感情タグBEST3
Posted by ブクログ
一木けい(いちきけい)さんは初めて読みました。とても読みやすい文章ですぐに小説の中に入れた。
テーマはDVと重く、心に響く言葉がところどころにあった。『生きているではなく、ただ死んでいないという暮し』『この人は自分にとって唯一無二って相手に出会ってしまうのって幸せなことじゃないのかも』人生は楽しいことと辛いことを比率で言うと1:9なのかも知れない。思い通りに行かないことしかない。
その中で家族がDVされたら、家族にDVされたら、私だったら。。。主人公のようには思えないし出来ない。主人公はDVした人が変われるかもしれないと信じている。私は絶対変わってほしくないと思う。でないとDVを受けた人は何だったのか?殴られ損?こいつが変わるために殴られたの?結局こいつのために生まれてきた?なんて考えてしまう。
主人公には感情移入出来なかったけど、お姉さんの気持ちは痛いほど分かった。味方になってほしい家族にあんなこと言われたら、私だったら耐えられない。結局DVを受けた人じゃないとその気持ちは分からないのかもしれないね。
タイ在住の著者はさすがで現地の様子が素晴らしく描写されてて、行ってみたくなってしまった。国王が亡くなって国民が悲しみにくれる姿や、渡れない道路、聞いたことのないフルーツなど、住まないとこんな風には書けないだろうなぁなんて思いました。
読むのは辛い人もいるかも知れないけど、素敵な小説でした。
Posted by ブクログ
漣が好きになった人は、姉の別れた旦那の弟だった。
彼と付き合うことは、自分の家族を不幸にすると悩む漣。
漣の彼氏の朋温がいいやつで、私も好きになってしまいそうだった。
登場人物の中で米陀さんがいいやつだと思った。米陀さんは、自分がたくさん傷ついてきたからこそ、他人を思いやれる人。漣は私も同じなのだが、幸せな家族があるからこそ、他人の痛みに気づくのが遅れてしまうタイプ。自分がどんな境遇であっても、周りの人のことを想い、幸せを願う気持ちは大事にしたいと思った。
解説を高知東生が書いているが、これもなかなかよかった。おすすめの本
Posted by ブクログ
主人公の少女は、父親の転勤に伴いバンコクで中学まで生活して帰国。忙しない日本になかなか馴染めない。
バンコクでの観光でない生活感がうまいなと思っていましたら一木さんバンコクにお住まいとか。
少女の姉が元夫のDV(精神的肉体的経済的!)で精神的に追い詰められて離婚。
それを知らなかった少女は元夫の弟に恋してしまう。DVについて知った後でも なかなか彼のことを諦めきれない。少女の家族は当然大反対。
DVに堕ちていく状況、共依存となっていく恐怖、別れるための裁判と その後の精神的打撃を濃厚に読める。
そして、他のDV系の小説と違うところは DVを病気として認識して 更生プログラムや施設の存在に言及して 加害者の将来にも意識しているところ。
少女は 自分の恋の為でなく 姉の幸せ 元夫の未来までより良い方向へと動き出す。
一木さんは、初版印税を更生施設に寄付するとしている。それは、一木さん自身も厚生の必要性 加害者である人達への救済も考えているということなのかな
果たして 被害を受けた人と家族はどこまで受け入れるか。病気と性格の区別はあるのか。
難解な問題提示です。