韓国語のオトの面白さ。韻の面白さ。日本語ともラテン語源とも違う独特の音。日本語と共通の単語や発音。悲しい歴史も含めて、あらためて言語に興味を持った。
奇しくも私も幼児の成長も近くで見ている。言葉を学ぶ過程。家で使わない乱暴な言葉(ため息)にいつの間にか直っていた言い間違い。(ピリリ=テレビ等)いつの間にか彼の頭に装備された平仮名やカタカナという文字。発音。教えていないのに音の持つイメージ。(自作恐竜の名前になぜ濁音がたくさん入るのか、とかね)
なんとなく、肌で感じていた音のもつイメージを言語学なんだけど身近な事例や90年代を生きた世代に嬉しいアーティスト(zeebraとか)を用いて分かりやすく解説してくれる、興味深い一冊でした。
「言葉」を持つ唯一の生物としてのミステリーを
「人間「 × ×のせい」って思いがちだけど、ラップはそんな思いを「 × ×のおかげ」に変える力を持っている」このフレーズは私がラップを好きな理由を纏めてくれている気がする。そう、ラップはその人の人生そのもの。
ぜひBTSのリリックの巧妙さを著者には見て、分析頂きたいと思った。 -
Posted by ブクログ
本屋でたまたま目に入り購入。
自分自身、日本語ラップやアニメが好きなので興味を持った。
生まれてからずっと使い続けて来た日本語の深さに触れることができた。
新たに知ることができたこと。
メイド名研究の項で、音声学には共鳴音と阻害音という区別があるという事。濁音が付くのが阻害音、つかないのが共鳴音という事らしい。
確かに、昔からレナとかリナとかナナとかはギャルっぽいとか源氏名っぽい名前だな、って思ってた事が言語化されて長年の疑問が溶けた。そうか、そういう名前は共鳴音という濁音がつかない文字で構成されていたんだな。
阻害音が入る名前はどこか和風なイメージがぼんやりあったのもそういうところだ。
ポケモンの名前の研究では進化するほど濁音が増えていく法則なども納得。
このような、日常にあるありふれた固有名詞が持つイメージが言語化されて解説される爽快感があった。
そういった事以外だと、後半にあるALSの方用のマイボイスというサービスの開発に携わった話はウルっと来た。
もし自分の大切な人が声を出せなくなったら、など今までは考えた事は無かった。
言語学というものが社会の役に立つのか、と著者の川原先生は苦悩したこともあったらしい。
この開発への参加を通しての貢献、ほかの学生ボランティアの人生に影響を与えた事など、川原先生の奥さんが言った「あなたの研究を通して学生さんたちに面白いと思わせたら、それは立派な社会貢献なんじゃない?学問の楽しさを伝えるのも大事な仕事よ」という言葉に集約されているように思えた。
この言葉は自分に取ってもとても励みになった。自身の仕事に置き換えて考えてみようと思う。
言語学という分野について何一つ興味が無かった自分にも楽しく読めた1冊。
普段の生活の中で飛び込んでくる言葉や文字の聞こえ方と見え方が今後は変わると思う。
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「はじめに」で著者が書いている通り、言語学について真面目に扱いつつも具体的なエピソードが交えられておりとても面白い。
共鳴音と阻害音を伝えるために「女性の写真では共鳴音を含む名前がより魅力的とされ、男性の写真では阻害音を含む名前がより魅力的とされる傾向にある」という論文から、メイドには「萌えタイプ」と「ツンタイプ」の2タイプがいると仮定して「萌え」=「女性的」=「共鳴音」、「ツン」=「男性的」=「阻害音」を検証しようとする発想がすごい。
著者の義母の使う好きな方言ランキングで、「んだっちゃ」をあげ、それが同意を表していること、さらにそれに似て非なる『うる星やつら』のラムちゃんの「だっちゃ」が「私はラムちゃんだよ」の役割語(類義語として「ござる」「んじゃ」)であることも書いている。普段何気なく使う言葉の中でも、「役割語」という概念があったりと、言語学という世界が広がっているのだと知って楽しくなった。
言葉が与えるイメージが学術的に証明されていたが、そもそもそういう証明をしようという発想がすごい。
山寺宏一さんの声が科学的に検証されていたのもおもしろかった。
そして、言語学がおもしろいというだけではなく、ALSになった患者に対して自身の声を録音した音声ソフトを作成する活動を行ったり、コロナにおいて正しい情報をどんな言語を使う人に対しても伝えられるような活動を行ったりと、役に立つ学問であることもしっかりと伝えていた本だった。
ぜひ著者の授業を受講してみたいし、普段の言葉も大切に疑問を持ちながら使っていきたい。