森谷明子のレビュー一覧
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毎月参加している横浜読書会 KURIBOOKS で2020年から始まった源氏物語の読書会。
1年で源氏物語を読み通すというのを三年続け(つまり、3回読んで)、今は4年目(4週目)
ここにきて、だんだんわかってきた気がする。
というか、源氏物語の周辺本を読む余裕が出てきた。
紫式部の生きていた平安時代を舞台に、
行方不明になった中宮定子の愛猫探しなどの小さな謎を、紫式部がホームズ役となって解決していく、連作短編でありながら、各短編を通して「源氏物語」の研究者の中でも意見が分かれる 失われた帖「かかやく日の宮」は存在したのか?という謎も追う。というか、作品としてはこっちの謎に挑むというのが本編 -
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ネタバレシリーズ3作目
来年の大河ドラマを前に「源氏物語」に因んだ本を読もうかと探していたら、出てた!知らなかった!あわてて読む。
すでに前作の記憶が怪しくて残念だけど、この本だけでもかなり楽しめる。
和泉からの依頼により、式部は道長が瑠璃という姫を密かに住まわせていることを知る。瑠璃姫とは何者なのか。
源氏物語の続編を周囲から催促されていた式部は、瑠璃姫をモデルにした物語を描き始め。
前半は道長サイドから話が進んでいく。
一条帝が儚くなり、東宮に孫をつけたものの、新帝とは合わず、娘・姸子には姫しか誕生せず、悶々とする道長。
それに合わせたように、京では天候不順と付け火が相次いでいた。
傲慢でどれ -
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1964年というのは、その時代を生きていた人にとってはとりわけ記憶に残る年じゃないかと思う。
敗戦から立ち直り高度成長に向かって邁進する中、東海道新幹線が開通したり東京オリンピックが開催されるなどエポックメイキングな出来事で国全体が高揚していた年。
私は長崎に住む小学生だったので、かなり温度差はある(東京の小学生は道路掃除とかしてたんだ)と思うし、年を重ねるに連れ記憶が美しく上書きされていることはあると思うのだが、それでも「1964年」という言葉に惹かれるところはある。
さて、この物語、そんな東京オリンピック前後の時期に、涼子という女性と何らかの関りを持った7人の話で章立て(それらを涼子メイ -
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タイトル通り、城を舞台にした事件の話五編。
「幻術の一夜城」黒田研二(墨俣城)
秀吉が一夜で築いたとされる墨俣城の謎を解く家康。さらに彼はそこに一瞬で天守を造りだすと言う。
秀吉の一夜城の謎は何となく聞いたことのある内容だったが、家康の幻術はさて? ここまで上手く行くのか疑問ではあるが、天下を取る者はこういうことも味方に付けるということか。
「小谷の火影」岡田秀文(小谷城)
信長が今にも攻めて来ようとする浅井長政の小谷城で、牢に閉じ込めた筈の曲者が脱出し、そこから連想して事件が起こる。
こんなお市の方は見たくない! というお市の方ファンの悲鳴が聞こえそう。お市の方は悲劇の女性かはたまた… -
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少年イヒカは禁じられた深山へと入り、霧に迷ったところを深山に住む女に助けられる。
その女によって閉じ込められている少年のおかげで、女の元を逃れたイヒカは少年を助けることを約束する。
しかし、その「約束」によって、二人は数奇な運命に呑みこまれてゆく…。
五篇の連作短編集。
第一話は少年イヒカの話、第二話は深山に逃げ込んだフツとイオエの話、第三話はイヒカと同じ村に住むオシヲの少年時代の話…という風に、章ごとに時系列も主人公もバラバラです。
そのため、どのお話も「深山」と呼ばれる架空の山が舞台のお話となっているのですが、最後の短編までお話の着地点が全く見えず、読むのに時間がかかりました。
お話 -
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ネタバレ心に食い込んでくる源氏物語の力、というものを、思い知らされました。本を読むのは好きなほうですので共感できなくもないですが、残そうという強い気持ちを掻き立てられる作品なければ、こうして伝えられて来たかどうか。
それが現代でも、スピンオフ作品と言える物語を生み出す、すごいと思います。なにせ千年ですからね。
と言いつつ、単純にそれだけではないとも思います。忘れたくないのは、今、ここにいる人間に、前作に続けて「購入」させて「読ませる」ているのは、疑いなく作者の力なのだということ。それも意識していたいし、物語を作ってくれた存在には、感謝をしたいものです。それが千年前のひとでも、現代のひとでも。