【感想・ネタバレ】白の祝宴 逸文紫式部日記のレビュー

あらすじ

時は平安。都の人々の注目を集めているひとりの女性がいた――その名は紫式部。かの『源氏物語』の著者だ。式部には、あまり知られていない顔がある。彼女は都の謎を鮮やかに解き明かす名探偵でもあったのだ。折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産し、白一色で飾られ沸き立つ土御門邸。しかし、そのきらびやかな祝宴のさなか、都を騒がせている怪盗が逃げこんだとの報が入る。彰子にこわれて出仕していた式部は、『紫式部日記』編纂のかたわら、推理をめぐらせるのだが……。怪盗の行方は? そして書物にこめた式部の思いとは? 第13回鮎川哲也賞受賞作家が描く王朝推理絵巻、第2弾。/解説=細谷正充

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ネタバレ

『紫式部日記』の作者は紫式部ではなかった、という大胆な仮説の基に描かれる王朝ミステリ。 書写が基本の古い時代の物語や日記は、当然だが書写されなければ次世代へ伝わらなかった。数ある草子の中からこの『日記』を伝えようと当時の人が判断した決め手はなんだったのか。『古書の来歴』という名の本があったけれど、歴史ある書物とか過去の読者たちのバトンリレーによって命脈を保ってきたのだなぁと思うと古典と呼ばれる作品群は例え自分の好みとは合わなくてもあだ疎かに扱ってはならないのだなぁと感じた。

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2024年11月03日

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探偵・紫式部第二弾。こちらは紫式部日記のでき方をベースにした物語。

物語の本筋の推理もおもしろいけど、
紫式部の周辺を取り巻く部分もびっくり。
綺麗に張られた伏線が見事に回収されててすっきりした。

そしてやっぱり道長は憎らしい。

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2016年03月10日

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ネタバレ

 心に食い込んでくる源氏物語の力、というものを、思い知らされました。本を読むのは好きなほうですので共感できなくもないですが、残そうという強い気持ちを掻き立てられる作品なければ、こうして伝えられて来たかどうか。
 それが現代でも、スピンオフ作品と言える物語を生み出す、すごいと思います。なにせ千年ですからね。
 と言いつつ、単純にそれだけではないとも思います。忘れたくないのは、今、ここにいる人間に、前作に続けて「購入」させて「読ませる」ているのは、疑いなく作者の力なのだということ。それも意識していたいし、物語を作ってくれた存在には、感謝をしたいものです。それが千年前のひとでも、現代のひとでも。
 

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2018年10月18日

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ネタバレ

最近の「探偵もの」は予想も付かない人物を探偵に据える。
この本を手に取るまで、まさか紫式部が探偵役になるとは思ってもいなかった。
そもそも私は、(非常にどうでもいい話ではあるが)紫式部という人物を好ましく思っていなかった。清少納言のほうが好きだし、和泉式部も紫式部よりは好きだ。なんとなく「一の字も書けない振りをするいけ好かない女」というイメージが先行してしまう。和歌でも、機転の利く清少納言や感情を揺り動かすような和泉式部、そして品があり優雅な赤染衛門のほうがいい。もちろんこの3人も登場する。

式部の君(紫式部)は道長の娘彰子の女房の一人として宮仕えをすることになる。時期としては清少納言の仕えた定子は亡くなっており、彰子がまさに帝の子を出産するというころ。女房たちの様子を日記として纏め上げる役を式部の君は与えられる。源氏物語も世に出ており、文才を買われてのことだった。そんな中、都に盗賊が現れる。その盗賊は、式部の君のいる邸宅に忍び込んだ。しかし彰子の出産のため、人が多く出入りし宴が催されるなか誰にも見られずに姿を消したらしい。道長からの依頼もあり、この謎を追いかけるが…。

平安貴族って面倒くさいんだな、と思えるような回りくどい話し方。さりげなく何気なく引き出した言葉から真実を突き止めていくというのはかなり新鮮だった。
しかし時代設定もあるが、かなりグレーな落としどころになっている。ほんのりもやもや。

赤染衛門はとても嫌な女性だったが、和泉式部や清少納言の描き方は好ましかった。意外と紫式部と仲良くしているので「あれ、紫式部日記と書いてること違う」と思ったら、そうかなるほど、というオチがあった。この発想は単純にすごい。女房たちそれぞれの日記を繋げて「紫式部日記」となっているのね…。なるほどでした。

でもミステリーとしては個人的にはもうひとつかなあ。
天上人の雅やかな世界は九州の雑な人間からしたらまどろっこしいや…。

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2016年05月27日

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