北山猛邦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ20101101
タイトルに新本格派っぽい匂いを嗅ぎつけて手に取ってみた本作。シリーズものかなと思ったけど、これで読み切りのようです。
ナコというお人形さんめいた探偵(一人称「僕」のクールな少年らしい)が出てくるのだけど、その風貌が「女性的」であるあたりとか、ワトソン的立ち位置の主人公(男子大学生なのに一人称が「私」で少し違和感)がナコと共に潜入した「ギロチン城」にはちょっと同性愛っぽいメイドさんたちがいたり(私の妄想かも・笑)住人は当主の男性を除いて全員美少女の姉妹だったりと、なかなか中二病テイストな世界観なのですが、メインとなる物理トリックはかなり大がかりですごかった。ただそれと同時に、そういったトリックは「ギロチン城」という非現実的な舞台がなければ成立しないわけで、社会派一味から新本格が「絵空事」「子供だまし」とバカにされちゃう一因も垣間見えたり……しかし、[ネタバレ注意]
物理トリック以外にも衝撃?の叙述トリックが最後に明かされたり、(正直あれはちょっとずるいと思う笑)、「ギロチン城」の名前の由来の一つかと思われる大仕掛けがほんとにサラッと描写されたりと、後半にかけてとにかく目まぐるしくとんでもない出来事が読者を襲う。
惜しむらくは、別に本作がいわゆる新本格に該当するかと思われることとは何も関係ないのだろうけど、やっぱり人物が描けてないかなあと。ナコも城の住人も何を考えているのかよくわからないし、主人公の頼科や「雪」の思考回路にもちょっとついていけなかった。もっと致命的なところでいうと、真犯人の動機がどうしても理解できん。。まあ、閉鎖的な城の中で過ごしてきた人々の感性がへんてこなのは仕方ないのでしょうけども。
ちなみに私は新本格ミステリの作家に人間が描けないとは全然思ってないし、そもそもミステリにおける「人物が描ける」基準も最低限こちらが感情移入ないしは心情の理解ができて、人間味があればそれでいいと思っているのです。人の心を切々と描きたいなら何もミステリである必要はないでしょうと。あくまでエンターテイメントなのです。 -
Posted by ブクログ
「双子やクローンでさえ差の生じるパーツが、人間には多くある。――だが、生体認証技術を突き詰めていくと、逆説的に、人間は人形化していくのだ」
「――特定されるのは、パーツでしかない。機械を通し、各パーツに一度解体され、再び組み立て直される。その組み立て直された私というのは、本当に私であって、私に良く似た人形的存在ではないと、はたして云えるだろうか」
「名前」は個の証明なのか、ただの記号なのか。私とは何か。
館物が続いているわけだが、昔のは館=(動機を達成するための)パズルなのに対して、北山氏のは館そのものが事件の動機であり、ひとつの閉じた世界なんだよなあ。キレイ。