川原繁人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初から最後まで著者の主張に一貫性があり、ブレずにいてくれるので非常にわかりやすい。
タイトルを読んだだけでも著者が生成AIを子ども(特に乳幼児)に使わせることには反対しているのが伝わるが、それをいろんな視点から考察しているのが非常に興味深く自分も賛成する点ばかりでした。
今後生成AIがどれほど人間に近づくのか未知数ではありますが、今のところ生成AIは不確実な情報を自信を持って伝えてくるというのは自分も実感しているのでその点においてだけでも子どもに使わせるのは違うかなあと思います。
また子どもに対してという点からは少しずれますが、言葉だけでの共感は示してくれるけれどそこには対人間間での共感なら -
Posted by ブクログ
僕には子供がいない。だから子育ての大変さはわからない。けど、そういうときになったら、子供に対して安易にスマホを与えないようにするためにも読み返すべきだと感じた。(あるいは子育て中の方には読んでもらいたい内容だと思った)
本書でも論じられていたけれど、AI自体というよりかはスマホ自体が子供(乳幼児レベルから)に与える影響について誰もわからないという点がこわいなと思う。
スマホを子供に与えることを『臨床試験を経ていない新薬を小児に投与する』と例えている点は、まさにその異常さを表していて、世界レベルで人体実験を行なっているという強めの表現になるのも納得できる。
スマホなしで生活するのが難しいか -
Posted by ブクログ
言語学自体は、文学部で講義をとっていたため表面上は知っていたが、これほど身近で、これほど奥深いものだとは思わなかった。著者は言語学が何に役に立つかという世間からの目に今も苦しんでいると書いていたが、本文にも記されているように医療の面でも重要視されているし、なによりほぼ無知といって差し支えない私を言語学の虜にしてくれた。前野ウルド浩太郎さんや川原さんのような面白い若手の研究者の方がいるおかげで僕のような無学な人間は世界の一端に触れることができる。ありがたい限りである。
この書籍の構成は本当によくできている。序盤にメイド喫茶やプリキュア、ポケモンにドラクエといったサブカルチャーを取り上げながらサ -
Posted by ブクログ
子育て真っ最中、かつ大学の頃に学んでいた言語学をちょっとやり直したいなーなんて思っていた時に出合った本。面白すぎました。
大学の時には、音韻論って意味論や語用論と比べるとピンとこない、実生活の役に立ちそうもない、というイメージだったのですが、それが見事に覆された。川原先生の教え方が上手なのでしょう。
ポケモンの名付けに関する世界共同研究が、世界中の人とコミュニケーションがとれる術にまで今後発展するんじゃないかというお話には、素人の自分も胸が熱くなりました。
そしてこの研究が進むことで、ソシュールの提言した言語の恣意性が覆されることになるかもしれない!もう考えただけでゾクゾクする。
音声学 -
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Posted by ブクログ
p98 プリキュアの名前の文責めちゃくちゃおもしろい。ブートストラップサンプリング。「プリキュアで学ぶブートストラップ法」。
p114 エントロピー(乱雑さの尺度)=部屋の散らかり具合=予測可能性。
ラーメン屋の「しゃいませー」はエントロピーが低い。いらっしゃいませと言ってるだろうと予想できる。
p220 にせだぬきじる にせたぬきじる
連濁前に最初から濁音がついてたら濁らない。つまりたぬきじるだとだぬきじるにはならない。たぬきはだぬきになる。
p236 頭が赤い魚を食べる猫(中村明裕)
p320 ALSとマイボイス
p333 コロナデマ翻訳 -
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Posted by ブクログ
直接的な感想にはならない抽象的な視点になるが、自分が楽しく学び続けることは尊さを教えてもらった。
特別支援教育に携わる者として、最終章のマイボイスの取り組みは、胸にくるものがあった。
学問として何の意味があるがわからないものも、いつかは人の役立つ時が来るという、人生の伏線回収的な部分を見させてもらった。
自分も言語学の勉強を少しずつ始めているが、今学んでいることが将来受け持つ子どもたちに、生かされることを切に願う。
川原先生は音声学の先生であられるが、専門性だけでなく生き方からも学ばせてもらった。
関係ないが、やはりいい大学にはいい先生がいると再確認した。 -
Posted by ブクログ
普段何気なく使っている言葉
その言葉に対する興味が湧いてくる、とても面白い本で、思わず人に話したくなる内容が満載ですが、この本の魅力はそれだけではない!!
著者の川原さんの子供たちに接する態度がとても優しく、どんな意見も肯定し、前向きに捉えていくところがとても良い。
子育て中の大人はもちろん、子がいない私にとっても、周りの子供達に接する時の参考になるような本でした。
「大人が困るような質問をしてください。」
実際、私がそんな質問されたら、素っ気なく対応していたかもしれないけど、川原さんみたいに子供に寄り添いながら一緒に考えてみても楽しいかもな。
心が荒れてる時に読み返したい
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Posted by ブクログ
濁音は強くてゴツくて大きい。破裂音は小さくて可愛らしい。
歴史も風習も違うのに、世界中の言語で似たような傾向が存在して、世界中の人々が似たような感覚を持っている。
当たり前のように使っている言葉だからこそ、そういう不思議があることには気づけないし、それに気づいたときの面白さはひとしお。
小学生に向けた授業の記録を元に書かれた本だから凄くわかりやすいのに、内容はしっかり専門的な内容に切り込んでる。
言葉への興味が湧き立ってくるだけでなくて、学問とは何か?研究とは何か?勉強するのはなんのためか?といった部分まで考えさせられる、本当に深い本だったと思う。