石戸諭のレビュー一覧
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日々の生活の中で目に入るとモヤっとする芸能や宗教や政治に関わる人物や事柄について、極論に争うと言うスタンスの通り、どちらかの意見に賛成したり反対したりする事なく、それらの背景を説明してくれています。
本書でもたびたび出てくる『悪名は無名に勝る』がごとく、自分たちは絶対善で相手は絶対悪と考える人々、極端な言説を唱える人々、分断を煽る人々はまさに否が応でも目に入ってきますが、彼らが発する問いが、我々と同じ問いだからと言って答えが正しいとは限らないですし、また分からないからと言って不安に思って過剰に反応してもどうにもなりません。
本書のような物事に対して一歩引いた視点を与えてくれる本はやはり貴重 -
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ネタバレ著者の作品はこれ以前に『ルポ百田尚樹現象』だけ読んでいたが、ニューズウィークの連載やラジオなどで、見つければ読んだり聴いたりしていた。今回も、著者アラートで出てきたので、先入観なしに、一見、タイトルだけでは、何をテーマにしているのかわからない本作品を手に取った。
読み進めると、東日本大震災と福島第一原発事故から10年経た現在を、コロナ禍における社会を通して書かれたルポルタージュであった。津波被害の当事者として、このテーマとわかった瞬間、復興美談やジャーナリストによる身勝手な総括だったら読むのを止めようと思ったのだが、そんな懸念は杞憂だった。 -
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今年の6月22日に旭川医大の学長解任問題を取材していた北海道新聞の入社3か月の新人記者が建物侵入の疑いで逮捕された事件がありました。当の新聞社が早々に実名を公表した割に社内指示系統については不明なところもあり、いま新聞記者であることの辛さを示す事件だったと感じています。(三ケ月経って、いまどうなっているか…)そもそもすべての情報がネット上ではタダ、と思われている(?)時代に取材のコストとリスクを誰が持つのか?取材の主体である記者の育成を誰が担うのか?というのは大きな社会的テーマだと思っていたので、新刊広告で本書の題名に誘われるようにすぐ購入しました。ただ書名が「ニュースの未来」じゃなくて「ジャ
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ネタバレあやしい表紙ですが、内容はしっかりしていました。
百田尚樹を知ったのは、岩手県盛岡市のさわや書店が、当時ほとんど注目されていなかった『永遠のゼロ』という小説を約10,000冊も売ったというニュースだった。読んでみたものの、印象に残るような作品ではなかったため、その後も特に読むことはなかったのですが、時折、Twitterでの排外的、差別的な発言が話題になっていたりしていて気にはなっていました。
そんな中で手に取った本書は、百田本人も含め、問題になった『日本国紀』を出版した幻冬舎の見城徹にもインタビューを行うなど、著者が丁寧に取材を重ねており、”百田尚樹現象”なるものを通して見えてくる現代社会の姿 -
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BuzzFeed Japanの記者の石戸愉さんによる震災に関するインタビュー記事を集めて本の出版向けに編み直したもの。
1つ1つの記事が本当に素晴らしく、心を撃たれ、大切に、大切に読み進めた。BuzzFeedにこんな骨太で読み応えのある秀逸な記事が掲載されているとは知らなかった。正直BuzzFeedさんのサイトは奇をてらったわかりやすいおもしろ写真が多くて、薄っぺらそうな印象を受ける。こういういい記事をたとえ硬派すぎてアクセス数を稼げなくても、前面に押し出してもらえないと(私が見落としているだけ?)BuzzFeedが何をやりたいのか読者としては分からない。本が出されたことでこういういい記者 -
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■前説
本書に登場するのは… コメンテーター 玉川享・絵本作家 西野亮廣・暴露系YouTuber ガーシー・府知事&党首 吉村洋文・党首 山本太郎。
共通するのは一部の熱狂的シンパと、激しくこき下ろすアンチが共存。熱狂を喚起させる一方で、炎上の的にもなる毀誉褒貶が付きまとう人たち。
ここには登場しないが、橋下徹・石丸伸二・立花孝志・泉房穂・堀江貴文・西村博之・百田尚樹…らも同じ匂いを放つ。所謂『エッジの立った人』たちが有象無象する令和の言論界。
本書は『はたして彼らはトリックスターなのか?』『嫌われているその要因は?』、その本質に辿るべく著者は本人とその周辺取材を徹底敢行。
■内容
展 -
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【before】この本を読む前の私は、これらを知りませんでした。
・「例えば、象が空を飛んでいると言っても人は信じてくれない。しかし、4257頭の像が空を飛んでいると言えば、信じてもらえるかもしれない」ガルシア・マルケス
↑ニュースの本質を見事に表現している。
・ニュースとフェイクニュースは正反対なのに、全く同じ手法でリアリティを獲得。
・「分析」は起きたことを意味づけるニュース。いきなり発生したことだけ報じられても、その意味が分からない事はたくさんある。
・ニュース=サンスクリット語に起源「人間が思考するために必要な糧」の意。
・いいニュースには【謎・驚き・批評・個性・思考】がある。
・謎を -
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サブタイトルに愛国ポピュリズムの現在地とあった事から、左派的偏りが有るかと思ったが、百田尚樹=ネトウヨ的な短絡的な思考ではなく、ブームとも呼べる現状を本人へのインタビューを皮切りに、多くの人に取材し分析を重ねている。
2019年現在を第一章、そして保守層のうねりの原点となった1996年を第二章として構成している。第一章では本人、第二章では当時戦争論を著し脚光を浴びた小林よしのりさんに焦点を当て、そこから発展していった新しい教科書を作る会、それを作った当時の ムーブメントを検証分析している。
特徴的なのは左右問わず、直接インタビューを試みて、分析をしていることである。実地主義とでも言えるだろ