斉藤章佳のレビュー一覧
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万引きをする人間の心理、理由、更生・改善させることの難しさが書かれたルポ。
目からウロコがあまりにも多く、同時に当事者に対する自分の偏見の多さを痛感した。
P74)本屋では1冊盗まれると損失カバーのために10冊売らないといけない。
P81)万引き依存症の難しさは、逮捕されなければ変わらない一方で、逮捕だけでは変われない、こと。
それは万引きの再犯率が高いことを示している。まさに全体の1/4。
年齢別に見ると男性の40代、女性は65歳以上が最も多い。女性は年齢が上がるほど再犯率も上がる。
P85) 男性は収入が上がるほど再犯率は下がる傾向にあるが、女性は収入が増えるほど再犯率が増える。こ -
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児童わいせつを犯してしまった人たちが、どのような心境で実行に至ったのか、逮捕や服役した後のことなどとても詳細に書かれていた。本の中での使われ方は違えど、児童へのわいせつを起こす原因として「ケーキの切れない非行少年」にもあった「認知の歪み」という表現が使われているのが興味深かった。
・盗撮や痴漢といったAVを好む人と実際に犯罪を犯す人の統計には関係がみられなかったのに、児童ポルノの所持と児童わいせつの実行率には様々な調査で関係がみられる。児童ポルノの規制は事件の防止のために不可欠。
・小児性愛に目覚めてしまった原因に家庭環境やモテない思いをしたことによる劣等感などがあるが、「原因」があっても罪 -
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ネタバレ不謹慎な言い方かもしれないけど、非常に興味深かった。もっとたくさんの人に読んでほしい。うまくまとめられそうにないので、箇条書きで。
・とにかく、孤独や社会からの疎外感、ストレスは人をダメにするんだな、と思った。家庭内が支配-被支配関係をベースに築かれていたり、精神的に安心できない場所になったりしていると、自分も支配-被支配関係を築いてしまう……それは動物殺しだったり、子どもへの性加害だったり。「ケーキを切れない非行少年」でも強制性交をしてしまう少年の話があって、それが頭をよぎった。回復の過程でもとにかく孤独にしないことが重要視されていて、やはり自分を気にかけてくれる人と触れ合うこと、そして彼ら -
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ネタバレ・小児性犯罪は初めての加害から捕まるまで平均14年、他の性犯罪より長い。子どもがされたことを理解できない/伝えられないので発覚しづらい。再犯率も高い(痴漢は特にものすごい再犯率でそれも衝撃だったが)。1人の加害者が捕まるまでに平均300人ほどの被害者を出すといわれる(1000人くらいいってることも全然ある)
・小児性犯罪は職業を通じて加害行為が行われることが多い。加害者の有職者のうち3割が教師や保育士インストラクターなど子どもを指導する立場の職。執念が強く何年もかけ資格を取り子どもに接する仕事に就いて性加害しやすい環境を作っている。実際本の末尾にあった事例は本当に教師とかばかり。
・他の依存症 -
購入済み
こちらも依存症の本でしたね
先日、同じ著者による性依存症の本を読みましたので、以前購入していたこちらの本も読みました。
痴漢と盗撮がどうやら二大性犯罪らしくて、今さらでしょうが、暗然たる思いはしますね。当然、依存症の当事者は病識等はない訳ですから。
この本も分かりやすく語りかけるような口調で書かれていますので、すぐ読了は出来ましたが、軽い本ではありませんね。
文明の力としての情報機器、やはり有効活用などできずに悪用ばかりになったりでは情けないのですが、現状の日本の社会はその程度には未成熟でしょうし……大変でも問題点を整理して法制化すべきですね。
ネットの有象無象的な反応を相手にしていても無益に過ぎますからね。
己の加害性 -
購入済み
性教育等の重要さ
新書ですので1時間もかからずに読了できましたが、内容は決して軽くはありませんでしたね。
私の元配偶者もアルコール依存症を家族ぐるみで隠していましたので、こういう本の内容は、本当に他人事ではありませんでした。
本文でも紹介されている津島隆太氏のまんが作品も参考になりますが、こちらは臨床の当事者の本でもあり、重要なことを分かりやすく書いていますね。
中高の図書室等に常備して欲しいような1冊でしたね。
強くはなれないので、賢くあれ、はホントそう思いますが、ネットの有象無象等、視野狭窄なお山の大将、は幾らでもいますし、山谷えり子や故・古賀俊昭みたいな政治屋が有害無益なのもよく分かりますね。
巻末の森林 -
ネタバレ 購入済み
性依存症になりました
1巻で通院治療とグループセラピーが終わり自助グループに入ったので、2巻は自助グループの話になります。
引き続きいろんなタイプの性依存症患者が出てきます。
自助グループのプログラムはどれも依存症に真剣に向き合うことを必要とし、本当に楽ではないものですね。
ついに作者はブラザーになり、仲間を助けることで自分を助けることになっていきます。
作者が仲間とともに依存症から自分自身を取り戻す過程には希望を観じました。 -
購入済み
性依存症は病気である
作者のTwitterをたまたま目にして無料サイトで途中まで読んだのですが、この作品は最後まで読まなければいけないと思い、購入しました。
作品の性質上、重くて読んでいて辛い話も多かったですが、通院治療や自助グループを通じ、作者が仲間と助け合い自分と向き合いながら依存症から自由になっていく過程に明るい気持ちになれました。
性依存症は被害者を生むだけでなく、本人も苦しんでいること、治療は本当に大変な道のりだということがわかりました。
この作品を描いてくださった作者に心から感謝したいと思います。 -
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ネタバレとにかく性犯罪の加害者への罰則が軽すぎる。
捕まっても起訴すらされないとか、被害者に非があるかのようにいわれてしまう風潮とか何なんだろう、と常々憤っていた。議論が加熱すると必ず冤罪がどうとかいう話が持ち出されて、めちゃくちゃになる。
何なの、おかしくない?ってずっと思ってきた。
この本には、そのあたりの話まできっちりと書かれている。
驚いた。
性犯罪者は性欲が異常に強くて理性でそれが制御できないのだから、被害を無くすためには去勢するしかない、くらいに思っていた。痴漢は減らず、性犯罪者がまっとうに裁かれない現実に苛立つと、極端な願望を抱くしか救いがないから。
まずその今の現状がおかしいこと -
Posted by ブクログ
これを書籍にしてくださったことが嬉しい。
痴漢が起きるのは、
根底に根深い男尊女卑思想が、
社会にあるからだ。
男性にとって、
男尊女卑は都合の悪いことではないし、
男性の男尊女卑を利用したい、
または、それを受け容れて当然と考える女性も多いので、問題が本当の意味での解決には向かわない。
殺人が、と言っても冤罪がとは言われないのに、
痴漢が、と言うと冤罪の話になる、
強姦が、と言うとハニートラップの話になるのはおかしいのだ。
どこまでも女性側に過失があるという発想を、
男性だけでなく女性ももっている。
だから、この社会はよくならない。
女性の非正規率が高く低賃金であることも、
まっ