あらすじ
高校二年の橙子は、クラスメイトとほとんどかかわることなく日々をやり過ごしてきた。支離滅裂な言動をとる変わり者と思われ、親しい友人もいないが、クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。そしてある事件をきっかけに明らかになった橙子の秘密とは―。心を強く揺さぶる感動の青春小説。
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Posted by ブクログ
初めて一木さんの作品を読みました。
本屋さんで表紙に惹かれてなんとなく選んだけど、読む!って決めてよかった、素敵な作品でした。
誰が愛を知らない話なんだろう、と読み始めて
この子かな?と思ったところから
後半で転調、世界がひっくり返った。
でも、ひっくり返ってなかった。
愛がほしい者同士だったんだなと最後まで読んで感じた。
好きなセリフがたくさんあった。
『別の引き出しにしまう』そうすることで、
人をよく見過ぎたり、悪く思い込もうとしたりせずに、大事なままとっておけるなと教えてもらいました。
感情表現が繊細で、わたしの好きなタイプの本でした!
『優しい嘘って言葉、あたし大っ嫌い。そんなのいらない。ひとっつもいらない』
『追いつめる人って、たぶん追い詰められてるよね』
『大事な人だった。だから愛情も感謝も、うしろめたさもあった。恩もね。相反する感情で、頭がぐちゃぐちゃになった。ぎりぎりの細い線の上を右へ左へ行ったりきたりで、いつあちら側に行ってもおかしくない日々だった。でもそんな中でただ一点、どんなときも消えない、たしかな気持ちがあったの』
『逃げたいってこと』『その人のそばにいると息ができないから』
『それで、その人のすべてを、わたしの中の引き出しに分けることにしたの。』
『恩にも、時効はあっていいと思うのよ』
Posted by ブクログ
一度世界に入ったら読み終わるまで続けて読んでしまった。
あの年齢のそれぞれの悩みがリアルに書いてあって
思い出してしまった
自分と生まれてくるかもしれない子供のことも考えさせられた。
Posted by ブクログ
思ってた話と違って意表を突かれたという意味ではおもしろかった。橙子のお母さんの描写には衝撃だった。主人公があとから思い出すと橙子が自分にいつも話していたと気づくところは、人間の思い込みがどれほど強く作用するかを上手く表現していてすごいなと思った。誰が書いたのかわからない日記と交錯して進んでいくのがすごく面白かった。最後は思わず泣いてしまったけど、なんだか重い話だった。
Posted by ブクログ
読みやすいし、青木さんやヤマオなど、キャラが立っていて好感も持ちやすく面白かった。
ただ、芳子の橙子との向き合い方は残念すぎるし、最後も、「今さら後悔しても…」感が尽きない。
Posted by ブクログ
初投稿。アウトプットする意識で本を読むと、内容の背景とかが自分なりに深読みできてよかった。テーマは無条件の愛。しかも血縁関係がないとなるとどこまで相手のことを愛で包み込めるのか?そんな問いかけを感じた。そう思うと夫婦って血は繋がってないんだよな〜とか色々思った。
失って分かる存在ってよく言葉にされるけど、最後はまさにそれ。後悔しないように生きないとね。
それにしても冬香先生の人生の達観具合が半端ない!「追いつめてくる人は、恐怖の中で生きている」「すでにその人は恐怖のどん底にいる。だから妄想に支配されて苦しんでいる」…思い当たるフシがあります。