野尻抱介のレビュー一覧
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2006年、水星から出現した物質により、太陽にリングが形成された。このリングにより、日照量が激減し人類は絶滅の危機に瀕する。主人公 白石亜紀は、異星文明へのあこがれと人類救済のため宇宙艦に乗り、リングの破壊ミッションに挑む。
太陽の簒奪者(さんだつしゃ)は2002年4月に刊行されたハードSF小説です。刊行は20年以上前なのですが、そのプロットのため非常に興味深く読めました。近年、話題になっているSF作品のアレ※1とアレ※2にそっくりじゃーんとなります。分量もちょうどよく、非常に楽しめます。
まず「なぜリングが作られたのか?」というホワイ・ダニットが楽しめます。そして徐々に「なぜ」が解決され -
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ネタバレボーカロイドという非現実的ながら実在するガジェットにより「初音ミク的存在が現実にいる」という空想の世界観が、現実に近いように錯覚してしまう。ある意味、現実に絶望してしまう作品。
高次知性体との邂逅の周辺にちりばめられた恋愛エピソードは、有川浩「空の中」と似た感覚を味わった。自動化され増殖する工場、宇宙への風に乗る恋人達、特殊な環境下でのクモが生み出す予想外の構造物、潜水艦を使った鯨との追跡コミュニケーション研究、一つ一つにボーカロイド「小隅レイ」のイメージが生かされ、「あーやきゅあ」に行き着く世界は、出来すぎなくらいのユートピアである。
~再読~
「外見の同一性保持」は疑心暗鬼を生まない -
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もう、この手の本は圧倒的に好き。
幼少のころから本好きではあったが、社会人の一時期は読書の習慣から離れていた。その後、ポツポツと復活したときに手にした一冊が、野尻さんの「沈黙のフライバイ」。「なんて面白い短編集なんだ!!」と感動して、親や友人に貸してみたが、そこまでの反響は得られず。しばらくして、「自分はSFというジャンルが人よりかなり好きなんだ(思い返せばガンダムとかも超好きだし)。」と自覚するに至る。
前置きが長くなったが、そんなSFとの出会いの一冊をプレゼントしてくれた野尻さんの代表作。いつか読みたいと思いながらはや15年ぐらい?ついに手を取ったが、やっぱり面白かった。
テンポよく進むス -
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3巻読了
この巻からアニメとは関係なく進む話。
今から20年以上前のストーリーとは言え、中々に秀逸。
ある程度、トンデモ話が組み込まれてるのは仕方無いとして、
SF物としては夢のある内容で面白い。
さて、次巻が最終巻。
タイトルは「ロケットガール」で、大きなフォントが使われてるのはサブタイトルですので。 -
購入済み
2巻読了
とりあえず、ここまでがアニメ化された内容。
サブタイトルをメインで出してるので解り難いけど、本作がシリーズ第2巻。
紛らわしい事をしてると云うか、作品のタイトルすら見てもいなければ分類もまともに出来ないのがBookLiveの悪いとこ。
作品が良くても、これでは作者にも読者にも失礼でしかない。 -
購入済み
ほほぅ
原作版は原作版で面白い。
先にロシアのソユーズが出て来ると思わなかったけど、
それはそれで在りだとも思った。
書かれた時代が時代だけに仕方無いけど。 -
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ネタバレ西暦2006年、太陽面を通過する水星から謎の細長い物体が突き出ているのが観測される。それは、未知の知性体(?)が水星上に構築したマスドライバーから吹き上げる巨大な噴泉だった。水星を原材料に宇宙空間に吹き上げられた物質はやがて太陽の周囲を取り囲む巨大なリングを形成し、地球は日照量が激減したために文明崩壊の危機に陥る。
2006年の水星太陽面通過を正に観測していた天文学好きの女子高生・白石亜紀は、リング研究の第一人者として成長し、国連宇宙防衛軍が建造した宇宙船のクルーの一員としてリング破壊計画に参加することになる。しかし、亜紀が真に望んでいるのは、リングを建造した未知の存在とのコンタクトだった。地 -
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これぞ本当のSFという気がした。
伊藤計劃さんのような淡々とした作風も好き。
この中で一番好きなのが「轍の先にあるもの」。
フィリップ・K・ディックの「シビュラの目」に近い作品。
主人公にとっては偶然見つけた轍のようなものが一生を決めたといっても過言ではないと思った。
彼が作家として活躍しても、轍のようなものに対する情熱は衰えず、彼にとっては人生と轍のようなものはイコールで結んでもいいようなものなのではないのか。
私にとってはそれが本に当たるのか?
「自然は容易に正体を明かさないし、回答は新たな問いを添えるものだ。この峠を越せば、きっと新たな峠が現れる。あの小さな轍の先にあるもの――それは無