【感想・ネタバレ】音とことばのふしぎな世界 メイド声から英語の達人までのレビュー

あらすじ

大小がないはずの文字を音で聴くとなぜか大小を感じてしまう。また存在しない母音を聴いてしまう日本人など、音声をめぐる話題満載。

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Posted by ブクログ

音声学の、特に調音と知覚について、日常にある疑問を解説してくれる本。豊富な図やグラフ、サイト上の音声や動画により具体的にイメージしやすいように工夫されている。

ことばは脳で聴いている、という事が改めてイメージできた。母語に無い音も、ブレンドされた中間の音も、“いつも”のことばに違いないと脳が判断するから、聞き取りにくくても聞けるすばらしさがあるんだろう。

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2016年07月16日

Posted by ブクログ

息子がまだ小さかった頃の話で。
車に乗せていたら窓に映る自分の顔を見ながら
「ぼくのかお、きたないなあ」
と突然言い出した。

えっ何言ってんの!?と驚いて聞き返すと、実は自分を見ていたわけではなくて窓の外に見える風景を見て
「ここのかわ、きたないなあ」
と言ったのだと判明した(まあまあの雨が降ったあとで川が濁流みたいになっていたのだ)。

いきなり自分の顔に嘆く○歳児が登場したわけではなくて安心したが、こういう聞き間違いが私には多い。

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川原繁人先生の著書は一筋縄ではいかない。
というか、言語学というものが扱う範囲の広さに驚きつつ感動するのだ。
初めて読んだのは、先生ご自身の娘さんの"いいまつがい"を紹介された「音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む」だった。
私たち素人であれば「面白い」「かわいい」で終わってしまう間違いにも音声学的な理由があることをわかりやすくも楽しく解説されており、非常に興味深く読んだ。

怪獣の名前にはなぜ濁音が多いのか、とか。
お菓子の名前につけられがちな特徴とか。
音の持つ特徴、語感みたいなものがどこから来るのか、本書でもいろいろ解説されていて面白い。
口の開き方、舌の動き、空気の通り方などにより音の響きは変わり、これらが語感の元になる不思議。
理屈はわかるが理由はよくわからないのが正直なところではあるのだけど、フォルマントや声紋分析など相当専門的な図も使って解説される"音の不思議"はとても刺激的。

川原先生が深く日本語ラップの研究をされており、ラッパーさんたちともかなり交流されているのは有名な話だが、本書でもラップにおける"押韻"の話題が出てくる。韻を踏むためには母音が揃っていないといけないわけだが実はそれだけでなく子音にも秘密があるという、かなり面白い話。

外国語学習などについても触れられており、音やことばに興味がある人にはおすすめ。ボリュームはさほど多くないが、言語聴覚士さんとの連携などについても触れられている。こちらも個人的に関心を持った。

ただ、三角関数とか指数関数の理解が必要となると…正直、ちょっとハードル高いっす。

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大好きな作詞家、藤林聖子さんの作品には独特の押韻や語呂合わせが使われていることが多い。そこがお気に入りポイントのひとつなのだけど、もしかして息子の「ぼくのかお、きたないなあ」(←違います)にも通じるものがあったりは…

しませんね。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

「キーフレーズ」
⭐︎音象徴
音から意味の連想が直接起きる現象
⭐︎阻害音と共鳴音
 阻害音;カ、サ、タ、パ、ハ行
 共鳴音;ナ、マ、ヤ、ラ、ワ行
 日本語で濁点がつく=阻害音=角張ったイメージ
 日本語で濁点がつかない=共鳴音=丸いイメージ
上記のように一般的なイメージを想起させることがある

川原繁人 音声学、音韻学専門

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2024年09月15日

Posted by ブクログ

面白い研究してる言語学の教授がいる!
説明がわかりやすい!
日本語のラップとか
メイドさんの名前とか
親しみやすいテーマで言語学を身近に感じた。

ゴジラってゴリラとクジラを足して
出来た名前なんだって。
じゃ、クリラでもよかった訳?
クリラじゃ弱そう。
何で弱そうって感じる?
そう感じるのは日本人だけ?
そんな感じで分析されていく。

言語学入門書として
最高だと思う。
高校生が読んだら、
大学で言語学選択したくなるかもね。

私の卒論、実は言語学でした!

もっと他の著書も読みたい。
ワクワクする学術書でした。

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2024年07月20日

Posted by ブクログ

表紙はとっつきにくそうに見えるけれど、そんなことはなく、身近な例をあげて音声学について解説されていてとても読みやすかった。発音と意味に相関はあるのか?外国語の発音はなぜ聞き取れないか?など、どれも興味深かった。

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2021年11月18日

Posted by ブクログ

学生時代音声学に触れて、その頃はあまり面白さを感じなかったのですが、この本を読んで音声学に学生時代に気がつかなかった面白さを教えてもらえました。

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2020年04月19日

Posted by ブクログ

人の話すことばを、分析し、記述し、実際の現場に活かす学問、音声学。
舌の位置による調音点や、どのように音を出すかという調音法を分析すると、あら不思議、世界中のどのような言語も記述できてしまうのだから驚きだ。
このような分析は外国語習得の助けにもなる。

声紋分析など、音声学には三角関数や対数関数も必須。
様々な分野ともつながる、興味深い学問だ。

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2019年04月22日

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言葉の発し方と知覚の科学的分析方法。MRIにより詳細な口腔内の動きが分かりそれと発音の分析ができるようになった。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

分かりやすい入門書

マルとミル、どっちが大きい?
架空の2つの単語に、大小の机どっちがどっちを表すか聞いたところ、
多くが「マル」が大きい机で、「ミル」が小さい机と答えた
これはあらゆる言語話者でも共通の結果になった
つまりある音に対して、母語が何語でも、共通した特定のイメージを想起させる要素が音声にはある
人間の発音機構自体(舌や口の構造)は共通しているので
口を広げる音→大きなイメージ
口を狭める音→小さいイメージ
というように、発声時の物理的な違いがイメージの違いを生じさせるのでは?
→"音象徴"という考え方

……等々、音声学というとっつきにくい学問のハードルを可能な限り下げ、面白いとこだけ上手く抽出していると思った。
(それでもやはりグラフや画像分析の話は難しく感じるけど……)

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2022年09月06日

Posted by ブクログ

言語学者による本。各国の音と言葉を「文字で見える化」し、分析している。普段何気なく話している言葉や外国語との違いなど、あらためて解説されるとなるほど、と思えることがあった。

例えば「ん」という発音は、その後に来る言葉によって日本語でも何通りか違いがあること、日本語には必ず母音がついてくるが、英語では子音が続いたり母音がない言葉が多く存在すること、日本語の「ふ」は英語圏の人からは「う」と聞き分けがつきづらいなど。

このように、各国や地域による言語の特徴がそれぞれ違うので、その言語習慣の相性によって他国語の習得に得手不得手が出てくるという。残念ながら日本語と英語は相性があまり良くないようで、それも日本人が多く持つであろう英語アレルギーに繋がってしまう。

しかし本書ではこうした言語による違いはあれど、「完璧に」習得する必要はなく、慣れによってコミュニケーションは可能であるとまとめている。

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2022年06月26日

Posted by ブクログ

声に出して読みたい科学啓蒙書。音声学。

マイボイスの試み。
将来自分の声が失われると分かっている難病(特にALS)の患者さんの声をあらかじめ録音し、声が失われた後もパソコンを通して再生することを可能にするソフト。

赤ちゃんはテレビを視聴するだけでは音を学ぶことが出来ない。実際に話しかける、人と接しながらでないと音(言語)を学べないという。コミュニケーションの現場で発せられる音のみを重要な情報として捉えている、と。

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2016年03月10日

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