一木けいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
重度のアルコール依存症の父親をもつ千映。
そして夫にも酒への執着が見られる…
他人から見て、千映が置かれてる状況を考えたら、ゆるすなんて不可能だと思う。だけどそこで「全部ゆるせたらいいのに」と思うのは家族だから、愛がある(あった)からであって…なんとももどかしくて、切ない気持ちになる小説だった。自分の努力でどうにもならないことと向き合うのは、難しいよなあ…。幼い頃、父からたしかに全力で愛されていたのに、本人はそれを覚えていないのも、悲しかったな。
宇太郎と千映の物語だと思っていたら、千映と父親の壮絶な人生の物語だった。
切なく重いけど、目が離せない展開に夢中になって読んだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ悪い女、それも飛び抜けて悪い女。他人を思うように操る能力が底抜けで、関わったら最後だというのが恐ろしいのだけれど、面白くて一気読み。
最初は短編集なのかと思ったが、人々の繋がりが徐々に明らかにされていくのがたまらなかった。違和感は全部伏線だったのかと。時系列や人物などしっかり把握・理解して読んでいく必要がある本だった。
恐ろしいエピソードは沢山ある。
栄利子が偽の通訳をしていたのは怖かった。そして最初に不倫現場になったマンションが聖の部屋だったと分かった時、この家族は本当にやばいと思った……。
知らない方が幸せ、なのかどうか、栄利子を見ていると不安にさせられる。こちらの常識と価値観が通じない相 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて一木さんの作品を読みました。
本屋さんで表紙に惹かれてなんとなく選んだけど、読む!って決めてよかった、素敵な作品でした。
誰が愛を知らない話なんだろう、と読み始めて
この子かな?と思ったところから
後半で転調、世界がひっくり返った。
でも、ひっくり返ってなかった。
愛がほしい者同士だったんだなと最後まで読んで感じた。
好きなセリフがたくさんあった。
『別の引き出しにしまう』そうすることで、
人をよく見過ぎたり、悪く思い込もうとしたりせずに、大事なままとっておけるなと教えてもらいました。
感情表現が繊細で、わたしの好きなタイプの本でした!
『優しい嘘って言葉、あたし大っ嫌い。そ -
Posted by ブクログ
ネタバレどうして主人公はこんなにも夫の飲酒へ過敏になっているのだろう?と匂わせながら次章では父親目線や自分の幼少期の目線で話が進んでいく。
2人のボタンの掛け違い、或いは掛け違いに気付いていてもどうしようもないことへの切なさが読んでいて苦しかった。確かに、愛はあった。選択したことのひとつひとつ、気持ちの弱さや脆さが積み重なり心が壊れていく、家族が壊れていく。
最後まで宇太郎目線で話が進むことはなかったから、主人公が一番大切な人を信じることに気付いたラスト、宇太郎が、今の家族が、どうなっていくかは千映のこれからの"ゆるす"形なのだと思う。
ゆるすことは、酒を許すことではない。
酒を許