川原繁人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ言語学ってなに?ってレベルだったけど、学問の本らしからぬハジけた装丁(うまい)と、ドラクエやポケモンなどの文字列にまんまと惹かれて読んでみた。
そして期待通り、わかりやすく楽しく言語学・音声学を学べた!
一緒に法則を発見しながら読んでいけて、面白さがちょっとわかった。入門としてとてもすてきな本。
普段意識していなくても、自分もみんなも当たり前に身につけている言語や音声の法則がこんなにあるんだなあ。英語圏の人が英語の構造をそんな理解せずに使っているという感覚が謎だったけど、日本語でも同じことが起きてて理解できた。「にせたぬきじる」も、当たり前に「にせたぬき」+「しる」だと分かる。
連濁とライマンの法則は特に面白くてお気に入り。日本語は「っ」+「濁音」が嫌い、ひとつの単語にふたつの濁音が入ることを嫌う、本当だ!
ハ行はもともとパ行だったという話も、清音(無声音)と濁音(有声音)の比較を見て納得!t・d、k・g、s・zの関係性と、h・bの関係性は違って、同じなのはp・b。とっても面白い。
ドラクエの新しくできた呪文いまいちどれが一番強いのかわからんなーとストレスを感じてたのは、これまでの法則に当てはまらないからだったんだな。子どもながらに無意識に法則を理解していたらしい。ポケモン名とかは意識的にわかってたけど。
人の名前が本人や周囲に与える印象や影響についても考えていたのだけど、音声学的にも裏付けがあるということで、今後名付けの際には両唇音だ濁点だとか考えながら決めたいと思う!
学問的にも勉強になったのだけど、著者さんの視点や生き方からも学べるところが多かった。
“言語学者は、特別な理由がない限り、言語に対して「かくあるべし」という言い方をするのを好まず、「あーこういうことが起きたんだー。どうしてそうなるんだろー」と観察と分析に心血を注ぐ生き物なのだ。” (p.168) とか、“「できない=恥ずかしい」ではなくて、「できない=可愛い」の方が強いんじゃないかな” (p.174) 、東京方言を標準語を呼ばないし訛りは素敵だとか、物事を見る時の柔軟で優しい視点、とても素敵だと思った。見習って、「間違いだ!直せ!」ではなく「かわいいな」「おもしろいな」と思う心で生きたい。
それに、とても楽しそうに生きているなという印象を受けた。日常の中でも研究の中でもおもしろいものを見つける態勢ができている。わくわくして、自分の足で動いて、自分の頭で考えて、人に感謝して、人の役に立つことを考えて。もちろん楽しいだけではないけれど、楽しむ姿勢が素晴らしい。自分が持っている限られた時間も、こういう風に使っていけたらいいよな。
あと、山寺宏一さん、すごいとは思っていたけど言語学的観点から見ると益々すごすぎて大尊敬!ジム・キャリーの吹替の時は英語訛りになってる、かまめしどんの時は母音も子音も宮城方言で素敵な鼻濁音、銭形警部の時はアメリカ人声優のように声帯だけでなく披裂軟骨も振動させている、とか何⁉︎ 神にもほどがあるよね‼︎ -
Posted by ブクログ
生成AIは使い方によっては超便利。
一方で、「これに頼りきってたらなんかやばそう」という危機感や違和感もある。
そこをスッキリ科学的な視点から言語化してくれるのかなという期待を込めて手に取った。
意外とそうでもなかった。
「なんかやばそう」の域を出るような科学的な根拠はまだないんだなと。「まあ、、そうだよね、まあね、そうなんだけどね」という感想を抱く時間が多かったかな。
使い方によって危険なものになりうるという部分は完全同意だけど、その論調が強くて、一貫はしてるけど同じことの繰り返しのように感じた。
専門の言語学に関する知識は興味深かったし、対談もよかった。あとがきも葛藤が見えて面白かった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ言語の発達に欠かせないのは社会的随伴性。子供はテレビから言葉を学ばない。言語とはコミュニケーションのツールであって、文字情報ではない。
子ども、特に乳幼児にA Iはよくない。
生成AIは本当のように嘘をつくことがある。
生成AIは音声を正しく発声できない。
生成AIは人間のような体を持たない。
これらのことを、知っておくことが重要。まさにそう思う。
生成AIがいくら進化しても、人が人として考えたり、間違えたり、失敗しながらも、笑ったり、泣いたり、怒ったり…そんな人間らしい姿があると信じて、子どもにとって何がいいか、新薬と同じようにじっくり考えていきたい。
とりあえず、スマホはできるだけ持たせるのを遅らせるのが大切。 -
Posted by ブクログ
生成AIを(特に子どもに)使うことについて警鐘をならしています。
一方的に批判的であった著者は、実際にChatGPTを使い性能を確かめます。
その結果、言語学者として、ChatGPT音声のアクセントがポンコツであることが、「アクセント辞書」が著作権保護のために訓練データとして取り込めていないからだと気付きます。
また、生成AIを得体の知れないものと捉え、それに子どもを委ねることの危険性を説きます。
そこには、1 身体性の欠如、2 非常に限定的な感覚刺激、3 非言語コミュニケーションの欠如、4 他者理解の困難、5 誤情報・偏見のリスクがあり、子どもにとっては未知数だと言います。
曰く、「感覚の成長には五感が不可欠」であり、「思い通りにならないからこそ人と話す意味がある」。
巻末には、「大人が生成AIを使う際に気をつけてほしいこと」として、
1 生成AIは人間ではありません
2 動かすには、想像以上の電力が必要です
3 まちがったことも、まるで本当のように話します
4 話し方や出力の傾向も、モデルによって大きく異なります
5 AIにまかせられない学びは、たくさんあります
を掲げています。
あなたは、どうお考えになるでしょうか?
〔作品紹介・あらすじ〕
生成AIと人間の言語システムには、決定的な違いがある─それにもかかわらず、今、言語習得過程にある子どもたちに「おしゃべりする生成AI」が手渡されようとしている。2児の父でもある言語学者が、切実な危機感を込めて警鐘を鳴らす。