一木けいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2016年に、「西国疾走少女」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞した、一木けいさんのデビュー作。
なるほど、女のための読み物である。
一人の女性の人生を主軸に、思春期の瑞々しさ、二十代の混沌、四十代の…その時その時の心情が痛い程伝わってくる。
自分はこんな風に疾走してきただろうか。若い頃を怠惰に過ごすと、後からちゃんと皺寄せが来る。人生はうまくできている。
それに早く気づけた人が勝ちかな。
短編集か?と思っていると、「ああ!あの時のあの子か!」などと、どの話も本筋から枝分かれしているだけで、現在過去未来が絡み合い、しっかり繋がっている。伏線も張られていて、読み進める楽しみがあっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「うしなった人間に対して1ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか。」序盤に出てくるこの問いに対して、章ごとに登場する様々な登場人物のうしなった人間と、後悔についての話が紡がれます。
序盤は由井の視点で始まり、最後の章で由井の娘の視点。最後の最後で由井に対して抱く感情が、1ミリの後悔もない、はずがない。になるのがとても綺麗な終わりであり、かつ読み手にも、もう少し何かが違えば行き着く未来は別のものになったんじゃないか……と後悔に似た感情を抱かせます。
特に心に残ってしまっているのは、大人を信じることをやめた由井が「初めて信じていい大人もいるんだ」と思えた同級生の母です。程よい距離で接する人 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの小説のなかにある恋は、リアルな恋だと思う。
少しでも恋を経験した人が読んだら、追体験させららるほどのリアルさだと思う。
大人になってから出会って好きになった人に対して( もし学生の頃に同じクラスだったら好きになってたかな? )って考えてみたり、
こんなに好きな人でいっぱいの毎日を過ごしていて、この人に出会う前は自分は何を考えてどうやって過ごしてたんだろう?って考えてみたり、
喫煙者の彼と電話をしてるときの、タバコを咥えながら話すくぐもった声にキュンとしたり、
みんな同じことを感じて、考えて、生きてるんだなって思った。
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由井の今の旦那さんもとてもい -
Posted by ブクログ
序盤の内容のまま進んでいくのかと思ったら、どんどん肉付けされていって、初めと違う印象になった。それぞれの思いに久しぶりに読書で
泣いてしまった。
最後の橙子の判断が本当に良かったと思った。
その判断に行き着くことができたのは、友達と合唱コンクールの力だと思う。
追い詰める人は、追い詰められてる人。
橙子を育てているのか、それとも管理しているのか。
その通りだなと思う。
母親がひどいことしてるのはわかるんだけど、わかるところも多く、全てを責められなかった。
みんな苦しくて、だけどまずは大人が自分の気持ちを止めなくてはいけないよね。
その後の皆が幸せに生活していると良いな。 -
Posted by ブクログ
大好きな椎名林檎さんが帯を書かれていたので。
後悔、と聞くと重く感じられるけど文章はとてもなめらかで読みやすかった。
環境へ感じる苦悩、人間関係の歪みなど重さや深さを比較するものじゃないけど誰しも悩みがあって、悩む度に深くて暗い海に対峙した時のように先が見えないことに絶望するものだなと思った。
どんな環境に置かれていてもどんな年齢でも悩みの対象はある。
ガラス片が波に揉まれ角がとれて丸みを帯びるように、私たちの人生も時を流れ様々な環境で様々な人と触れ合うことで過去の苦しみがゆるやかに溶けて形作られていく。
そしてまた新たな絶望に向き合った時にふと思い出したように過去への後悔が込み上げてく