【感想・ネタバレ】愛を知らないのレビュー

あらすじ

高校二年の橙子は、クラスメイトとほとんどかかわることなく日々をやり過ごしてきた。支離滅裂な言動をとる変わり者と思われ、親しい友人もいないが、クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。そしてある事件をきっかけに明らかになった橙子の秘密とは―。心を強く揺さぶる感動の青春小説。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

序盤の内容のまま進んでいくのかと思ったら、どんどん肉付けされていって、初めと違う印象になった。それぞれの思いに久しぶりに読書で
泣いてしまった。
最後の橙子の判断が本当に良かったと思った。
その判断に行き着くことができたのは、友達と合唱コンクールの力だと思う。
追い詰める人は、追い詰められてる人。
橙子を育てているのか、それとも管理しているのか。
その通りだなと思う。
母親がひどいことしてるのはわかるんだけど、わかるところも多く、全てを責められなかった。
みんな苦しくて、だけどまずは大人が自分の気持ちを止めなくてはいけないよね。
その後の皆が幸せに生活していると良いな。

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2025年08月03日

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一木けいさん2冊目。やっぱり好きだ。いろんな感情が湧き出てきて、ここまで本にのめり込んだのは久しぶり。

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2023年07月18日

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いやぁ、一木さんやっぱりいいわ。

ヒリヒリする。

もう読む手が止まらなかった。

出てくるキャラクターがみんな良い。

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2023年03月11日

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血の繋がらない母と娘の感動作。
といっても、虐待やクラスメイトとの関係などテーマはいろいろあった。

一木けいさんの作品は、読み始めからぐっと引き込まれる。登場人物の心理描写が生々しいからか、臨場感もある。

久しぶりに読書にのめり込んだ。

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2021年10月30日

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高校で同じクラスになった親戚の橙子は、まわりから浮いている存在だ。クラスでも一目置かれるヤマオの推薦で橙子は合唱祭のアルトソロになる。ピアノ伴奏する涼と指揮者の青木さんの四人で練習をはじめるが...。
「愛着障害」この言葉を最近になって目にすることが多くなってきた。
橙子は、ネグレクトされて保護されて芳子の家に里子として引き取られた。里子にだされた子供は、度が過ぎる程のイタズラや、悪さを繰り返し、里親の反応を試しくるのだそう。
クラスに馴染めない橙子も、そんな可哀想な子供だから、わかって欲しいと芳子は言った。
しかし、芳子の本当の姿を涼とヤマオは知ってしまう。
「恩にも時効はあっていいと思うのよ」涼のピアノの先生が言った言葉が印象に残った。
芳子の日記を読むと、育てにくさを感じながらも懸命に子育てしていたのが伝わる。
あの子を遠くからそっと守るように大切にする。そんな愛し方もあると最後に気付いてくれて良かった。
「誰かに大切にされた経験は、どんなつらいことでも生き抜く力になる」に胸が詰まる気持ちになった。
「愛を知らない」はやっぱり「愛されたい」の裏返し。
橙子はきっと強く生きていけると思う。


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2021年06月23日

Posted by ブクログ

母と橙子、それぞれの「愛してほしい」が切ない程伝わってくる小説。これをクラスメイトで親戚の涼の視点から書いているのが凄いと思った。青木さんとヤマオのキャラクターも魅力的。
母娘の関係という地球上最も近い存在の愛の形を描いてると思う。恋愛の男女の関係とは別の視点で、人間として1番関係性が密接で深いのは母娘だと思っていて、それをここまで描ききっていることに感動した。

男の人は、あまり読んでも分からないかもしれない。

母として、娘として、女として、愛されたいと望む人間性を切なく描いている。

そんなに長くないのでスッキリすぐ読める。
197ページあたりは、スピードアップして、私はゾッとした。

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2020年05月17日

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合唱祭をめぐる、高校2年生の涼(りょう)とその同級生たちの物語り。生まれた子供は全ての出来事が初めての経験であるのはもちろんだけれども、親にとっても子育ての全ては初めての経験であり、その中で起こる様々なことを丁寧に語った良作と思いました。星4つの評価としました。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて一木さんの作品を読みました。
本屋さんで表紙に惹かれてなんとなく選んだけど、読む!って決めてよかった、素敵な作品でした。

誰が愛を知らない話なんだろう、と読み始めて
この子かな?と思ったところから
後半で転調、世界がひっくり返った。

でも、ひっくり返ってなかった。
愛がほしい者同士だったんだなと最後まで読んで感じた。

好きなセリフがたくさんあった。

『別の引き出しにしまう』そうすることで、
人をよく見過ぎたり、悪く思い込もうとしたりせずに、大事なままとっておけるなと教えてもらいました。

感情表現が繊細で、わたしの好きなタイプの本でした!

『優しい嘘って言葉、あたし大っ嫌い。そんなのいらない。ひとっつもいらない』
『追いつめる人って、たぶん追い詰められてるよね』
『大事な人だった。だから愛情も感謝も、うしろめたさもあった。恩もね。相反する感情で、頭がぐちゃぐちゃになった。ぎりぎりの細い線の上を右へ左へ行ったりきたりで、いつあちら側に行ってもおかしくない日々だった。でもそんな中でただ一点、どんなときも消えない、たしかな気持ちがあったの』
『逃げたいってこと』『その人のそばにいると息ができないから』
『それで、その人のすべてを、わたしの中の引き出しに分けることにしたの。』
『恩にも、時効はあっていいと思うのよ』

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2023年08月15日

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ネタバレ

一度世界に入ったら読み終わるまで続けて読んでしまった。
あの年齢のそれぞれの悩みがリアルに書いてあって
思い出してしまった
自分と生まれてくるかもしれない子供のことも考えさせられた。

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2023年05月14日

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よくある青春もの、
のようで違う、のがよい。
合唱コンクールに向けて練習に励む学生たち。
を描いただけの青春物語…ではなくて、
痛みを伴う母娘の関係を軸にした話で、
単純なハッピーエンドではない読後感もよかった。

正しくあろうとすればするほど
陥る闇もあるのか。
そんなことを考えさせられた。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

一木けいさん、初読み。

『女による女のためのR-18文学賞』出身の作家さんで、このタイトル。

勝手に大人の恋愛小説をイメージしていたが、心に闇を抱えた登場人物達が織りなす青春小説だった。

主人公は高校2年生の橙子。
クラスで浮いた存在だった橙子が合唱コンクールのソロパートを任される。

橙子が発する言葉や奇妙な行動に首を傾げていると徐々に明らかになる真実と、その背景に胸が苦しくなる。

そして橙子の母である芳子の裏の顔には人の心の奥底に潜む狂気を感じ背筋が凍る。

愛に餓え、愛を求める人達の不器用さが、痛い程に胸に突き刺さる。

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2023年02月14日

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自分の中の引き出しに分ける

描き切れてないものもあるけど、描きたい・描こうとするものを明確に持っている作家さんだと思う。続けて読んでいきたい。

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2022年09月28日

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「愛を知らない」塔子。でも、実は「愛」をよく知っているのかもしれない。
愛したい、愛されたいという気持ちがうまく噛み合わなくて、とても苦しい。
冬香先生の「恐いほど追い詰めてくる人は、すでに恐怖の中で生きているから、仕返しをしようとか考える必要はない」という言葉。
嫌な事があった時に、思い出そうと思う。

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2022年01月30日

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ネタバレ

里親、貧困等子供の問題、そしてあっと驚く展開にまさか!人間は表だけではわからない。こんなこともあるんだなぁ~。闇は広がるばかり。

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2021年12月10日

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母子についての話。「1ミリの後悔もない、はずもない」を読んだときも思ったけど、複雑なことをストレートに感じさせる文章力がすごい。

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2021年08月22日

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前作「一ミリの後悔もない、はずがない」が良かったので読みました。
読み終わって感じたのが、この作者さんは感性で読ませる人だなぁと。
物語自体はそれほど突飛でもなく、どこかにありそうな青春ものであり、登場人物には裏がありそうだなと読み始めから予想はついていたので、あぁやっぱりか、という展開でした。まず主人公の男子が良い子すぎるし、クラスの皆も平和だし、ピアノの先生はやたらきれいな感じだし、物語の鍵となる芳子おばさんも当初は良い人すぎるので、序盤は退屈で先にレビューを見てしまいました。ただ読みやすいし情景は浮かびやすいし、橙子だけが異質なのでおもしろくなりそうかな、と読みすすめました。
後半からは一気に緊迫感が出て入り込めました。ただ、先にレビューを見てしまったこともあり、そこまでひどい展開でもなかったな……ピアノの先生とかがどす黒く豹変したらもっとおもろかってんけどな……とは思いましたが(笑)それでもラストの橙子の決意はすばらしかったし泣けました。この力強いラストのための合唱物語。ラストに向かうまでの数々のエピソードは正直冗長気味には感じたものの最後はしっかり感動できたし、感性で読ませてくれたなぁ…というわけで★4つ。
個人的には母子ものには共感できないタイプなので、好みのベクトルでいえば前作の恋愛もの(特に不倫の話とか良かった…)のほうが印象に残りました。

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2021年07月24日

Posted by ブクログ

辛いことを経験した人ほど他人に優しくできる。
エスカレートして自分を見失ってはいけない。
子供に逃げ場はないのだから。

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2021年06月04日

Posted by ブクログ

そうなんだろうな、でもそうじゃないといいなという気持ちだけで読み進めて、やっぱりそうで、想像した以上に酷くて、心が張り裂けそうだった。本から澄子の歌声が聴こえてくる。歌声だけでなく、叫びも。魂が震えるような作品。すごいなぁ。一木さん、どんどん読ませてくる。すごいなぁ。

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2021年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思ってた話と違って意表を突かれたという意味ではおもしろかった。橙子のお母さんの描写には衝撃だった。主人公があとから思い出すと橙子が自分にいつも話していたと気づくところは、人間の思い込みがどれほど強く作用するかを上手く表現していてすごいなと思った。誰が書いたのかわからない日記と交錯して進んでいくのがすごく面白かった。最後は思わず泣いてしまったけど、なんだか重い話だった。

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2021年01月05日

Posted by ブクログ

初めて読む作家さん。
たまに読む一般の方のブログで紹介されてて、気になったから読んでみた。

主人公は、ピアノが上手な男子高校生。
同じクラスで親戚の橙子が、合唱コンクールのソロに選ばれて、指揮者、男子ソロの4人で練習をしていく。
最初やる気のなかった橙子は、徐々にクラスメイトとも打ち解けていった。
そんなとき、主人公とその仲間は、橙子の出生の秘密を知る。

橙子が、自分が里子であることは知られたくないって言ったことが印象的だった。
同情されたくないからか?と主人公は想像を巡らす。でも、そういうことではないと思う。
読み進めていき、おそらく、橙子自身が、育ての親から橙子の生みの親について悪情報ばかり聞かされおり、自分のアイデンティティや生まれを恥ずかしいもの、人に知られたくないことだと思い込まされていたんだと思う。
橙子が魅力的で、誰かに大切にされるに値する人間であること、誰かを救っていること、ヤマオに説得されたのだろうけど、橙子が肯定的な意見を全て素直に受け入れられたのかどうか…。

育てにくい子は、たしかに存在します。
愛着障害の試し行動というのも、現実にあるのでしょう。
でも、信頼関係を築けなかったこと、子どものせいにしないであげて欲しかった。
最後には、育ての母も、橙子との日々に幸せがあったことに気づけるけど、遅すぎた。
橙子は、きっと、自ら選んだ道とは言え、しばらくの間は「育ててくれた恩を裏切った自分」に苦しみながら生きていくことになる。つらすぎる。
ピアノの冬子先生が「恩にも時効がある」と主人公に言ったけど、大人である冬子先生自身も、そのことに気付けるまでに相当の年月を要したはずだ。

里子里親というか、養子縁組なのではないか?と些末な法律論にひっかかる暇もないほど(読み終えてから違和感に気付いた)この少女の行先が明るいものであるよう願いながら、先へ先へと読み進めました。

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2020年09月27日

Posted by ブクログ

ネクストブレイク作家として期待をしている一木けいの最新刊。
これ、良かったんだよー!面白かった!もっと売れてもいいと思うんだけどなぁ。。個人的にプッシュしていきたい作家さん。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

 初めて読む作家さん。文章が、素人の域を出ていなくて、少しびっくりし、戸惑いながら読んだ。でも、確かに、心を動かされるものがあった。話題になったのも頷けた。力がある1冊だった。

 幼い頃から親に虐待を受け、愛着障害を持つ女の子の物語。合唱コンクールの練習に励む高校生四人が主な登場人物。

 愛着障害を持つ女の子は、幼い頃、自分を施設から引き取ってくれた育ての親に、試し行動を繰り返し困らせた。高校生になって、随分と落ち着いたとはいえ、クラスメイトへの態度もぶっきらぼうだ。人からよく思われようなんていう気持ちは皆無と思える行動をとる。

 この物語を読んで1つ強く思ったことがある。私も、この女の子ほどではないが、愛着障害を持っている自覚がある。愛着障害というものを知ったのは、大人になって、ずいぶん経ってからだ。
若い頃は、今思えば、試し行動を私もしていたように思う。ただ、もうずいぶん長い間していない。なんでだろう?もう良くなったかな?なんて思いながら、理由を考えてみた。

 試し行動を取るのは、こんな態度をとっても、あなたは私を想ってくれますか?と切望する気持ちからであって、対象は、この人から愛されたい、この人を愛したいと思う人に限定される。だから、そういう相手がいなければ、試し行動は現れない。これが理由だった。我ながらとても悲しい分析になってしまった。

 だから、試し行動をとられた人は、「自分はその人から愛されているんだ、そして自分にもっと愛して欲しいんだ」と捉えて欲しい。そして、その人と関わり続ける気があるならば、その人をとても想っていることを言葉にして、繰り返し伝えてあげて欲しい。愛着障害を持っている人は、ただただ愛に飢えていて不安なのだ。とても厄介だけれど、同時に純粋でもある。相手に対して欲しているものが、物やお金や、その人と仲良くなることで得られる地位や権力ではなく、ただ1つ、愛情なのだから。

 本から話がそれてしまったけれど、こんなふうに、心の深いところを揺さぶられる、価値のある1冊だと思う。ただ、もう少し先まで描いて欲しかったり、大人の登場人物の人格や言動に確固とした一貫性を持たせて欲しかったりと色々があり、出版に携わった周りの方がもう少しアドバイスしてあげてもよかったんじゃないかと、残念に思う気持ちも残った。この本の、他にはない勢いを、プロの手で邪魔したくなかった気持ちもわかるような気もするけれど。

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2024年02月07日

Posted by ブクログ

「誰も彼も、見たいものだけ見て、信じたいものだけ信じるよね。この世界にあるのは、そんなきれいなものばっかりじゃないのに。ー」(P.154)
「誰かを傷つけないために言わないことで、別の誰かが傷ついたら?ただ黙っとくのがほんとうに、いいことだと涼ちゃんは思うの?ー」(P.155)
「それで、その人のすべてを、わたしの中の引き出しに分けることにしたの。たしかに大事にしてもらった。愛をもらった。守ってもらった。つらいときに優しくしてくれた。情に厚くて、セクシーで、すごく魅力的な人。だけど、そのよい方ばかりに目を向けると、つらくなっちゃうのよ。そんな人に対してこんなことを思う自分がろくでなしに思えて。だから、自分の中のぜんぶの感情を認めて、分けたの」(P.230)
「怖いくらい追いつめてくる人は、恐怖の中で生きているんだと思う」(P.231)

合唱コンクールでソロに抜擢された橙子にはある秘密があった。芳子さんと仲良くいっているように見えたが、家では管理され、暴言を吐かれる日々。血の繋がりのない母娘が上手くいくことは不可能なのだろうか。かつて橙子に愛情を注げていたはずの自分もいるはずなのに娘が成長し、壁ができてしまった。修復出来なくなるまで壊れてしまうなんて相当だが、小さなすれ違いが重なるとこうなってしまうのかなとも思う。冬香先生の少し闇のあるような雰囲気や、高校生であるにも関わらず、深夜働き続けるヤマオなど、個性的な登場人物が多め。良い人だと思っていた芳子さんの変貌ぶりや、真逆の顔が怖すぎて、人の印象なんて他人によって簡単に左右されてしまうのだと思う。合唱コンクールに向けて練習し、本番用の帽子を買いに行く4人は青春そのもので羨ましく思った。クラス一体となり努力する感覚、本番が近づくにつれて一体感の出てくるあの感じをまた味わいたいと懐かしくなった。勝手ではあるが、決して嘘はつかない橙子のような人も面白いし、ヤマオのように明るく、真っ直ぐで誰かを救える人間も必要だと思った。

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2023年11月15日

Posted by ブクログ

愛とは。母親側からと子供側からの視点で描かれているけど、どちらの立場からしても辛い。血の繋がらない子供を育てるって軽くできることじゃないし相当な覚悟と精神力も必要で大変だろうと思う。それを思うと日記からもわかるように芳子の気持ちも痛いほどわかる。今同じように手がかかる子供がいる私自身の言葉を代弁しているような。そして橙子の愛を知りたいが為の言動や態度が子供ながらにしての必死のSOSだということもすごく伝わってきた。どっちも愛されたいだけなんだよな〜って読んでればわかるのに、現実はうまくいかなかったり言葉では言えないってあるよな〜

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2023年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすいし、青木さんやヤマオなど、キャラが立っていて好感も持ちやすく面白かった。

ただ、芳子の橙子との向き合い方は残念すぎるし、最後も、「今さら後悔しても…」感が尽きない。

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2022年11月21日

Posted by ブクログ

言葉って、口にした瞬間思っていたことと微妙にずれちゃってるの。
ああこんなこと言いたかったんじゃないのにって、天を仰ぎたくなる。
特にすっごく疲れてるとき。
なんでわたしだけがこんな目にって思っちゃうようなときはほんと、ダメ。
そういうときって、ろくなこと放出しない。
自分がつらいときこそ、他人の苦しみに鈍感にならないで、手を差し伸べられるような人間になれたらなあっていつも思うわ。
そこまで到達できなくても、せめて自分を保てたらいいのに。

救うっていうのは、救われたい人がいてはじめて成立する行為じゃないの?

誰かを傷つけないために言わないことで、別の誰かが傷ついたら?
ただ黙っとくのがほんとうに、いいことだと涼ちゃんは思うの?

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2022年05月22日

Posted by ブクログ

「1ミリの後悔もない、はずがない」が好きだったので、手に取りました。

愛してはいるはずなのに、うまくいかなくて、傷つけ合う。器用に愛しあえず間違えて間違えて、悲しかった。

でも誰かに気づいてもらえた彼女は幸せだ。

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2022年03月17日

Posted by ブクログ

母親の顔、その下の本当の顔を見てしまった
子供は自分を守る為に、どうするか?
息を殺して、自立出来るまで潜伏するか?
レジスタントのように少しずつでも抵抗するか?
そんな状態のクラスメートがいたら、どうするか?見て見ぬふりをするか?
クラスの合唱から始まった話しです。



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2021年10月10日

Posted by ブクログ

こう来るだろうと言う予測はしていたけど、予想外のカミングアウトと予想以上の緊迫感を味わえた後半は一気読み。
少し物足りないないのは、ヤマオ、パーフェクト過ぎなのと、主人公母の物分かりの良さの漠然とした感じ。前作よりもどこかで読んだ感

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2020年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初投稿。アウトプットする意識で本を読むと、内容の背景とかが自分なりに深読みできてよかった。テーマは無条件の愛。しかも血縁関係がないとなるとどこまで相手のことを愛で包み込めるのか?そんな問いかけを感じた。そう思うと夫婦って血は繋がってないんだよな〜とか色々思った。
失って分かる存在ってよく言葉にされるけど、最後はまさにそれ。後悔しないように生きないとね。
それにしても冬香先生の人生の達観具合が半端ない!「追いつめてくる人は、恐怖の中で生きている」「すでにその人は恐怖のどん底にいる。だから妄想に支配されて苦しんでいる」…思い当たるフシがあります。

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2020年06月14日

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