川原繁人のレビュー一覧
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本屋でたまたま目に入り購入。
自分自身、日本語ラップやアニメが好きなので興味を持った。
生まれてからずっと使い続けて来た日本語の深さに触れることができた。
新たに知ることができたこと。
メイド名研究の項で、音声学には共鳴音と阻害音という区別があるという事。濁音が付くのが阻害音、つかないのが共鳴音という事らしい。
確かに、昔からレナとかリナとかナナとかはギャルっぽいとか源氏名っぽい名前だな、って思ってた事が言語化されて長年の疑問が溶けた。そうか、そういう名前は共鳴音という濁音がつかない文字で構成されていたんだな。
阻害音が入る名前はどこか和風なイメージがぼんやりあったのもそういうところだ。
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「はじめに」で著者が書いている通り、言語学について真面目に扱いつつも具体的なエピソードが交えられておりとても面白い。
共鳴音と阻害音を伝えるために「女性の写真では共鳴音を含む名前がより魅力的とされ、男性の写真では阻害音を含む名前がより魅力的とされる傾向にある」という論文から、メイドには「萌えタイプ」と「ツンタイプ」の2タイプがいると仮定して「萌え」=「女性的」=「共鳴音」、「ツン」=「男性的」=「阻害音」を検証しようとする発想がすごい。
著者の義母の使う好きな方言ランキングで、「んだっちゃ」をあげ、それが同意を表していること、さらにそれに似て非なる『うる星やつら』のラムちゃんの「だっちゃ」が「 -
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ネタバレ言語学ってなに?ってレベルだったけど、学問の本らしからぬハジけた装丁(うまい)と、ドラクエやポケモンなどの文字列にまんまと惹かれて読んでみた。
そして期待通り、わかりやすく楽しく言語学・音声学を学べた!
一緒に法則を発見しながら読んでいけて、面白さがちょっとわかった。入門としてとてもすてきな本。
普段意識していなくても、自分もみんなも当たり前に身につけている言語や音声の法則がこんなにあるんだなあ。英語圏の人が英語の構造をそんな理解せずに使っているという感覚が謎だったけど、日本語でも同じことが起きてて理解できた。「にせたぬきじる」も、当たり前に「にせたぬき」+「しる」だと分かる。
連濁とライマ -
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音声に関わる学問、今まで想像したことのない分野だった。きっとアナウンス、歌唱などの発音のベストを目指していく上では非常に有益な学問だろうと思った。そして詩歌の音の響きも。俳優の上白石萌音、そして歌人の俵万智、ゴスペラーズの北山陽一、ラッパーのZeebraがこの著者に関心を持って接点が生まれたことはそのことを物語っている。萌音の「千と千尋の神隠し」の主役を演じる時の音響と地声で「さびしくなるよ」の比較分析は興味深かった。文字にするとニュアンスが出ないが、彼女の声は明確に違いを打ち出していた!文字の限界を補うために生まれたのが、絵文字であるという説明には頷けた。そして俵万智の歌の響きの快さも発音し
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にせたぬきじる にせだぬきじる
これらの表現を過去に聞いたことがある人は、まずいないということ、そして、それにもかかわらず、保護場所であれば、意味の違いがわかるということです。過去に聞いたことがないのに、意味の違いがわかると言うのは非常に大事なことです。この事実は、言葉が理解できると言う事は、過去に聞いたことのある単語の意味を暗記する以上の何かを含んでいることを示しています。これは当たり前のことではありません。なぜなら、過去に聞いたことのない表現は、原理的には無限に存在します。つまり、人間は無限に存在し得る表現の意味を理解する能力を持っているわけです。
連濁 2つの単語がくっつくと後ろの単語 -
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202508
- 言語学者である川原繁人が4人の「ことば」のプロたちと語り合った対談をまとめた書籍。
- 歌人・ラッパー・声優・言語学者
- 短歌詠んでみたくなる、ラップやってみたくなる、ボイトレ受けてみたくなる、大学に入り直してみたくなる
第1章 言語学から見える短歌の景色
- 俵万智、歌人
- 俵万智の短歌には[s]音を繰り返す作品が多い印象を受けます
- 私はとりわけ[s]音が好きで、あらためて自分の短歌を読み返すと「サ行」が多い
- 「さくらさくらさくら咲き初め咲き終りなにもなかったような公園」(サラダ記念日)
- 「さんがつのさんさんさびしき陽をあつめ卒業して -
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小学校で自分がやった授業を会話劇形式でまとめたもの。
小学生は相当本質的な質問をするので、それに答えることで言語学が今どんな研究をしているかまで話せてしまう。
しかも質問が多岐に渡るので、ものすごく広範な内容を紹介できる。言語学初心者には知らないことが結構あって面白かった。
小学生の疑問を見ていて、今の自分はこんな深い疑問を考えつかないなってちょっと不思議な嫉妬を覚えた。まだ私にもその力が残っているのかしら。
教育学ではあるあるなのだが、授業の記録と分析を行う上で会話(誰がどのように発話したか)の記録は非常に重要なプロセス。
この本は授業の記録をまさに会話劇形式で紹介してくれて、それゆえに本