石戸諭のレビュー一覧

  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    日々の生活の中で目に入るとモヤっとする芸能や宗教や政治に関わる人物や事柄について、極論に争うと言うスタンスの通り、どちらかの意見に賛成したり反対したりする事なく、それらの背景を説明してくれています。

    本書でもたびたび出てくる『悪名は無名に勝る』がごとく、自分たちは絶対善で相手は絶対悪と考える人々、極端な言説を唱える人々、分断を煽る人々はまさに否が応でも目に入ってきますが、彼らが発する問いが、我々と同じ問いだからと言って答えが正しいとは限らないですし、また分からないからと言って不安に思って過剰に反応してもどうにもなりません。

    本書のような物事に対して一歩引いた視点を与えてくれる本はやはり貴重

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    2025年03月26日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    オビの各氏と旧統一教会を題材に、単純な善悪二元論やポピュリズムに切り込んでいく本書は、予想に反し骨太な内容でした。
    タイトルに「嫌われ者」とあるので、批判や悪口ばかりなのかと思いきや、現在の社会にはびこる違和感が冷静に分析されており、ノンフィクションとしてなかなか読み応えあり。
    登場人物に興味のある方には一読をオススメします。

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    2025年02月25日
  • 視えない線を歩く

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    ネタバレ

    著者の作品はこれ以前に『ルポ百田尚樹現象』だけ読んでいたが、ニューズウィークの連載やラジオなどで、見つければ読んだり聴いたりしていた。今回も、著者アラートで出てきたので、先入観なしに、一見、タイトルだけでは、何をテーマにしているのかわからない本作品を手に取った。
    読み進めると、東日本大震災と福島第一原発事故から10年経た現在を、コロナ禍における社会を通して書かれたルポルタージュであった。津波被害の当事者として、このテーマとわかった瞬間、復興美談やジャーナリストによる身勝手な総括だったら読むのを止めようと思ったのだが、そんな懸念は杞憂だった。

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    2022年05月31日
  • ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~

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    本人とその周辺の人へのインタビューならびに来歴、作品を通して百田尚樹がなぜここまで支持されるのかに迫るだけでなく、中盤以降の「つくる会」の章で自分の知らない90年以降の右派論壇の概略も追えてめっちゃおもしろいし超参考になった。あとこれ読んでTwitterの「右でも左でもない普通の日本人」と書く人が少し見えてきて、要は中国と韓国に懐疑を抱く人、反中・反韓感情を持つ人が今の"普通(マジョリティ)の日本人"で、そしてそれは必ずしも与党支持や保守と結びつくわけでないってことが言語化できるレベルではおれはわかってなかった。

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    2022年01月08日
  • ニュースの未来

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    今年の6月22日に旭川医大の学長解任問題を取材していた北海道新聞の入社3か月の新人記者が建物侵入の疑いで逮捕された事件がありました。当の新聞社が早々に実名を公表した割に社内指示系統については不明なところもあり、いま新聞記者であることの辛さを示す事件だったと感じています。(三ケ月経って、いまどうなっているか…)そもそもすべての情報がネット上ではタダ、と思われている(?)時代に取材のコストとリスクを誰が持つのか?取材の主体である記者の育成を誰が担うのか?というのは大きな社会的テーマだと思っていたので、新刊広告で本書の題名に誘われるようにすぐ購入しました。ただ書名が「ニュースの未来」じゃなくて「ジャ

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    2021年09月26日
  • ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~

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    ネタバレ

    あやしい表紙ですが、内容はしっかりしていました。
    百田尚樹を知ったのは、岩手県盛岡市のさわや書店が、当時ほとんど注目されていなかった『永遠のゼロ』という小説を約10,000冊も売ったというニュースだった。読んでみたものの、印象に残るような作品ではなかったため、その後も特に読むことはなかったのですが、時折、Twitterでの排外的、差別的な発言が話題になっていたりしていて気にはなっていました。
    そんな中で手に取った本書は、百田本人も含め、問題になった『日本国紀』を出版した幻冬舎の見城徹にもインタビューを行うなど、著者が丁寧に取材を重ねており、”百田尚樹現象”なるものを通して見えてくる現代社会の姿

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    2021年01月13日
  • ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~

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    右派も左派も結局はどこかの火付け役から乗じる政治マーケティングに踊らされているんだなあとしみじみ。

    百田尚樹に対するイメージをクロス分析させてみたら面白いんだろうな、と、この本読んで感じた。
    にしても「百田尚樹現象」って秀逸な名前だなあ。「菅現象」これからあったりして。笑 
    (もうパンケーキ事件ではじまってるかも!?)

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    2020年10月06日
  • リスクと生きる、死者と生きる

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     BuzzFeed Japanの記者の石戸愉さんによる震災に関するインタビュー記事を集めて本の出版向けに編み直したもの。
     1つ1つの記事が本当に素晴らしく、心を撃たれ、大切に、大切に読み進めた。BuzzFeedにこんな骨太で読み応えのある秀逸な記事が掲載されているとは知らなかった。正直BuzzFeedさんのサイトは奇をてらったわかりやすいおもしろ写真が多くて、薄っぺらそうな印象を受ける。こういういい記事をたとえ硬派すぎてアクセス数を稼げなくても、前面に押し出してもらえないと(私が見落としているだけ?)BuzzFeedが何をやりたいのか読者としては分からない。本が出されたことでこういういい記者

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    2017年09月30日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    月刊総合誌的な記事のスタイルはこういうものかと意識させられたというか、単にスキャンダラスな切り口ではなく批評的な視点も含ませながら対象を取り上げる手腕としては、一定程度の信が置けるものだという印象。議論の対象自体は浅く見図ろうとも深く掘り下げようとも興味深いものが多い。

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    2025年08月20日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    取り上げられていた人物は玉川徹、西野亮廣、ガーシー、吉村洋文、山本太郎の5人と旧統一教会だったが、テレビをほとんど見ないので吉村と山本以外の人物については基礎知識がなくあまり理解できなかった.特に楽しめたのは山本太郎を左派ポピュリストとして評価している点だ.選挙の裏話も面白かったが、最後に参政党の神谷が出てきたのには驚いた.この著作が2024年の夏発刊なので、一年後の神谷の状況を先取りしている感じだ.

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    2025年08月11日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    ネタバレ

    人それぞれの孤独

    17名の著者による孤独論。
    特に興味を惹かれたもの↓

    中条省平(フランス文学者)/孤独と追放――アルベール・カミュ最後の10年
    『異邦人』『ペスト』の作家という程度でしかカミュを知らなかったので…作家にここまでの重圧というのは現代では存在しないのではないかな

    奥本大三郎(フランス文学者)/永井荷風――独身者の悦びと不安
    気ままな一人暮らしが印象的でした。

    新元良一(作家)/ソロー『森の生活』が語りかける声
    この孤独、場所だけなら我が家の近所でも実践できそう。僻地じゃなかったんですね。

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    2025年04月29日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    テレビマン、カリスマ、ポピュリスト、カルト宗教
    共通するのは大衆を相手にするということだ
    そして「嫌われ者」は、成功者であることの裏返しでもあり、彼らを通して世の中を見ると、大衆に蔓延る幼稚性が見えてくるんだな
    面白かった

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    2025年04月05日
  • リスクと生きる、死者と生きる

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    歴史を風化させないために遺構を残すことの重要性。人の記憶は風化する。原爆ドームを残したからこそ平和記念公園は平和の象徴になった。原爆ドームを中心に公園を設計した丹下健三の先見性。

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    2025年03月09日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    ■前説
    本書に登場するのは… コメンテーター 玉川享・絵本作家 西野亮廣・暴露系YouTuber ガーシー・府知事&党首 吉村洋文・党首 山本太郎。

    共通するのは一部の熱狂的シンパと、激しくこき下ろすアンチが共存。熱狂を喚起させる一方で、炎上の的にもなる毀誉褒貶が付きまとう人たち。

    ここには登場しないが、橋下徹・石丸伸二・立花孝志・泉房穂・堀江貴文・西村博之・百田尚樹…らも同じ匂いを放つ。所謂『エッジの立った人』たちが有象無象する令和の言論界。

    本書は『はたして彼らはトリックスターなのか?』『嫌われているその要因は?』、その本質に辿るべく著者は本人とその周辺取材を徹底敢行。

    ■内容

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    2025年03月02日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    あまり期待していなかったが、意外と面白い読み物であった。
    結果的に何を生むわけでもない、ショーの主役(のようにみえるが道化にすぎないのかもしれない)とでもいうべき嫌われ者、筆者はポピュリストと表現する彼らを通じて、これまた、何を生むわけでもない、自らを絶対善、他者を絶対悪とする、単純化した大衆が見えてくるように思えた。これから世の中はどうなっていくのか。
    極論を唱えるものが現れても、冷静さと思慮深さを失わないようにしたい、というあとがきのメッセージがありました。このことを、僕自身失わないようにしたい、と感じました。

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    2025年01月15日
  • 「嫌われ者」の正体―日本のトリックスター―(新潮新書)

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    東京ルポルタージュ以来の石戸さん。
    PIVOTの動画から興味を持って読破。
    あとがきにもあった通り思慮深くいることの大切さを感じさせてくれる一冊。
    思慮深く情報と向き合えるようになりたい。

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    2024年12月04日
  • ニュースの未来

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    【before】この本を読む前の私は、これらを知りませんでした。
    ・「例えば、象が空を飛んでいると言っても人は信じてくれない。しかし、4257頭の像が空を飛んでいると言えば、信じてもらえるかもしれない」ガルシア・マルケス
    ↑ニュースの本質を見事に表現している。
    ・ニュースとフェイクニュースは正反対なのに、全く同じ手法でリアリティを獲得。
    ・「分析」は起きたことを意味づけるニュース。いきなり発生したことだけ報じられても、その意味が分からない事はたくさんある。
    ・ニュース=サンスクリット語に起源「人間が思考するために必要な糧」の意。
    ・いいニュースには【謎・驚き・批評・個性・思考】がある。
    ・謎を

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    2023年10月18日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    感想
    どれだけの才を持ち合わせても、どれだけの美貌を手に入れても。孤独は人間に付きまとう。耐えるという態度を捨てた楽しむという付き合い方。

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    2023年04月26日
  • ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~

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    サブタイトルに愛国ポピュリズムの現在地とあった事から、左派的偏りが有るかと思ったが、百田尚樹=ネトウヨ的な短絡的な思考ではなく、ブームとも呼べる現状を本人へのインタビューを皮切りに、多くの人に取材し分析を重ねている。

    2019年現在を第一章、そして保守層のうねりの原点となった1996年を第二章として構成している。第一章では本人、第二章では当時戦争論を著し脚光を浴びた小林よしのりさんに焦点を当て、そこから発展していった新しい教科書を作る会、それを作った当時の ムーブメントを検証分析している。

    特徴的なのは左右問わず、直接インタビューを試みて、分析をしていることである。実地主義とでも言えるだろ

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    2023年04月16日
  • 東京ルポルタージュ 疫病とオリンピックの街で

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     オリンピックまでの文章に読みでがあった。
     オリンピックについては、何か人間の姿が感じにくかった。
     でも、人が生きる姿を描いた優れたコラムを、いくつかよめたことには感謝。

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    2022年09月22日