一木けいのレビュー一覧
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ネタバレ【あらすじ】
“思い出”を置いて、私たちは進む――
四人の人気作家が描く、苦くて甘い「元カレ」の物語
「姉ちゃん」(青山美智子)
出演したドラマが話題となり、俳優として注目され始めた姉ちゃん。「有名になると親戚が増えるっていうけど、元カレも増えた」と愚痴をこぼし……
「三月なんて前世」(一木けい)
小麦アレルギーの脚本家、琴は元カレが米粉パン職人として成功していると知る。彼との出会いから別れまでが思い起こされ……。
「すべてはカーテンの中」(町田そのこ)
別れ話に納得できず、「セフレでもいい」と縋ってしまった美加は、同級生だった彩智と偶然再会する。彩智は高校卒業後にある事件を起こしていて……。
「二つ年上」(山内マリコ)
〈未経験者歓迎〉の着物ショップで働くことになった沙良。慣れない仕事に忙しくしながら、思い出すのは別れた恋人のことだった。
『次に会う約束をする。心が動いた出来事や、ふと湧いたポジティブな感情、相手への感謝、垂れ流しではない愚痴を、たまにLINEで送る。何日も何週間も連絡を取らないこともある。親友とはそれで満足なのに、恋人はそれでは足りないと思う人が多いのはなぜなんだろう。』
『胸が張り裂けそうなのは、写真自体でも、これを撮影したであろう衛吾の眼差しでも、サミーさんと衛吾がつきあっていることでもなかった。わたしとつきあっていたときにはしなかったことを、衛吾がしたということだった。』
『淋しさはない。孤独はある。けれどそれは、わたしの人生に必要な孤独だ。』
「恋人って、カーテンの中の関係なんだよね」
「外からは見えないってこと。オープンにしてる風の恋人同士だって、そう見えるカーテンを使ってるだけ。外部とは間違いなくきっぱり切り分けられていて、ほんとうの様子はふたり以外には分からない」
【個人的な感想】
・3月なんて過去(一木けい) の短編が1番好きだった。この作品が良すぎて⭐️5をつけた。
自分の恋愛かと錯覚してしまうほど、読んでいて苦しい恋愛を描いていた。最初にぴったりと合う感じ、そして徐々に心が離れていく過程がリアルすぎてしんどかった。けど、読んでよかったと思わせてくれる終わり方。終わり方もサラッとしているけど、物足りなさはないすごくちょうどいい終わり方をしていた。 -
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ネタバレ【あらすじ】
満たされない恋と人生。珠玉の恋愛短篇集。
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この作品に書かれたような艶やかな夜の合間で揺らいでいたい。
恋すること、生きていくことの悲しみや喜びがせつなさ100%で胸に迫ってきた。
――窪美澄
輪郭が溶け合うように恋して
根本がまるで違うことに溺れた。
好きな人じゃない、好きだった人。
手放した有り得たかもしれない未来がちらついて、胸がざわめいてたまらなくなった。
――宇垣美里
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「きょう、いま、わたしは愛する人にやさしくされたいのだ」
満たされない恋とままならぬ人生を情感豊かに綴った、珠玉の恋愛短篇集。
日菜は24年生きてきてはじめて知った。空白ができると好きと言いたくなること。セックス後の彼氏はセックス前の彼氏より百倍恰好よく見えること。なのに彼氏は言う。「俺の優先順位を、もう少し下げてくれない?」。なぜそんなことを言われなければならないのか。(「恋と厚顔」)
あのとき彼と結婚していたら、もっと違う現在があったのだろうか。「そんな結婚、変」。5年前はそうとしか思えなかった。ふっと、彼の香りが蘇る。あの不思議な二人はいま、幸せに暮らしているだろうか。(「卵とキウイ、あるいは跨線橋」)
【編集担当からのおすすめ情報】
『1ミリの後悔もない、はずがない』での鮮烈なデビュー、『彼女がそれも愛と呼ぶなら』の連続ドラマ化、『結論それなの、愛』の吉川英治文学新人賞候補入りなどで注目を集め続ける著者の恋愛小説集です。
渋谷、三鷹、羽田、恵比寿、吉祥寺――東京を舞台に、5つの短編で様々な男女の恋愛模様が描かれます。
満たされない恋や執着、思うように生きられない現状への葛藤。情感豊かに描かれる人間模様に、否応なく心が揺さぶられます。読者の心に深く刻まれること間違いなしの、珠玉の恋愛短編集です。
『能動的にその人とコンタクトを取るとなったら、たとえそれが定期的なやりとりや二人きりで会う約束に繋がらないにしても、やはりもやもやしてしまう。』
『大切にしてくれない人を大切にする必要はない。ただそれだけのことに、なぜ向き合わなかったのだろう。
わたしは時々、見なくていい部分を凝視してしまう。そういうとき、その視界の外にある温かな可能性は目に映っていない。』
『恋はなんて厄介なんだろう。快適だと感じる距離が似た人を好きになればいいのに、こんなにも違ったと気づくのはいつも、惹かれ、引きずり込まれ、境界線を主張するには手遅れなほど愛を交わしてしまった後だ。』
『クズは面白いんですよ。自由で軽やかで、しつこくなくて。まれに絶妙な言葉をくれる』
【個人的な感想】
どの短編もサラッと読めるのにグサグサ刺さる言葉が多かった。
今年のベスト5に入る本に出会えた。
根拠がなくても人に『大丈夫、なんとかなる』って言ってほしい夜があるよな〜と思いながら読んだ。
他人に依存するんじゃなくて、1人でも生きていける強い女になりたい。 -
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椎名林檎女史が絶賛する理由がよくわかる。彼女のファンとして、彼女が表現する世界が、ここにも在る。彼女が本作に嫉妬する理由がよくわかる。
女性は人生の途中で別の生き物になる。それが「母親」だ。女として生きてきて、子供を産み母親になる。その境。女と母親の境。ただ、もちろん母親であると同時に女でもある。その状態への困惑、迷い、、
なんと秀逸に表現できているか。
私が一番好きな場面は、高山のシーン。だらしのない人間であるはずなのに、言葉にできない魅力があり、ダメなはずなのに、会いたくなってしまう。それがたとえ私を破滅へと誘う存在であっても。もちろんこの感情に共感できるのは、私が似たような人に恋をしていたから。
本筋で表現されているメッセージへの共感もそうだし、私の過去経験へのノスタルジーと言う個人的な部分で大好きな作品。 -
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避難所で巻き起こる多様な群像劇
避難所という逃げ場のない場所で、会いたくない人に出会ってしまう。例えば、それは自分の好きな人だったり、かつての不倫相手やワンナイトの相手だったりする。
そんな不穏な人間模様が、視点となる人物を切り替えながら描かれる。
物語の視点となる人物たちは、みんな悩みや隠し事などがあり、どこか停滞している。ところが、避難所での不思議な出会いが彼らを前に進ませる。
特に、不倫をしていた二人のエピソードは興味深かった。互いに溺れていたのに、相手には振り向いてもらえないなどと思ってすれ違う様子は面白かった。
いったい何が隠されているのか、どんな気持ちなのか。どの人物に対してもそんな風に考えられて、最初から最後までワクワクしっぱなしで読めた。
読後感は、まさに嵐が過ぎた後のように、前向きで爽やかだった。