石戸諭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
サブタイトルに愛国ポピュリズムの現在地とあった事から、左派的偏りが有るかと思ったが、百田尚樹=ネトウヨ的な短絡的な思考ではなく、ブームとも呼べる現状を本人へのインタビューを皮切りに、多くの人に取材し分析を重ねている。
2019年現在を第一章、そして保守層のうねりの原点となった1996年を第二章として構成している。第一章では本人、第二章では当時戦争論を著し脚光を浴びた小林よしのりさんに焦点を当て、そこから発展していった新しい教科書を作る会、それを作った当時の ムーブメントを検証分析している。
特徴的なのは左右問わず、直接インタビューを試みて、分析をしていることである。実地主義とでも言えるだろ -
Posted by ブクログ
Newsweek誌の特集からその補強的続編として読んだ。イデオロギーと情がキーワードであり、90年代のつくる会の活動との比較から現代の分断の空虚さを暴こうという試み。裏テーマとして「言葉の伝え方」に対する執筆者の思いを感じた。ネトウヨはパヨクを説得させることは出来ないし逆もまた然り。そして両者共に「普通の人々」を取り込むことが出来ない。そんな中で一際輝くのが無自覚なポピュリストたる百田尚樹という皮肉。ポピュリズムは右派も左派も正しい答えに辿り着くことはない。彼らが敵視するリベラルエリートもまた彼らを説き伏せることへ出来ない。個人的には「清貧な知性」のようなものに期待を抱くがそんなものは本当に存
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購入済み
人物ではなく現象に焦点
自分がこれまで感じてきたことが、しっかり取材した上で言語化されているようで、読んでいてとても爽快感あり。私は百田氏の本は読んでいないし、嫌悪感しか持っていない。しかしそうではない人々が彼を支えている。その「向こう側」から見たポピュリズムの分析には説得力がある。これまで考えていた「常識」は、覆されたのではなく、優先順位が入れ替わっているのだ。事実よりも感動、事実よりも「誇り」あるいは「自己肯定感」。そうした人々の求めるものに応えてきた百田氏という人物、そしてその現象を正確に理解する手がかりがここにある。
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Posted by ブクログ
つくる会を紐解くことで右派マーケットの広がりを分析しながら、探偵ナイトスクープのチーフ構成作家だった百田尚樹本人や彼を取り巻く人物へのインタビューによって、この時代の大衆と大衆が支持する百田尚樹という現象に迫っていく。
そもそも、百田尚樹もつくる会も大衆への思いを共有していた。「つくる会」側には教育界の圧倒的多数は朝日新聞・岩波書店の影響下にあり、自分たちは超がつくマイノリティーという自己認識があった。かつては左派が「攻」、文部省が「守」だったこの構図が96年に逆転していく。封じ込められていた大衆の思いを汲み取り、活動が大きくなっていく中で、数の上ではマジョリティーとなっても、マジョリティー -
Posted by ブクログ
石戸記者のことはTwitterで動向を追っていて、その契機は忘れてしまったが、おそらくはやはり震災関連の情報発信だったのだと思う。彼の精緻な取材と、震災に対するスタンスを肯定していたので、本書は買う以外の選択肢がなかった。
本書はルポルタージュではない。直接的な被災者ではない立場でありながら、震災とこの7年間実直に向き合ってきた人物が語るエッセイ、読み物であると思った方がいい。語り口は淡々としているが筋道がしっかりとしていて、静かな力強さで、彼の主張を物語る。
この本はいわばオーラル・ヒストリーに近い。被災者という言葉ではすくい取れない個別の語り、物語を紡ぐものとして、とても貴重だと思う。