川原繁人のレビュー一覧
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言語学者である川原 繁人(かわはら しげと)さんの日本語ラップについての本です。
音声学的に日本語ラップの韻について詳しく解説されています。
川原先生は、研究者になる前からラップが大好きだったそうで、研究者となってからは日本語ラップを大学教育に取り入れて数多くのラッパーを授業に招いているそうです。
ラップの最大の特徴は韻を踏むことですが、「脚韻」と呼ばれ古くから詩歌に使われていたことは、ご存知のとおりでしょう。
日本語ラップの韻は、母音と子音の韻だけでなく、音節構造を保持して韻を踏むということも行われているそうです。(詳しくは、「第2部 言語学的ラップの世界」の「第7章 講義4:日本語ラップは言語芸術である」をご参照ください。)
日本語ラップのリリックで用いられている韻の詳しい解説を読むと、気が付かなかったことがいろいろ分かりますし、ラッパーの言語感覚やリズム感の鋭さに感心します。
俵万智さんの著書『生きる言葉』の「3 気分のアガる表現」には、日本語ラップと短歌との繋がりや、川原先生のお話が出てきますので、併せて読まれることもオススメします。より楽し韻じゃないかと思います♡
【目次】
第1部 日本語ラップと言語学者
(言語学って何ですか?;朝礼:先生の長い思い出ばなし;エピソード0:言語学者、日本語ラップの韻を分析する(’06))
第2部 言語学的ラップの世界
(講義1:レジェンドラッパーたちを大学の授業に招く;講義2:ヒップホップの誕生とその歴史;講義3:制約は創造の母である;講義4:日本語ラップは言語芸術である)
第3部 日本語ラップの現在地―インタビュー聞き手:川原繁人・しあ
(TKda黒ぶち「ネガティブこそ武器になるラップの世界」;晋平太「子どもからお年寄りまで、誰もが楽しめる日本語ラップ」;Mummy‐D「歴史を紐解いて考えるMummy‐Dが見てきた日本語ラップの本質」) -
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ネタバレ小学生の「ことば」に関する質問を言語学者である著者が授業を行い、それを本として残したもの。
それぞれの章が小学生の素朴な質問にできるだけ専門用語を使わないように授業をするパートとそれを補足するパートに分かれている。
本のタイトルにもなっている「ぱ行」について、元々は「は行」は「ぱ行」だったという面白い研究から論を広げていく。
小学生の合いの手のおかげもあり、言語学を楽しく学べる一冊。
本編は良かったのだが、著者あとがきに「子どもにはテストで100点を取る必要はないと言っている。なぜなら世の中の答えは明確にあるものではないからだ。」のような記載があった。
これには賛同しきれない。
小学生のテストはどちらかといえば確認テストの側面が強い。覚えたことをいかにして吐き出せるかを見ているのだから、80点でいいということはないように思える。
確かに世の中の答えは明確ではないが、それと小学生のテストは性質が異なるものだと思う。 -
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日本語ラップなどを題材にしたユニークな研究が注目されている言語学者による、言語学エッセイ。
言語学、その中でも特に音声学を専門に研究している言語学者・川原繁人さんの言語学・科学エッセイ本です。
言語学・音声学って何? どんなことやってるの? 何か役にたつの? といまいちピンとこない人にこそ読んでほしい。
ドラクエの呪文、ポケモンの進化前と進化後の名前の変化、メイド喫茶のメイドさんや、プリキュアの名前の分析、日本語ラップの韻の踏み方などとっつきやすい題材から言語学とはどのような学問かを分かりやすく、かつ楽しく説明してくれます。
日本語話者だと普段何気なく使っている母音と子音。「にせたぬきじる」と「にせだぬきじる」の使い分け。「頭が赤い魚を食べる猫」という表現は何種類の解釈が可能かなど、改めて説明されると感服するような事ばかり。
個人的に一点だけ腑に落ちないのが、「日本語の音には必ず母音が隠れている」という話に関係して。日本語は基本母音と子音が一塊になっている……はわかる。日本語は子音だけで音を発する事はあまりしない……も分かる。外国語(例えば英語)には、子音だけの単語が存在する……のも感覚ではわかるんですが、じゃあいざそれを自分で発音しようとなると、母音を入れずに発音するって未だにどういうことかよく分かってません。母音がない音って何……母音がない音を聞き取るとか、入れずに発音するって難易度高くないですか??
どうやら日本人は子音が続く単語に母音を脳内補完しがちらしく、川原先生曰く他の著作でも触れているそうなので、そのうち別の本も読んでみたいです。
また、自分の研究をどう社会へ還元するかというお話の中での、ALS患者さんたちの為の音声読み上げソフトの改善に関わった話、コロナ禍での少数言語話者に正しい情報を伝えるための活動など、自分のもてる知識や人脈を活用して奔走する姿には感動しました。
学者さんというと、どうしても特定のコミュニティの中でひたすら研究をしている姿を想像しがちですが、対外的なアグレッシブさのようなものも必要なのだなと改めて実感できたような気がします。
普段触れる事のない学問の世界に触れられる、興味深い1冊でした。 -
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ネタバレかわいい音声学!
学生の頃、少しかじった音声学・音韻論。残念ながら発音も聞き分けるのも苦手だし、例の表は覚えきれなかったが、分析は好きだった。この本は著者が子どもの言語習得を観察しながら言い間違いに注目して音声学の分析を語る本である。プリキュアからポケモンまで、自分で考えたくなる例がたくさんある。自分が小さい頃の事例で知っているのは、「スパゲチー」(スパゲッティ)と「おとしやか」(おしとやか)だ。分析してみたい。
ほかにも名前とあだ名の共鳴音・阻害音とか、卒アル片手に研究したいくらい。そういえば、p.218で触れられていた「ガッキー」と「ばっさー」は、サバサバ系というかいわゆる「女子」的なかわいいではない魅力がある人だから濁音からのあだ名がしっくりきているのではないかと自分は思う。
最後にゴスペラーズの北山陽一さんとの対談が掲載されている。こういう研究が歌手や俳優や声優など声を使うお仕事の人に役立っていくと考えたらとても面白い。まぁ、研究は役に立たないとダメなわけでもないけど。 -
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ー授業後の振り返り、p110から抜粋ー
小養先生(川原の中学年の担任) /
今までの授業もすごくいいんだけど、小学生に「わかった?」 って聞いちゃダメ。「わかった?」って聞かれたら、小学生は「わかった」としか思 えなくなる。だから「わかった?」っていうのは禁句の一つ。
三苫先生(川原の幼稚園の担任) /
そうねえ。それはそう。
川原/
全然意識してなかったです。じゃあどうすれば?
小菅先生/
いろいろあると思うよ。「質問ある?」でもだいぶ違うと思う。それから、「どれくらいわかった?」って聞いてもいいと思う。
あとは、長丁場だから、授業を聞いてるだけじゃ小学生は飽きちゃう。何か子ども同士で作業をさせてみるといいと思う。となりの子どもと話し合うみたいな簡単な ことでもいいから。 -
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話題の川原先生の本。
でも実はちゃんと読むのは初めてかも。
本書は、川原さんの母校でもある和光小学校で実施した特別授業を編集したとのこと。
2時間半だったと知ってビックリするのだが、次々と面白い質問が並ぶ。
平仮名には濁点がつけられるものとそうでないものがあるのはなぜ?という冒頭の質問からいきなりビックリ。
そういえばそうだよなあ…と思いながら、長い間それを聞いてはいけないような気がしていた。
説明は、「濁点は声帯が振動する記号」、つけられない音は、そもそも声帯が振動する音だから、とのこと。
さすが音声学者という感じのわかりやすさだった。
それから、阻害音、共鳴音という区分を初めて知った。
昔日本語教師の検定を取る時、音声学も少しは勉強したが、この区分は聞いたことがない。
破裂音、摩擦音をまとめて阻害音というのだそうだ。
破裂音、摩擦音、破擦音などなどの区分の上にあるということなのかわからないが…。
こういう区分をすることの意味があると思うのだが、それは何だろう、と思いながら読んだ。
それから、「擬情語」という言葉も初めて知った。
ずきずきなど、感情を表すオノマトペだそうだ。
「にぴき」「ごぴき」がなぜ間違いなのか、も面白かった。
最後の橋爪大三郎さんとの対談は、大満足の付録だった。