あらすじ
家族と愛をめぐる難題に挑む鮮烈な傑作長編!
タイ・バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、通学中の痴漢や思いやりに欠ける日本の日常に馴染めず、心細さを感じていた。家に帰れば、理解あるやさしい両親と大好きな姉が漣を心配してくれている。だが、姉は離婚をしてから、人が変わってしまった。そんななか、高校の渡り廊下で出会った先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。やっと見つけた自分の居場所に、高まる気持ちを抑えることができない漣だったが、あるとき漣は、彼との恋が漣の家族を傷つけるものであることに気がついてしまう。大切な家族のために、別れるべきなのかもしれない。でも、自分の幸せを優先することは、そんなにいけないことなのだろうか。漣は家族と自分の幸せのため、新たな未来を探す覚悟を決める。初恋と青春を捧げ、漣が導き出した答えとは……。バンコクに住んでいた著者が描くタイの描写は圧巻! 気鋭の作家が、高校生のみずみずしい視点で家族と愛をめぐる難題に挑む傑作長編、待望の文庫化!
※この作品は単行本版『9月9日9時9分』として配信されていた作品の文庫本版です。
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Posted by ブクログ
タイトルに因んで、9月9日に読みました。
ロミオとジュリエット現代版なような作品です。
互いに想い合いながらも、互いの背景が、家族がそれを許さない、でも好きな気持ちは抑えられない、そんな状況に感情移入してしまい、泣きました。
Posted by ブクログ
漣が好きになった人は、姉の別れた旦那の弟だった。
彼と付き合うことは、自分の家族を不幸にすると悩む漣。
漣の彼氏の朋温がいいやつで、私も好きになってしまいそうだった。
登場人物の中で米陀さんがいいやつだと思った。米陀さんは、自分がたくさん傷ついてきたからこそ、他人を思いやれる人。漣は私も同じなのだが、幸せな家族があるからこそ、他人の痛みに気づくのが遅れてしまうタイプ。自分がどんな境遇であっても、周りの人のことを想い、幸せを願う気持ちは大事にしたいと思った。
解説を高知東生が書いているが、これもなかなかよかった。おすすめの本