一木けいのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて一木さんの作品を読みました。
本屋さんで表紙に惹かれてなんとなく選んだけど、読む!って決めてよかった、素敵な作品でした。
誰が愛を知らない話なんだろう、と読み始めて
この子かな?と思ったところから
後半で転調、世界がひっくり返った。
でも、ひっくり返ってなかった。
愛がほしい者同士だったんだなと最後まで読んで感じた。
好きなセリフがたくさんあった。
『別の引き出しにしまう』そうすることで、
人をよく見過ぎたり、悪く思い込もうとしたりせずに、大事なままとっておけるなと教えてもらいました。
感情表現が繊細で、わたしの好きなタイプの本でした!
『優しい嘘って言葉、あたし大っ嫌い。そんなのいらない。ひとっつもいらない』
『追いつめる人って、たぶん追い詰められてるよね』
『大事な人だった。だから愛情も感謝も、うしろめたさもあった。恩もね。相反する感情で、頭がぐちゃぐちゃになった。ぎりぎりの細い線の上を右へ左へ行ったりきたりで、いつあちら側に行ってもおかしくない日々だった。でもそんな中でただ一点、どんなときも消えない、たしかな気持ちがあったの』
『逃げたいってこと』『その人のそばにいると息ができないから』
『それで、その人のすべてを、わたしの中の引き出しに分けることにしたの。』
『恩にも、時効はあっていいと思うのよ』 -
Posted by ブクログ
ネタバレどうして主人公はこんなにも夫の飲酒へ過敏になっているのだろう?と匂わせながら次章では父親目線や自分の幼少期の目線で話が進んでいく。
2人のボタンの掛け違い、或いは掛け違いに気付いていてもどうしようもないことへの切なさが読んでいて苦しかった。確かに、愛はあった。選択したことのひとつひとつ、気持ちの弱さや脆さが積み重なり心が壊れていく、家族が壊れていく。
最後まで宇太郎目線で話が進むことはなかったから、主人公が一番大切な人を信じることに気付いたラスト、宇太郎が、今の家族が、どうなっていくかは千映のこれからの"ゆるす"形なのだと思う。
ゆるすことは、酒を許すことではない。
酒を許すことは、"あきらめ"。
あきらめと、ゆるすは似たようで全く違う。
ゆるすことは、寄り添うこと。ひとりの人間として彼の弱さもみとめること。プレッシャーを背負う彼の逃げ場をつくること。それが酒ではないように一緒に考えてあげられること。
自分にも言い聞かせようと思う。 -
Posted by ブクログ
前作「一ミリの後悔もない、はずがない」が良かったので読みました。
読み終わって感じたのが、この作者さんは感性で読ませる人だなぁと。
物語自体はそれほど突飛でもなく、どこかにありそうな青春ものであり、登場人物には裏がありそうだなと読み始めから予想はついていたので、あぁやっぱりか、という展開でした。まず主人公の男子が良い子すぎるし、クラスの皆も平和だし、ピアノの先生はやたらきれいな感じだし、物語の鍵となる芳子おばさんも当初は良い人すぎるので、序盤は退屈で先にレビューを見てしまいました。ただ読みやすいし情景は浮かびやすいし、橙子だけが異質なのでおもしろくなりそうかな、と読みすすめました。
後半からは一気に緊迫感が出て入り込めました。ただ、先にレビューを見てしまったこともあり、そこまでひどい展開でもなかったな……ピアノの先生とかがどす黒く豹変したらもっとおもろかってんけどな……とは思いましたが(笑)それでもラストの橙子の決意はすばらしかったし泣けました。この力強いラストのための合唱物語。ラストに向かうまでの数々のエピソードは正直冗長気味には感じたものの最後はしっかり感動できたし、感性で読ませてくれたなぁ…というわけで★4つ。
個人的には母子ものには共感できないタイプなので、好みのベクトルでいえば前作の恋愛もの(特に不倫の話とか良かった…)のほうが印象に残りました。