北山猛邦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ鏡の国のアリスの世界を思わせるアリス・ミラー城を舞台とした、「そして誰もいなくなった」風のミステリ。筒井道隆の「ロートレック荘事件」のような叙述トリック一本で作られた作品。
アリス・ミラー城に集まった探偵は、10人ではなく11人であり、犯人の「アリス」が存在しないように感じさせるべく、叙述トリックが駆使されている。
北山猛邦らしく、物理トリックを使った密室も出てくるが、作中で軽く扱われているし、それほど驚けるトリックでもない。
アリスの存在は、読者には隠されているが、作中の人物には当然に存在しているはずなのに、全く犯人として疑われている描写がないなど、「んん…」と思われる点はあるが、こういう読者を騙そうとするサービス精神溢れる作品は好みの作風である。
とはいえ、アリスが犯人であるという真相を見てもそこまで驚愕できなかったのは事実。読者としてすれた読者になってしまったのかもしれないが、叙述トリックとして、もう少し「おお」と思われる部分が欲しかった。★3かな。 -
Posted by ブクログ
北山氏の著作では2冊目、短編集。彼の創造した探偵「音野順の事件簿シリーズ」としてシリーズ化されている。
氏の作風として物理トリックにこだわるところは短編も同じであり、その都度ニヤリとしてしまう。それより今作の大きな特徴は作品の構成そのものにあると思う。
ひきこもりの名探偵音野順が探偵で、ワトソン役は友人であり彼の手がけた事件を小説にしている作家白瀬である。探偵とワトソン役のキャラ造詣には一工夫あり、過去の類型を見ないよう努力はしているのだろう。まぁ、ラノベ的であり、二人のやりとり、さらに岩飛警部などもからみ、ユーモアの点でも楽しめる。
しかしながら探偵の様式美に徹底的にこだわった作風であることが殊に嬉しく思えた読後感だった。様式美は解説で言及されており、作風を一言で表すなら正鵠を射ている。
事件が起きて不可思議があって、探偵登場、手がかりが発見、探偵の推理完了、一同揃ったところで種あかし、犯人確保、という一連の流れが共通して存在する。そこに氏お得意の物理トリックが絡む。お約束だけど飽きない、「寅さん」の世界がそこにある。お気楽に読めながらもクセになる味が確かにある良品であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレー書物が禁じられた世界ー
書物は、人々に悪い知識を吹き込み
道を外れさせるものとして厳しく管理・焚書されてしまう
相次ぐ戦争・天災でもって安寧の住処を追われた人々は
今や検閲の入ったラジオやテレビからもたらされる情報だけを頼りに
先の見えない生活を送るのだった
事故で両親を失った少年クリスは故郷の英国を離れ
単身とある島国へたどりついた
そこは、父から教えられた物語
『ミステリ』が最後に眠る場所
*
情報統制モノ
書物が禁止され、検閲の行きとどいた情報のみが人々に伝えられる世界
海面上昇というので、近未来の話かと思いきや
大戦が終わったあたり?の年代のよう
私たちの世界がたどったかも知れないパラレルワールド的なものとして身近だ
主人公のクリスは、旅先の集落で
失われたはずのミステリに深く関わるとされる事件に遭遇する
事件を解き明かすことに使命感と高揚を覚えるものの、
やがて直面する『ミステリの本質』に向き合ったとき
彼の意思はどう変化するのか……?
続きが楽しみ -
Posted by ブクログ
5話連作になってます。
なかなか面白い探偵像が出来上がってますね。
音野は性格的には充分ひきこもりです。
事件現場に行く時は必ずお弁当を自作して持っていくという、
周囲の人の言動や行動にびくつく臆病っぷりにもかかわらず、
マイペースというか空気を読んでないというか。
そんな音野を毎度小突き回す岩飛警部の存在も楽しい。
白瀬はこの作品の中でワトソン役にあたり、
小説家として音野をモデルにして書いているという設定です。
でも学生時代からの友人にしても音野に入れ込みすぎな気がします。
そのあたりが音野の人格形成と共にもう少し分かると、
人物像にもっと厚みがでて心に残る気がします。
さらっと読めて楽しかったのですが、
読後少し時間を置いて書いている所為か、
トリックも含めてあまり印象に残っていないことに気が付きました。
ちょっと残念です。
次回作も出ているようですね。
文庫になったら読もうと思います。