あらすじ
高校二年生の橙子はある日クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。友人たちは、橙子が時折口走る不思議な言い訳や理解のできない行動に首をかしげていたが、ある事件をきっかけに橙子の抱えていた秘密を知ることになり―。まっすぐに生きようとする少若く力強い魂を描き出した、胸がひりひりするような感動作。
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Posted by ブクログ
「恩にも時効はあっていい」
他人に期待しすぎていつもがっかりする自分にかけたい言葉。
タイトルにある「愛を知らない」、本当に愛を知らないのは誰かを問われた気がする。愛を知らない人は愛し方がわからない。けれど、愛されたいと強く願い、それが歪んだ形でぶつかっていく。
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「わたしがそのときいちばんつらかったのは、ただその人が憎いだけじゃないってことだった。」「引き出しを分けることにしたの」「恩にも時効はあっていい。」反芻して自分の中に落とし込んだ、冬香先生の言葉たち。
そして、ヤマオが行動派で素敵なんだ。
橙子のようなつらさ、悲しさ、想いを抱えている人はどのぐらいいるのだろうか。気づかないところに、すぐ近くに、いるかもしれない。どうかこの本を必要としてるいる人に、広く届いて欲しい。
カツセさんが帯を書いていなければ、読んでいなかったかもしれない本。私のところに届いてほんとに良かった。
Posted by ブクログ
瑞々しくて悲しくて苦しい話だった。
正直、芳子のことは少しも好きになれないし、可哀想だとも思わないけど
ヤマオが言うように彼女が橙子を引き取らなければ
同じクラスになることも合唱することもなかったと思うので
そこに関しては「ありがとう」なのかなと思う。
好きだけど嫌い。
心の底から嫌いになれたらどんなに楽か。
そう思ったときは、冬香先生のように、感情を別々の引き出しに入れてみようと思う。
恩にも時効がある。いい考え方だと思った。
Posted by ブクログ
うまくいかない自分を認められない気持ち、それを必死に他者から隠そうとする気持ち、誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。そんな気持ちが狂気的な行動に繋がってしまうのは他人事ではないように思います。
恩には時効がある。素敵な考えですね。
Posted by ブクログ
感情を整理してタンスの引き出しに分けて入れるみたいなことを書いていて、私は出来てないなぁと思った。人って見方を変えたら違った人になるな。その人のことをもっと知りたいと思う心が強くなった。
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途中からなんとなく背景は推測できたけれど、明らかになったシーンにはぞわりと鳥肌がたった。1種のホラー。
自分の記憶にある遠くは無いシーンが浮かんで、重い気持ちになった。
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偶然に見つけた作家さんだったけれど、見かけると気にする様になってきた。
タイトルが内容をまさに表していて、凄く良いなと思った。
親の愛の形は様々で、親でない人からの愛もある。
受けた愛と似た愛を人に与えるのだろうか。
人を試す様な愛。それに胸を締め付けられる作品だった。
Posted by ブクログ
一木けいさんの作品を去年初めて読んで、文章がとても好きで3冊目。途中とても苦しい展開だった。なんとか救いが見えるラストではあった。こどものころって、高校生まではそうだと思うけど良くも悪くも学校や家しか場所がなくて逃げられない。そんな環境が恵まれていればいいものの、息苦しければその後の人生に影響を及ぼしてしまう多感な時期だ。そんな時期に良い仲間に出会えた橙子はよかったと思う。幸せになってほしい。しかしヤマオは素晴らしい人間だな。
Posted by ブクログ
追い詰める人は追い詰められてる
恩にも時効がある
がすごく響いた。
憎みきれないけど自分の中で整理をつけて進んでいかないといけないんだなと....
最後バタバタとまとめられた感じがして、冬香先生の過去と橙子のその後が気になった。
この方の文章はとても読みやすいです。
Posted by ブクログ
自分と重なるところがあって終盤泣いてしまった
娘に上手く与えられない、愛
愛されない愛 上手く噛み合わない、
遠くで生きてるのを見守る、それも、愛だと思った
愛って言葉はなんかダサいけど
愛には〝責任〟も着いてくる
私もだれかを愛してみたい 自分以上に
Posted by ブクログ
愛を知らない高二の少女
高校の合唱コンクールを通して 信じられる友人を得る
一木さんは、信じている者に裏切られる時の状況を 息を飲ませて読ませてくるんだなと思う
施設から引き取られ養女となった少女の不適合性を思わせておいてからの 反転
ここが 良いです
重松サンらのぐっと我慢して正論で生きる学校物も良いけど 脆弱な家庭の子供達が 何かしらに生きる糧を見つけて 正面から生きようとしていく感じが魅力的
愛される事ができなかった少女と
愛する事ができない、あるいは愛し方がわからなかった養母
「恩に時効があっていい」これは、実の親子であっても有効なのではと思う深い意味合いがある
いろんな家庭があることも含め 大人になる前の高校生あたりに読んで欲しいな
Posted by ブクログ
普段はあまり買わないような本。
流行りの本かな〜?と思いつつ購入。
読んでみるとスイスイ入ってくる、吸い込まれる。
どうなる?どうなる?!と久々に一気読みした。
重い重い!!ちょっとずつ重くなってくる!!
うわぁ〜〜〜。となりながらも読み進めた。
が、最後が少し薄かった。
最後を良い意味の激重にして欲しかった感。
ハッピーエンドなのは嬉しいけど
終盤まで引き込まれていただけに
拍子抜けしてしまった。
Posted by ブクログ
高校の合唱コンクールが舞台。
爽やかな青春小説で、ちょっと変わった女の子だと思っていたら、後半ガラッと印象が変わります。
不可解な行動をする橙子に隠された秘密。
読んでいて苦しくなる展開でした。
虐待と一言で済ませるのとも違う親子の歪んだ愛。
橙子の育った環境も辛く、母の芳子の過去も苦しく、お互いが愛して欲しいと叫んでいるのに上手くいかない。
「追いつめる人は追い詰められている人だと思うの」
「恩にも時効があっていい」
離れることで上手くいけばいいなと思う。
Posted by ブクログ
「誰かを追い詰めるのは余裕がない人」だったなんてわかったつもりで、本当は気づきもしなかったな。
だから、追い詰めてる人を責めることはしたくない。
今はまだ、どう手を差し伸べたらいいのか、それとも、差し伸べない方がいいのか、わからないけど少しずつ自分の中で答えを見つけていきたい。
この先、橙子のように興味のない人の声なんて気にせず、嘘で固めず、自分に芯のある強い人になれずとも、近づけたらいいな。
Posted by ブクログ
恩には時効がある 縁には期限がある
この本から、得た言葉。
その人を好きな気持ちと、嫌いな気持ちは、違う引き出しにいれておかないといけない。
そうでないと、ただしいことが、わからなくなる。
愛を知らない?
きっとみんな知っているのかも
愛は自分の中にある。
Posted by ブクログ
心を掴んで離さない鋭い衝撃のタイトル。愛を知らないのは橙子のことかと思って読んでいたけれど、読み終えた今は子どもから向けられる愛に気づくことができなかった親を指しているような気がしてならない。
言葉の暴力の場面は自分が言われているかのように胸が抉られる。
自分だったら、スーパー出禁になるほどの育てにくい子どもに一定した心穏やかな愛情を常に注げるだろうか。橙子の母も、涼やヤマオのような人間とその苦悩が分かち合えていたらもっと早く光にたどり着いたのかもしれない。
様々な過去を抱えながら生きる登場人物が魅力だった。