石戸諭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
十人十色の「孤独論」とあるが、実際に20人近くの知識人、著名人による寄稿の寄せ集めなので、ダイジェストとしての読み応えはあるが、全てが皮層的で浅い。なんだか格言や至言を探し出したり、その言葉の周辺を少しだけ肉付けしたような文章。それでも思考のきっかけを得たり、脳内に連鎖して考えさせられるのだから、読書は面白い。複数人分を読んで、余韻で考えるのが、私自身のオリジナルな「孤独論」というわけだ。
人は、社会的分業をしているために完全な自給自足にはなり得ない。また、直接会話をする相手がいなくても、本や看板など、目に入る日本語は、その集団に帰属している証拠。ゆえに言葉が分からぬ海外での孤独感は一層強ま -
Posted by ブクログ
前半ではタイトル通り百田尚樹の現象について、インタビューも交えて書かれる。これは良いのですが、後半では90年代のつくる会についての記述がほとんどで、この本を手に取る人はだいたい知ってるのではないかとも思いました。
とはいえ結論としては、つくる会の活動と百田尚樹は地続きのように見えて明らかな切断がある、という内容なので、現象の違いを浮き彫りにするためには必要な記述だったのだろうと思います。
つくる会自体も当時は冷ややかに見られがちでしたが、そこからさらに劣化したかのように思われている百田尚樹的なものが、どうしてそのような印象を持たれてしまうかについては、わかりやすくまとまっていると思います。 -
Posted by ブクログ
SNSは種全体に情報発信する事で、本能として備わっている、物語を紡ぐ欲求。例えば、秘密話を共有したいとソワソワするような欲求を満たしてくれる。そうした人間本能に根差した新たな仕組みを見れば、本著で書かれる「巨大なデジタルプラットフォーム」を基盤にした「市民メディア」の実現はあり得たかもしれない。しかし、著者が言うように、その実現可能性は低い。
本題にされる「良いニュース」に対して、これら市民メディアのクオリティが落第点だという原因が確かに大きい。プロフェッショナルである著者が記載するニュースの基本型である三点。速報、分析、物語。仕事としての取材と原稿。とりわけ、市民とプロのクオリティの差は、