一木けいのレビュー一覧

  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    「うしなった人間に対して1ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか。」序盤に出てくるこの問いに対して、章ごとに登場する様々な登場人物のうしなった人間と、後悔についての話が紡がれます。
    序盤は由井の視点で始まり、最後の章で由井の娘の視点。最後の最後で由井に対して抱く感情が、1ミリの後悔もない、はずがない。になるのがとても綺麗な終わりであり、かつ読み手にも、もう少し何かが違えば行き着く未来は別のものになったんじゃないか……と後悔に似た感情を抱かせます。
    特に心に残ってしまっているのは、大人を信じることをやめた由井が「初めて信じていい大人もいるんだ」と思えた同級生の母です。程よい距離で接する人

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    2025年11月26日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    この小説のなかにある恋は、リアルな恋だと思う。
    少しでも恋を経験した人が読んだら、追体験させららるほどのリアルさだと思う。

    大人になってから出会って好きになった人に対して( もし学生の頃に同じクラスだったら好きになってたかな? )って考えてみたり、

    こんなに好きな人でいっぱいの毎日を過ごしていて、この人に出会う前は自分は何を考えてどうやって過ごしてたんだろう?って考えてみたり、

    喫煙者の彼と電話をしてるときの、タバコを咥えながら話すくぐもった声にキュンとしたり、

    みんな同じことを感じて、考えて、生きてるんだなって思った。

    ✎______________

    由井の今の旦那さんもとてもい

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    2025年11月05日
  • 結論それなの、愛

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    舞台はタイ。南国の果物の皮をむいた時の香りのような魅力的で色気のある文章の数々に魅了されました。「やりたいことは全部やれる」という素敵なメッセージが込められた作品でした。一木けいさんの作品を読むのは初めてでしたが、ハマりそうです。他の作品も読んでみたくなりました。

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    2025年10月14日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    ハァー...。読んだことを後悔するくらい心に刺さる本だった。だいぶ好き。
    無限の選択を繰り返す中で、過去の後悔や痛みごと包んでくれる人に出会ったり、抱えたまま堕落していったり。正しい選択をしたから幸せになれるわけでもないし、生きる道も出会う人もまた枝のように無限に広がっている。

    私も久しぶりに初恋の人のことを思い出したわー。あの頃の感覚もまんま蘇ってきて不思議な気持ちになった。笑って生活できてるといいなぁ。

    「潮時とは、漕ぎ出すのに潮が安定している、好いタイミングということ」

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    2025年10月13日
  • 彼女がそれも愛と呼ぶなら

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    圧倒的にマジョリティが正しいという風潮が残る日本で、それの正反対を行くような家族のお話。伏線もしっかり貼られているし、途中で驚きもあるし、何よりそれぞれのキャラクターがものすごく個性的で読んでいて脳内ドラマが炸裂していた。絹香さんのお話も本当に素敵だった。読書中、めちゃくちゃ絹香さんを応援してしまった。

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    2025年10月01日
  • 結論それなの、愛

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    夕暮れ時に甘く漂う花の香り、大胆な気持ちになれる開放的な熱気、一度訪れたタイの雰囲気を思い出しました。

    一木けいさんの小説で、恋愛で本能的に惹かれ合う描写が好きです。

    駐妻の孤独や肩身の狭さを知りました。そんな世界があるのかぁ、という感じ。
    言葉で気持ちを伝えるのも大切だけれど、キスの長さで思いを伝える、という描写がなんか好きでした。
    それくらいの切実さを持って、大切な人と向き合いたいと思いました。

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    2025年08月23日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    由井の言葉の世界に入ってる間、痛くて辛いのに
    すごく居心地が良かった
    言葉にしづらいというかできないけど、
    こんな小説に出会いたかったっていつ一冊だった

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    2025年08月23日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    その男とつがえという自分の核からの命令

    という言葉がドキッとした。
    恋をするということは
    ごちゃごちゃ考えなくても
    シンプルに、もっと本能で動いていいんじゃないだろうか
    そう思いました。

    林檎味の大玉の飴、シュワシュワする味
    とか
    尖った喉仏
    とか
    学生時代を懐かしく思い出した、1章が1番好き。
    あとの章になるほど、どんどん息苦しくなってきた。
    それにしても、涼しい切長の瞳、色白の骨ばった骨格の長身の男の子は、いつの時代もモテモテなんだなぁ。笑
    自分も学生時代、そういう子が好きだったのを思い出しました。

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    2025年08月18日
  • 愛を知らない

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    序盤の内容のまま進んでいくのかと思ったら、どんどん肉付けされていって、初めと違う印象になった。それぞれの思いに久しぶりに読書で
    泣いてしまった。
    最後の橙子の判断が本当に良かったと思った。
    その判断に行き着くことができたのは、友達と合唱コンクールの力だと思う。
    追い詰める人は、追い詰められてる人。
    橙子を育てているのか、それとも管理しているのか。
    その通りだなと思う。
    母親がひどいことしてるのはわかるんだけど、わかるところも多く、全てを責められなかった。
    みんな苦しくて、だけどまずは大人が自分の気持ちを止めなくてはいけないよね。
    その後の皆が幸せに生活していると良いな。

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    2025年08月03日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    最後の手紙で胸が苦しく切ない気持ちで一杯になった。1ミリの後悔もない、はずがないというタイトルもほんとにそうだよ、な…と思う。私も後悔している事はある。その気持ちは何年経っても心の中にあったりする。

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    2025年06月22日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    少し生々しいところもあるけれども、男性の自分が読んでも共感できるところも多く、最後まですらすらと読めた。泣けた。

    愛や恋とひとくちに言っても、身体の奥底から揺さぶられるもの、心が暖かくなるもの、分類などし尽くすことができないものだろうけど、それぞれ個々別々に多様な実態があって、個々別々に味わい深いものなのかもしれない。

    そうしたことに、筆者は意識的であったのだろうか。

    経験したことしか書けないのか。
    経験したことも充分には書けないのか。
    経験したこともないことすら、立ち表すことができるのか。

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    2025年04月21日
  • 結論それなの、愛

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    びっくりするくらい好きな作品だった。3つの連作短編だけど、ひとつひとつが本当に好き。分かりたくないのにわかるやつ、全然ハッピーな作風じゃないけど、タイに二度だけ行ったことある私でも読んでる時タイの香りを感じた。あの国にまた行きたいな

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    2025年03月22日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    あの人と添い遂げていたら、告白していたら、想いに応えていたら、なぜあんな事を言ってしまったのだろう…様々な後悔を多角的に掬い上げる1冊。あの時ああしておけば、しなかったらーーそんな、「1ミリの後悔もない、はずがない」。そう、こんなにも人生はままならなくて、だからこそうつくしい。これだから本を読むのはやめられない。

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    2025年03月03日
  • 全部ゆるせたらいいのに(新潮文庫)

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    タイトルがまず刺さりました。
    日頃ほんとうにそう思います。
    何もかも許せたら、自分だって相手だってもっとよく過ごせるはずなのに。
    共感する部分が多くてしんどいながらも引き込まれて読み終わりました。

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    2025年01月16日
  • 愛を知らない

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    「恩にも時効はあっていい」
    他人に期待しすぎていつもがっかりする自分にかけたい言葉。

    タイトルにある「愛を知らない」、本当に愛を知らないのは誰かを問われた気がする。愛を知らない人は愛し方がわからない。けれど、愛されたいと強く願い、それが歪んだ形でぶつかっていく。

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    2024年09月09日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    ラスト1行が秀逸すぎます。
    全部の短編漏れなく切ないです。
    自分に重ねて読む場面も多くて、私だけが後悔に悩まされて苦しい訳じゃないのかと少し救われた気分になれました。

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    2024年05月06日
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

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    大好きな椎名林檎さんが帯を書かれていたので。

    後悔、と聞くと重く感じられるけど文章はとてもなめらかで読みやすかった。

    環境へ感じる苦悩、人間関係の歪みなど重さや深さを比較するものじゃないけど誰しも悩みがあって、悩む度に深くて暗い海に対峙した時のように先が見えないことに絶望するものだなと思った。
    どんな環境に置かれていてもどんな年齢でも悩みの対象はある。

    ガラス片が波に揉まれ角がとれて丸みを帯びるように、私たちの人生も時を流れ様々な環境で様々な人と触れ合うことで過去の苦しみがゆるやかに溶けて形作られていく。
    そしてまた新たな絶望に向き合った時にふと思い出したように過去への後悔が込み上げてく

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    2024年05月02日
  • 愛を知らない

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    一木けいさん2冊目。やっぱり好きだ。いろんな感情が湧き出てきて、ここまで本にのめり込んだのは久しぶり。

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    2023年07月18日
  • 全部ゆるせたらいいのに(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読み進めていくうちに、タイトルの意味が深く染みてきた。物語の中にきれいごとは一切なく、読み終わってからしばらくは暗い気持ちが拭えなかった。
    主人公に影を落としているのは、父親が原因だけではない。家族だからと無遠慮かつ無自覚に人を傷つける祖母、母の存在も心が痛んだ。
    でも読んでよかった。何度読んでも苦しくなるだろうと思うけど、また何回も読んでしまう気がする。

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    2023年06月11日
  • 全部ゆるせたらいいのに(新潮文庫)

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    ネタバレ

    みかける度に気になっていて、今だなと思って手に取りました。
    『父がわたしを罵倒したり殴ったりしたのは、わたしのことが憎いからではなく、病気だったからなのだ。』
    アルコール依存性の父を持ち、幼少期から苦しみ続け、夫もアルコール依存性になってしまいそうな日々。これほどの境遇に置かれても、父の死に対して、家族の形に対して、もっと違った道があったのかもしれないと後悔する。するんだろうか。全部ゆるせていたら、ざくろの木を見て穏やかに話すことも、ポケットの中で繋がれた手もなかったかもしれない。それでも、後悔するんだろうか。
    全部ゆるせたらいいのに。シンプルな言葉だけど、難しいな。ゆるさない選択をしなくちゃ

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    2023年05月07日