野尻抱介のレビュー一覧
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購入済み
ハードSF的描写は良いけど・・
中篇の「魔法使いとランデヴー」は良いが、あとの短編は駄作。
特に「クリスマス・ミッション」での、世間知らずの16歳の小娘が恵まれない子供に浅薄な説教をする件にはげんなりさせられる。野尻の作品にはたまにこういう救いようのない描写が見られるが、理科系人間の人間的な薄っぺらさゆえだろうか。
それにしても、マツリと茜はともかくゆかりは何も分かってないくせに下手に歳を重ねたゆえに自信過剰でクソ生意気な三十路女に思えるのは私だけだろうか。これで16歳はありえないね。 -
Posted by ブクログ
表紙とタイトルに騙されるのが気持ちいい、本格ハードSF系ライトノベル。堪能しました。
ただ、せっかく魅力的なテクノロジーなのだから、社会がどう変わるかと言うような本格的なエクストラボレーションを期待してしまった。ちょっと残念。あとがきを読むとある作品の展開を意識したということなので仕方ないのかもしれないけど。実際には単分子膜に近い薄膜で真空を保持するのは難しいだろうな。結晶構造の隙間を通り抜ける気体分子がいるはず。
あと、アンディ・ウイアー「火星の人」読んだ後だと、やっぱり「夾雑物」問題を意識しちゃう。そこが良い、という向きもあるはずとは思うんですけど。 -
Posted by ブクログ
この作者の作品はかの名作、太陽の簒奪者しか読んだことがなく、本作も表紙のライトノベル感がどうにも抵抗があったため、読むかどうか悩んでいたが、読んでみると十分にSFであり、まあ肩の力を抜きながら楽しむことができた。話としては楽して生きることを目的としておきながら、自らが偶然作った世界を変える新素材のあり方に、自らが振り回されながらも、自ら名付けたふわふわという世界観で切り開いていく話であり、話の展開が早すぎることと、多くのSF的なガジェットと用語についていければ、十分に楽しめる。ただし、新素材だけでも十分に話が広がっているのに、更にファーストコンタクトまで話を広げ、どうやって話を収斂させるのかと
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Posted by ブクログ
ネタバレ・沈黙のフライバイ
エイリアンは人間の価値観では計れない。「私たち」ならそうするからと、求めるアクションを引き出すための要因が求めたリアクションを引き起こすとは限らない。
印象に残ったのはこの言葉。
「もしかして地球人って、銀河有数のおしゃべりなのかなあ」───pg.49
・轍の先にあるもの
ある探査機のボーナスミッションで得られた小惑星エロスの写真によって、ある作家がこの惑星の虜となる話。
ここに映っているのは小さな部屋ほどの世界なのだ。───pg.58
という一文に感動する。その小さな写真から様々な事実や謎が見出される。
・片道切符
爆破犯は宇宙飛行士だろと思ってたらやっぱりの展開