森谷明子のレビュー一覧

  • 望月のあと 覚書源氏物語『若菜』

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    寛弘年間~寛仁年間、11世紀前半は日本史上、政界の動きの目まぐるしい頃だ。
    この時期を舞台に、『源氏物語』の「玉葛」~「真木柱」(玉葛十帖)と「若菜」の謎が取り上げられている。時代背景が生かされ、政界――とくに藤原道長の動向が、本書のストーリーにも大きく関わる。本作では、同シリーズの過去2作以上に、道長の視点による語りが多く、歴史小説としても楽しめ、さらに『源氏物語』が内包するテーマが重ねられ、日本史好きとしては、十分な読みごたえを感じた。というか、本作に限っては、ミステリーではなく、完全に歴史小説として読み、謎に対しては、あまり意識しなかった。
    また、本書で扱っているのが「若菜」であることに

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    2025年10月14日
  • 春や春

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    俳句甲子園の女子高生の奮闘を記述したフィクション。ストーリーも良いんですが、中に出てくる俳句が私は好きです。具体的なものは、作品を読みつつ、自分のお好みを探すのも楽しいと思います。
    森谷明子さんという作家さんを、見つけることができたのは、個人的には嬉しい。他作品も、読んでみたい。

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    2025年08月28日
  • 千年の黙 異本源氏物語

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    去年のうちに読んでおけば良かった本、その2。

    帝に愛猫がいたことも、源氏物語の失われた1帖があるという説も、ミステリーのための創作ではなく、史料に残っている。そんな歴史上のトピックを取り込み、謎に仕立て、当時の貴族社会の情勢も押さえつつ、しかもストーリーに無理がない。
    歴史小説であり、ミステリー小説。融合ぶりがうまい!

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    2025年04月13日
  • 南風(みなみ)吹く

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    「春や春」と同じ季節の、別の高校生の俳句甲子園を描いた物語。前作よりも、登場人物のそれぞれの事情に踏み込んだストーリー展開になっていて、俳句以外の部分での青春小説としても楽しかった。

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    2025年03月31日
  • 星合う夜の失せもの探し

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    大刀自さんの謎の箱の話、良かったな…
    つい下衆な勘ぐりをしてしまいそうになるけど、そうじゃないよっていう。趣味って大事だよなと思ってしまう。それを縁に生きていく。

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    2025年03月04日
  • 春や春

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    俳句甲子園への出場に向けて、俳句同好会を立ち上げた茜とトーコ。音にこだわる子や書道に精通した子、言葉へのこだわりが強い文学少女など、俳句初心者が集まって十七音にとことん向き合う姿が素敵。
    各章の語り手が変わりながらも、地方大会、全国大会へと進む彼女たちが成長していく姿が見える。
    俳句とは何か、俳句で競うとは何か、そもそも俳句は競い合うものなのか、立場によって見え方が違ってくるのも新鮮だった。
    俳句を知らない人もきっと楽しめる一冊。

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    2025年02月16日
  • 白の祝宴 逸文紫式部日記

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    ネタバレ

    『紫式部日記』の作者は紫式部ではなかった、という大胆な仮説の基に描かれる王朝ミステリ。 書写が基本の古い時代の物語や日記は、当然だが書写されなければ次世代へ伝わらなかった。数ある草子の中からこの『日記』を伝えようと当時の人が判断した決め手はなんだったのか。『古書の来歴』という名の本があったけれど、歴史ある書物とか過去の読者たちのバトンリレーによって命脈を保ってきたのだなぁと思うと古典と呼ばれる作品群は例え自分の好みとは合わなくてもあだ疎かに扱ってはならないのだなぁと感じた。

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    2024年11月03日
  • 望月のあと 覚書源氏物語『若菜』

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    ネタバレ

    あとがきで作者自身が書いているが“筆者の書きたいのは「源氏物語メイキング」なのだ”。ということで玉鬘十帖のメイキング秘話が描かれている。これは先日読んだ荻原規子の『私の源氏物語ノート』とほぼ一致する(玉鬘系はスピンオフとして書かれたとする説)。森谷説は「源氏物語の熱心な読者から空白の期間を指摘され、その時期を埋めるための挿入話として玉鬘系が書かれた。かつ『若菜』上下が長く暗い話なので執筆に時間がかかるため煙幕としての提供された」というもの。やっぱり作家の頭の中って凄いなぁと感服。

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    2024年10月30日
  • 千年の黙 異本源氏物語

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    平安時代の謎解きにどっぷり浸かった鮎川哲也賞受賞作。紫式部がその名になる前、源氏物語を紡ぐその裏で何があったか、物語がどう伝わったか。源氏物語や紫式部を巡る謎解きも楽しく、全てわかった時には人の心や事情や立場、色んなことがこの時代にもあり深さを感じ取れる。知らないことばかりの平安時代の人々の背景も含めた物語が雅で華やかで、なのに人間臭くもあって読むのが楽しかった。失われた一帖、「かかやく日の宮」への解釈が特に素晴らしい。そしてあの時代、本はみんなで写本したことがとてつもない労力で想像するだけで舌を巻く。

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    2024年10月29日
  • 星合う夜の失せもの探し

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    cherry00さんの感想を読んで気になって手に取った1冊。
    聖樹
    起きた問題に対し、相手にこんな風に思われるんじゃないかという恐れを乗り越えて一歩踏み出す勇気に胸打たれた。
    あぁ、私はこんな風に何かを乗り越えようとするパワーに惹かれるんだなぁとしみじみ。
    ・・・
    星合
    想いは時を越えて伝わる、という表現が思い浮かんだ。
    世の中、嫁姑問題勃発な話題を見聞きすることの方が多いけれど、深い愛情を感じ、包まれるような関係を深めていけるものがあったりもするんぁなぁとジーンとした。

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    2024年08月24日
  • 千年の黙 異本源氏物語

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    あの紫式部が安楽椅子探偵!
    3章の時間の流れも良い。
    もちろん源氏物語のあの巻とあの巻の謎への解釈が良い。

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    2024年03月02日
  • エール!(3)

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    ネタバレ

    お仕事小説のアンソロジー。
    美術品輸送展示スタッフ、災害救急センター通信員、ベビーシッター、農業、イベント会社契約社員、新幹線清掃スタッフの6つの職業を6人の作家が描く。
    はじめましての作家さんが4人、ていうか原田マハさんと伊坂幸太郎さんしか知らない。農業の吉永南央さんの切り口はおもしろく、救急情報センターの日明恩さんのはこれからキュンキュンしてゆきそうかなと。
    伊坂さんはいつもとちょっと違い、作者知らずに読んだら伊坂さんと思わなかったかな、仙台出てこないし。

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    2024年01月21日
  • エール!(3)

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    憧れて手に入れた仕事にも嫌な事はある。
    こんな仕事辞めてやる!という仕事の中に、
    笑顔になる一瞬がある。
    生活の為に働くのだから割り切る、
    という考えもある意味正解だと思うし、
    この仕事が天職だと思っていたのに、
    向いてないって挫折する事も多分ある。

    大変そうだね、と言われる仕事に、
    笑顔で楽しげに関わる人もいる一方で、
    誰もが羨む職業に就いているのに、
    人知れず悩んで塞いでいる人も多分いる。

    早期退職に憧れた時期もあったけど、
    社会の片方にしかいられない人生が楽しいのか、
    自信がなくなってきた。
    助け合って社会を作って生きていく上では、
    誰もが自分の役割を「ちゃんと」する事が、
    大事なの

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    2023年11月26日
  • 星合う夜の失せもの探し

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    とても心地よく読める謎解き小説でした。

    本書を読んで知ったのですが、シリーズ物の番外編でした。
    内容としては、シリーズ物を読まなくてもすぐに世界観に浸ることができました。
    前作の2作ともとても読みたくなりました。
    とにかく沢山の積読本が読み終わったら読んでみます。

    本当に心優しくて心地の良い小説でした。

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    2023年09月28日
  • 望月のあと 覚書源氏物語『若菜』

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    序・破・急の間に玉鬘十帖と若菜 下が入って5章立て。
    『序』を読んだとき、今までのシリーズを通して、一番好きだと思った。

    というのも、どろどろした権力闘争や、それに否応なく巻き込まれて辛く淋しい思いをする女性や子どもが出てこないから。

    道長が庇護している瑠璃姫は、ほとんど人前に出ることもなく、道長すら顔を見ることもできないくらい内気で体が弱い。
    高貴な生まれの瑠璃姫を大切に大切に扱う道長だが、彼の言動にはちょいちょい女子どもや身分の低いものを見下したものが垣間見えるのがイラっとするのだけど、本人は気づいていない。

    「女はのんきでいいよなー」なんて世の中の苦労をひとりで背負って立っている気

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    2023年09月26日
  • 花野に眠る

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    全ての登場人物を丁寧に扱っているのが
    好感が持てる。

    時代のせいで苦しんできた人って、
    私達が思う以上に多いんだろうなあ。

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    2023年07月22日
  • れんげ野原のまんなかで

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    前の学校でお勧めされたのに、
    読まなかったのか、
    途中でやめてしまったの。

    可愛い表紙に反して、
    なかなかシリアスなネタを扱ってる。
    世の中、簡単じゃないよねと
    思わず考えさせられる短編集だった。

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    2023年07月17日
  • 春や春

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    俳句に興味のある私。この本は一年くらい前から読みたかったけど、なかなか読めなかった。
    良かった。青春を感じられる作品だった。
    俳句初心者だったメンバーが、個性を武器にして成長している姿が眩しい。
    富士先生が言っていた俳句の「ずるさ」に、「なるほどな」と思った。十七音の世界。やっぱりいい。

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    2023年06月04日
  • 春や春

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     草木が芽吹く弥生です。センバツ甲子園も近付きましたが、本書は野球の話ではありません。目指すは甲子園! それも「俳句」の! その内容と展開が面白く、ぐーっと引き込まれる物語でした。言葉の豊かさ、俳句の奥深さ、言葉でつながる素晴らしさなどが、見事に描かれています。

     主役はチームを組む女子高生です。俳句は青春の情熱を燃やすに値するのか? と疑問視するそこのあなた! 地味でシンプル、年寄りくさい等の「俳句」のイメージが、きっと変わることと思います。
     何よりも、創作俳句十七音の言葉の選び方と表現の工夫は、単純な様で実に多彩・多様であり、ほんの一字で情景がガラリと変わります。

     俳句甲子園(全国

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    2023年03月01日
  • エール!(3)

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    世の中には色々な仕事があるんだなぁと改めて思う。
    救急センターの電話は、読んでるだけで手に汗握りました。
    農業のゑいさんが、かっこよくて素敵でした☆こんなおばあちゃんになりたい(笑)
    あと、スプーンひとさじの砂糖、というメリー・ポピンズの歌の中の言葉が心に残りました。

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    2022年10月15日