羽田詩津子のレビュー一覧
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M.C.ビートンの大人気「英国ちいさな村の謎シリーズ」の第13作目。
修道院に入った元の夫が行方不明になり、意気消沈のアガサ。
これまでワトソン役としてよき相棒になってくれた男性陣とも疎遠になり、隣人のイケメン作家には軽い女に思われて、もう男にはこりごりという気分になっています。
そんなとき村の教会に新しくやってきたイケメン副牧師。
彼にディナーに誘われたアガサは女としての自信を取り戻し始めます。
しかしその彼が死体で見つかり、彼をよく思っていなかった牧師が容疑者に。
親友である牧師の妻から夫の疑いを晴らしてほしいと頼まれたアガサは、いけ好かない隣人とともに、再び素人探偵稼業に乗り出すのでした。
今回のアガサはいろいろな意味で自分に自信を失っていて、いつもよりも落ち込み気味です。
でも、誰でもそんなふうになってしまうことって、人生の中で何度かあるもの。
アガサには、自分の人生を信じてがんばってほしいですね。
物語の後半には、いつものアガサらしい大胆さがやや戻ってくるので少し安心。
ミステリとしては、アガサの直感が冴えわたるといった感じで、読者側には謎解きのヒントがあまり与えられません。
そのぶん最後までどうなるかわからないハラハラ感がありました。
実は作者のM.C.ビートンさんは、2019年末に残念ながらお亡くなりになりました。
そのため切ない気持ちになりながら読んだ本作でしたが、いつも通り大変おもしろかったです。
アガサ・レーズンを生み出してくれたビートンさん、ありがとう!
シリーズの終わりまで、アガサの物語を楽しみたいと思います!
◇おすすめポイント
・落ち込むアガサが前を向いて行く姿
・読み始めたら止まらないスピーディーな展開
・冷凍食品が中心のどこかリアリティのあるアガサの食生活
◇こんな方におすすめ!
・自立して生きていきたいと思っている女性
・ちょっと落ち込んでいる
・小さな村の生活に興味がある -
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長編「死者のあやまち」の原型となった、中編一話が収録されている。
「阿房宮」だけで憶えていた私は初め、ミス・マープルの阿房宮と混同していた。
あちらは、「グリーンショウ氏」の阿房宮。ポアロは、「ポアロとグリーンショア氏」の阿房宮。編集と訳者さんの苦労が偲ばれる。
死者のあやまち版はかなりの長編だったが、こちらはコンパクトにまとまっている。しかし登場人物も、話の筋も同じ。読後の満足感は……時間が取れないけどアガサが読みたい!となったときにはこちらに軍配が上がるか。じっくり時間をかけて一冊の本にとりかかるなら、死者のあやまちをオススメする。
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表紙から想像した内容とも期待していた内容とも違っていたけれど、歴史的科学的根拠を基に猫についてまとめられている内容は、これはこれでとても興味深い内容で、とても満足しました。
論文や参考URLなど、注釈の情報量も膨大です。
うちの子は何故あのような行動を…?と不思議に感じていた疑問に対しての答えのヒントもありました。
改めて、猫は猫であって人間ではないという現実に引き戻してくれます。
(なのに愛は冷めない、どころか益々愛しくも感じるから不思議だ)
犬がとても発達しているということも興味深かったし、未来の猫についてはとても考えさせられます。
虚勢や避妊で猫たちはどう変わっていくのか。
一度も考えたことがありませんでした。
このままいくと、人懐こい猫は絶えて、荒くれ者だけが残る事になってしまうのでしょうか。
真面目に考えるべき問題だなと感じました。
それでも答えは出ないのですが。
それはそうと、こういった歴史の歩み的なものなどを読むと、人間って…と毎回なってしまいます。 -
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勝手気ままに生きていると思われている猫。エサをくれないと飼い主には見向きもしないと思っていたら、飼い主の子供が犬にかまれているところに突進して犬を撃退した猫がアメリカで話題になっていた。その名はタラ。
謎に満ちあふれている猫について人間社会との関わりについて掘り下げていき、猫が本来持っている性格と今の時代に生きる猫の姿についても書かれている。
ハリネズミと同様おひとり様を好む。寂しいだろうと思ってもう1匹猫を飼うと大変なことになるようだ。人間との関係は早いうちから築いていかないとうまくいかないと書かれている。愛情を持って飼ってくれない人間にはゴロゴロ鳴らしてすり寄ってくるどころか見向きもされない。
この本を読むと猫もいろいろ思うところがあるなあ。 -
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今年の1月に初めて刊行されたアガサ・クリスティーの未発表作品、ということで一も二もなく購入したけれど、
よくよく説明を読むと、
既に発表されている作品の原型になったものだったらしい。
とはいえ、出版社(業界)の都合で強い思い入れのあった作品が発表できなかったという事実は在り、
また、今作を基に長編に膨らませたという「死者のあやまち」が未読だった私にとっては実に新鮮に楽しんで読めた。
実はオリエント急行以外ではヘイスティングスの出てる作品しか読んだことがなかったんだよなぁ。
クリスティブームが再燃したのを好機に、未読のポアロシリーズやクリスティの自伝も読んでみたい。 -
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恐るべき用意周到な知能犯のサディストにして、コンピュータの天才的なスキルを有し、銃器の扱いにも熟練している上、異常性欲の対象が「小児性愛」という歪んだ己の欲望を満たし実現させる為には例えどんな労苦も物ともしない激しい執着心を持つ、という、まさに現代社会が生み出した絶対的邪悪な怪物= “公爵(デューク)” が登場する、米社会の闇を活写する犯罪小説の1つ。
これがフィクションとしての処女作、というのが信じられないほど、作者の力量が途轍もない。
かつて誘拐~監禁され何年にも渡って性的に肉体的に陵辱され虐待され続けてなお、奇跡的に救出された少女が主人公となり、重いPTSDに現在も悩まされ続けている中で、公爵の起こした「連続少女誘拐事件」へと立ち向かっていく成長した姿(精神的には、今回の事件を通してようやく成長していくもどかしさも)が希望であり、頼もしい。
解説によれば、実在の事件の被害者がこの作品の主人公リーヴのモデルであり、そんな彼女へのエールの意味も込められているそうですが、やたら重いテーマをてらいなくエンタメ小説の中に収めて、読みづらくなることも無く一気読みさせるパワーを確実に持っている力作♪でした。 -
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原作の雰囲気ぶち壊しだったらどうしようと恐る恐る読み始めたのだが、さすがP・D・ジェイムズ。読み応えのあるミステリーになっていた。
翻訳の力もあると思うが、18世紀から19世紀にかけてのジェントリ階級という『高慢と偏見』の世界にスッと入り込める。
これは、原作から六年後、エリザベスは今や二人の男子の母となり、ダーシー夫人としての地位を確立している。
そんな幸せなダーシー夫妻の生活に影を落とすのは、やっぱりウィッカム、リディア夫妻である。
相変わらず人のお金を当てにするような生活を続け、挙げ句の果てに、自分が殺人事件の容疑者にまでなってしまう。
事件が起こってからは、法廷もの的な流れにもなってしまうのだが、背後に隠されていた複雑な人間関係にムムムとうなってしまった。
しかし、六年もたって、いまだに昔の自分の態度を反省してるとか、ジョージアナとわだかまりがあるとか、ミスター・ダーシー、どれだけ引きずってるのよ!とおかしくなってしまった。 -
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英国ミステリの大家P・D・ジェイムズによる「高慢と偏見」の続編。
みんなオースティンが好きなのね~。
実力派なのでしっかり書き込まれ、19世紀初頭の捜査や裁判もありありと。
「高慢と偏見」のあらすじが最初にまとめられていて、その辛らつさがとてもオースティンぽい。
5人の娘を持つベネット夫人が4人までを結婚させられたのは幸運だったと思われていると。
美しく優しい長女ジェーンの幸運な結婚は祝福されたが、次女エリザベスの不釣合いな結婚は驚きとやっかみを招いたと。
ダーシーとエリザベスは当初反発し合っていたことを狭い世界の誰もが知っていたし、ダーシーは名門で格が違いすぎ、エリザベスが女主人となるペンバリー館はその地方随一の広壮な館だったから。
さて、二人はその後どうなったのでしょうか?
結婚後6年、子にも恵まれた二人はむつまじく暮らしていた。
エリザベスは召使達を思いやることで心をつかみ、女主人役も何とかこなしている。
姉のジェーン夫婦は近くに住み、今もよき理解者。
ダーシーの妹には、縁談が持ち上がる。
大規模なパーティーの前夜。
末の妹リディアが突然馬車で乗り付けて、泣き叫ぶ。
夫のウィッカムが殺されたかもしれないと‥
男達は森を捜しに行き、倒れている男性を前に「僕のせいだ」と嘆くウィッカムを見つけることに。
ジョージ・ウィッカムは、ダーシーとは幼馴染。
ダーシーの遊び相手だったために甘やかされて思い違いをして育ってしまい、大きくなってから身分の違いを思い知り、ダーシーに反目するようになっていた。
16歳のリディアと駆け落ちし、リディアの一生を台無しにするところを、ダーシーが金を出して説得し、正式に結婚させたという。
無実を主張するウィッカムだが、裁判の状況は不利な展開に。
エリザベスのためにもと悩むダーシーは、事件を解決に導けるか‥?
ウィッカムの存在をほとんど忘れてましたね~。
不愉快な人間だから(苦笑)
でも確かにこういう結婚で義理の兄弟だと、後の人生に絡んでくる可能性はありましたね。
そのへんの目の付け所はさすが。けっこう面白い人物になっています。
エリザベスが才気煥発なところを見せるのがほとんどないのが、不満。
それがもっとあれば、ぐっと印象が変わったでしょうに。
ダーシーの育ち方や置かれた立場、そのためにエリザベスとの結婚が難しかったこと、深い愛情で今はどれほど幸福かといったあたりはしっかり描かれています。
事件のための忙しさでろくに一緒にいられない夫婦が、最後にしっとり語り合うのが、幸福な余韻を残します。
作者は1920年生まれ。
ミステリ作家として巨匠賞など多数の受賞歴があります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ序盤における描写に違和感があり、早い段階でこの仕掛けに気づいて犯人がわかってしまった。「ここからさらにどんでん返しがあるのでは?」と勘ぐったものの、予想通りの結末だった。これまでに本作の系譜を引く国内ミステリーを読んでいたからこそ見抜けたのだと思うが、それが100年前の作品であるというのには驚かされる。
ただ、翻訳の文体がどうにも体に合わず、なかなか読み進められなかったのが惜しい。全部舞台でのセリフのようで人間味が感じられないというか…。前半こそじっくりと細かい描写を追えたものの、途中から流し読みになってしまい、きっと原作の良さを半分も味わえていない気がする。
「犯人自身による手記」という叙述トリックの形式自体は非常に面白く賛成だが、個人的には犯人が自殺してしまうオチが残念に感じられた。しかもそれをポアロが暗に促しているように見える。事件を解決するだけでなく、犯人の死まで導いてしまうような探偵のスタンスは、どうも好きになれなかった。 -
Posted by ブクログ
ミステリー史に残る作品で、今のミステリーの土台を作った一冊なのだろうとは思う。ただ、自分にはあまりハマらなかった。
仕掛けは確かに上手い。伏線もかなりあり、犯人を示す叙述上の手掛かりは巧いと思う。ただ、犯行を成立させる細かな条件まで十分早く提示されているとは感じられず、「その情報が後から出てくるなら何でもありでは?」という感覚が残った。
自分は、後から振り返れば辻褄が合うフェアさよりも、最初に与えられた情報を積み上げて真相へ到達するフェアさの方が好きなのだと思う。
また、『medium』のような現代ミステリーを読んでいることもあり、仕掛け自体にはそこまで新鮮味を感じなかった。もちろん、1926年にこれをやったことや、後のミステリーに与えた影響はすごいと思う。
キャロラインは好きだった。噂好きでお節介だけど、優しさもあって印象に残った。
日本語訳も少し読みにくく、文章や会話が自然に入ってこない感じがあった。
歴史的な価値や仕掛けの巧さは理解できる。でも、それと自分が読んで面白いかは別だった。
10段階評価: 4点