一木けいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文庫版の〔作品紹介・あらすじ〕には、以下の文がありました。
「価値観を揺さぶる不純文学。」
アハハハハ。。。ついつい笑ってしまいました。
主人公、挿絵画家の水野 伊麻(みずの いま)さん(41歳)はシングルマザーで、3人の恋人がいます。千夏(ちなつ)ちゃんという高校1年生の娘ちゃんもいます。
世の中には、いろいろな価値観を持っている人がいます。自分の価値観と異なる言動を行う人を嫌悪したり批判したり差別したりするのも、その人の価値観です。
それでも、日々を過ごしていくうちに思ってもみなかったことが起こるのが人生というものです(と思います)。
何が普通で何が異常か?
何が純粋で何が不純か?
「理解不能!」っていう人は、正しいのか無知なのか?
そんなことを考えさせてくれる小説です。。
わたしには(恋愛において)理性を超えて行動してしまうような熱情・激情は無い(と思っている)のですが、登場人物が行うことについては、周囲のリアクション(時にサンクション)を受けとめる覚悟があるのなら、何(たぶん意思よりも衝動?)をしても良いのではないのかしら? と思っています(現在のところは)。
切羽詰まって、「死ぃぬぅ~るぅ~、覚ぅ悟ぉがぁ~・・」となるよりかは、陰口なんぞどこ吹く風と、飄々と生きていて欲しいと思います。。
(作品登場人物の伊麻さんなどの言動や事象に対しての感想です。)
本作を読み始めた最初のころ、わたしが思っていることを、伊麻さんの恋人のひとり、空久保 亜夫(そらくぼ あお)さん(36歳)が言ってくれていました。
「二人の関係は、その二人だけの特別なものなんだよ。標準とされる枠を大きくはみ出して結ばれる恋だってある。それを変とか本物の愛じゃないとか遊びとか言う人は、超幼稚だよ。」
さあ、みなさまは、この作品を読み切ったあとで、亜夫さんの言葉を肯定するでしょうか否定するでしょうか?
この作品は、ご自身の(恋愛小説に対する価値観の)試金石と言えるかもしれません。
あなたは、これも愛とよびますか?
(TVドラマになっていたようですので、機会があれば観てみたいです♡)
〔作品紹介・あらすじ〕(菊版)
ママには三人の恋人がいる――。
ママの愛を、世間は「過ち」と呼ぶのかもしれない。
正解がないから――恋は楽しいのか、つらいのか? 心揺さぶる長編恋愛小説。
高校生の千夏には秘密がある。それは、家に父親はいないのに、母親の伊麻とその3人の恋人たちと暮らしていること。美容オタクでバイセクシャルの亜夫、イタリアンのシェフでいつも落ち着いている到、そして、最近新しく家にやって来た博識な大学院生・氷雨。千夏は三人のことが大好きだけど、複雑な家庭事情を友人にも明かせずにいた。そんな秘密を持つから教室でも目立たないようにしていたのに、ある日クラスで一番の人気者から告白されて――。同じ頃、伊麻は高校時代の友人絹香と再会していた。子供を産んでも恋愛を楽しむ伊麻の姿を見て、絹香はある決心を固める。
〔作品紹介・あらすじ〕(文庫版)
美容好きの両性愛者、頼りがいのある料理人、博識な大学院生。シングルマザーの伊麻は三人の恋人と暮らしている。娘の千夏は、高校で人生初の彼氏ができるが、家庭事情を隠していた。一方、伊麻の友人の絹香は、伊麻を参考に不倫を考え始める。自由恋愛に生きる女性と、その周囲。正しい恋路を外れた先にあるのは---。価値観を揺さぶる不純文学。 -
Posted by ブクログ
由井本人やその周辺にいる(いた)人たちをそれぞれの視点から描いた作品。
ひとことで言ってしまえば青春恋愛小説なんだけど、その枠に留まらないエピソードや読後感があった。
特に「潮時」に描かれた船乗りのお父さんの話がたまらなく切なくて好きだった。
慌ただしく日常を過ごしていて、ふとしたタイミングで思い出す過去の恋愛。
その人の隣で過ごす時間が何物にも代え難い幸せな時間だったこと。
いまは消息も知れないし、その人が死んだとしても知る手段がないのだけど、いまもどこかで幸せに生きていればいい、その生活の中で一瞬でも私と過ごした時間を思い出してくれたらもっと良い、と願ってしまう気持ちになりますね。 -
Posted by ブクログ
良かれと思って与えた愛の形が人を苦しめることってあるんだなって、そんなことを考えながら読みました。それぞれの立場に立てば理解できても、許せないし、でも諦められないし。誰かと生きていく難しいなって思いました。家族ってある種の呪い。幸せであろうと不幸であろうと、離れようとしてもなかなか離れられなくて、嫌いにはなりきれなくて、恐怖や不信感に支配されていても、父親だから…夫だから…っていうところに着地する。でもそれは悪くない。
ただ、当たり前のことだけど暴力や暴言で人を支配しようとするのは弱い人のやることだと思った。はけぐちがなかったのかもしれない、追い込まれて、逃げられずにいたのかも知れたない。でもそれを守るべきはずの家族に向けて良くないやり方で消化させようとするのは悪だと思う。愛は対話、愛は信頼、愛はもろくて美しいからこそ尊い。千映のこれから先の人生が、囚われずあたたかな人生であることを願った作品でした。