森谷明子のレビュー一覧
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「お仕事」アンソロジー小説。
伊坂幸太郎、原田マハという文字に惹かれて読んだらまさかの3でしたが、アンソロジーなので問題なし!
原田マハさんの美術品を運ぶスタッフの話、
伊坂幸太郎さんの新幹線の清掃スタッフの話が特に読みやすくて面白いな〜と思ったけど、そのほかにも
日明恩さんの救急情報センターの通信員の話
森谷明子さんのベビーシッターの話も面白かった!
ラブミーテンダーの曲、聴きたい。
アンソロジーは知らない、読んだことのない作家さんの本も読めてとても良いし、短編でさくっとよめるのもありがたい。
ラブミーテンダーの中で、働いてるお母さんが話していた言葉が残ってる
「主人のお給料だけでも、やりくりすればなんとか暮らせるとは思う。でも、それだと、何か、私は家の中に閉じ込められてるとか、そんな被害妄想を持ちそうなの。単純に今の仕事好きだし、ここでやめちゃうのはもったいないし。だから、これから一年分のお給料は、自分のところに残らなくていいんです。そのお給料で、仕事と母親、両方頑張る自分の未来を買ってるんだと思えれば」
これから育休明けて働く時に、この言葉を思い出しながら過ごしたい。
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Posted by ブクログ
俳句甲子園と聞いて、俳句を作って審査され出来がいい句が優勝する大会かと思ったら違った。
5人で1チームの団体戦。俳句は兼題にそって3句作り、事前に提出しておく。大会当日は自分たちの句を読み上げ、相手チームがそれを被講し質疑を重ねる。これを両者繰り返し、句の出来による作品点と、相手の句への理解や表現などを指摘する力を問う鑑賞点が審査員によってつけられ、合計点により勝ち進むトーナメント方式により行われる。
作句で散々検討するのはもちろん、提出から大会まで間があり、そのあいだ3句それぞれの17音の世界を突き詰める。
相手校からどのような質問がこようとも、この言葉、この表現しかないと言える思いを短い音にこめる。
短い言葉に対してここまで真剣に向き合い考え抜いたことはない。
読んでいて高校生たちの熱量に気圧される。
青春群像劇としてはあんまり馴染まなかったが、俳句甲子園の描写は臨場感があって面白かった。
俳句は嗜まないのでよくわからない句もありつつ、好きな句や面白い句もたくさんあった。
蝉の殻重力離脱成功す
夕焼空遁走曲楽譜散乱
俳句のイメージにあるしみじみしたものとは一線を画すようなコミカルさや爽快感を感じる。こんな句あるんだ、というような興味が湧いた。句の内容と音のリズムが一致していて楽しい。
夕焼雲でもほんたうに好きだつた
ストレートでこれ以上は何も言うことはないと誰しも思うだろう作品。まさにこの17音がすべて。一方で言葉より色で埋め尽くされるような気持ちにもなる。
手擦れせる句帳の余白海月舞ふ
なぜか印象に残った。理由はわからない。でもこの句帳はコピー用紙のような蛍光の強い白の紙ではなく、もっと使いこんだくすみとざらりとした質感のある紙でできた句帳というイメージ。
桃すする雨よ昨日の一言よ
情感あふれる一句。勝手に絵とストーリーが浮かんでくる。すごい。絵的な印象が強いが、短い映画的な印象もあって、奥行きを感じる。
他にも色々あったが割愛する。
中学生のころは年に一回、俳句を作る授業があった。別に俳句の勉強はほぼなく、友達とだべりながら授業時間の終わりまでに一句作って提出すればOKという、国語の中では一年で一番緩い授業だった。
多分、市民大会中学生の部みたいなものに提出されていたのだと思うが、一度だけまぐれで入選したことがあった。短冊に綺麗に清書された句が返ってきて驚いた記憶がある。季語を入れて川柳にはなっていないくらいの、捻りのない拙い句だったのに。
そんな他愛ない学生時代が読み進めるうちよみがえってきた。おそらく自分の中で俳句に関する唯一の思い出である。
あれ以来俳句に縁遠いが、せっかく俳句の小説を読んだので、久々に詠んでみる気になった。
当時詠んだのは雨の句だったので、今回も雨で一句捻ってみる。
傘さして晴れ間気づかぬ五月雨
暗い。青春小説を読んだ後とは思えない句だ。あんまりなので上向きに修正してみる。
俯きて映る夏空雨上がる
…結局暗い?作中で新野先生が言ってたコツも無視している。中学のは完全にビギナーズラックということが確認できただけだった。
でも、なかなか楽しかったので良しとしよう。
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Posted by ブクログ
毎月参加している横浜読書会 KURIBOOKS で2020年から始まった源氏物語の読書会。
1年で源氏物語を読み通すというのを三年続け(つまり、3回読んで)、今は4年目(4週目)
ここにきて、だんだんわかってきた気がする。
というか、源氏物語の周辺本を読む余裕が出てきた。
紫式部の生きていた平安時代を舞台に、
行方不明になった中宮定子の愛猫探しなどの小さな謎を、紫式部がホームズ役となって解決していく、連作短編でありながら、各短編を通して「源氏物語」の研究者の中でも意見が分かれる 失われた帖「かかやく日の宮」は存在したのか?という謎も追う。というか、作品としてはこっちの謎に挑むというのが本編かな。
実際には「かかやく日の宮」の謎だけではなく、なぜ「雲隠」の帖が、題名だけが残り、本文が無い謎も解いてる。
源氏物語を読んでいなくても、読めるけれども、読んでいたら、「かかやく日の宮」の帖がなぜそんなに重要視されるのかがわかるかも
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Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ3作目
来年の大河ドラマを前に「源氏物語」に因んだ本を読もうかと探していたら、出てた!知らなかった!あわてて読む。
すでに前作の記憶が怪しくて残念だけど、この本だけでもかなり楽しめる。
和泉からの依頼により、式部は道長が瑠璃という姫を密かに住まわせていることを知る。瑠璃姫とは何者なのか。
源氏物語の続編を周囲から催促されていた式部は、瑠璃姫をモデルにした物語を描き始め。
前半は道長サイドから話が進んでいく。
一条帝が儚くなり、東宮に孫をつけたものの、新帝とは合わず、娘・姸子には姫しか誕生せず、悶々とする道長。
それに合わせたように、京では天候不順と付け火が相次いでいた。
傲慢でどれもこれも「俺がやってやった」とふんぞり返ってる道長が憎たらしくて、思い通りにならないことにイラついてることすらも、腹立たしい展開。
そんな道長の栄華の陰で内裏や館の再建に駆り出される貧しい人々。
今回も活躍する阿手木の快活さにホッとして、童子の糸丸の純粋さに救われる。
式部の描く「源氏物語」が効果的に出てきて楽しい。
玉鬘で道長を翻弄して、若菜上下でヒヤリとさせている。行動が制限されながらも強かにやり返す女性たちにニヤニヤする。
もう一度最初から読もうかなこのシリーズ。 -
Posted by ブクログ
1964年というのは、その時代を生きていた人にとってはとりわけ記憶に残る年じゃないかと思う。
敗戦から立ち直り高度成長に向かって邁進する中、東海道新幹線が開通したり東京オリンピックが開催されるなどエポックメイキングな出来事で国全体が高揚していた年。
私は長崎に住む小学生だったので、かなり温度差はある(東京の小学生は道路掃除とかしてたんだ)と思うし、年を重ねるに連れ記憶が美しく上書きされていることはあると思うのだが、それでも「1964年」という言葉に惹かれるところはある。
さて、この物語、そんな東京オリンピック前後の時期に、涼子という女性と何らかの関りを持った7人の話で章立て(それらを涼子メインの序章と終盤2章で挟む全10章)。
個々の話だけ読むとノスタルジックな時代背景に乗せて涼子が周囲のちょっとした困りごとを解決していく話のようにも見える。
話ごとに彼女の印象は変わり、蓮っ葉な言葉を使っていたり怖い人たちを従えていたりする一方、「お嬢さん」と呼ばれ運転手付きの大きな車に乗っていたり。少しずつ彼女の生い立ちや素性が分かってくるに従って、それらの言動も相俟ってちょっと不穏なところが見え隠れ。
全ての話が終わったところでそれまでの話の色んなことが結びつく、なかなか面白い構成と展開だった。
ただ、隠されていた謎にはあまり驚きがなく、涼子の実像が不穏さとはつながりがなかったことも、良さげな結末に水を差すようで悪いが、全体のトーンからするとなんか物足らないところを感じた。