斉藤章佳のレビュー一覧
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旧ジャニーズ事務所における性加害問題で広く知られるようになった、子供への性加害。
男の子でも被害者になるんだ、と驚いた人も多かっただろう。
売名だとか、嘘つきだとかそういった反応も多かった。
だが、実際は残念ながら珍しいことではない。
限られた子供だけが被害に遭うわけではないのだ。
親には言えなかったけれど、私も露出狂に遭ったり、電車内の痴漢、デパート内で陰部を押し付けられたりしたことがある。
今はSNSを入り口にした性犯罪が増加している(26頁 警察庁統計より)。
決して、関係ない世界の出来事ではないのだ。
加害者の頭の中は、認知が歪み過ぎていて腹立たしい。
「相手が嫌がっていないと思った」は圧倒的支配関係の中では加害者に都合のいい言葉でしかない。
113頁にあるように、刑法改正は本当に画期的である。
少しでも辛い思いをする子供が減らせるよう、実際に動いてくれた大人がいることがほんの少しでも助けになるのなら。
本書の良い点は、被害者支援は言わずもがな、加害者の治療、また加害者の体験が収められていることである。
正直なところ加害者憎し、に動きがちな私の心に一旦歯止めをかけ、矯正、再犯防止という犯罪抑止とは何かを思い出させてくれる。
心情的なものと、現実とをみて、より良い社会を作るにはを考えることは困難が多い。
けれども、それを実践し続ける著者含めた多くの人々に敬意を表するとともに、
私のような市井の人々も皆で考え、実践することで、少しでも苦しむ人が減ることを希わずにはいられない。 -
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■どんな本か
人間と性をテーマに長年教育に携わってきた著者を『校長』とし、各教科の『先生』達がそれぞれのテーマを教え、最後には対談も交えながら人生と性について論じる本。
■内容
生きるうえで性について知ることは不可欠だ。
自己を知り人を知り、関係を育むのが性教育であるべきなのに、日本の学校では今日現在もセックスを教えないなど【はどめ規程】が残り、産む性にとどまっているこたが問題だ。
①更年期(高橋怜奈)
・女性は閉経前後5年間。閉経50歳が平均だから45-55歳。(とはいえ50歳過ぎても半数が生理ある。個人差あるから年齢だけで区切るのは注意。)
人生100年時代、まだ折り返し地点。
原因はエストロゲンの減少。中でも自律神経安定させていたものがなくなり、ホットフラッシュなど起こる。周期不安定、不調でたら婦人科受診を。
・男性は40代から50代にかけてスタート。テストステロン減少。女性に比べゆるやか。ただ見えにくい、意識されにくいのは問題。症状は女性と似ている部分も。泌尿器科でホルモン補充できると治ること多い。
・更年期離職を避けるためにも、休みやすい社会を作ろう。
②セックス(宋美玄)
・誤解の多い男性と、知識乏しい女性の行為、楽しく満たされないのは当たり前。ファンタジーに溢れているアダルトコンテンツも、受け手にリテラシーあれば何がファンタジーかがわかる。
・人は繁殖以外の目的でセックスをする生き物。こうでなければならない、という思い込みを手放そう。具体的に手放すべきは男性器中心の考え方。フルコースじゃなくてもいい。焼肉食べられなくなっても、アラカルトで楽しめる。
一方で同意は夫婦であっても必要。50代の男性81%がしたい。女性は同じ50代で31%。(両方ともたまに思う、も含める)主体的にしたいと思ってない相手に強いる負担、させるな。
③パートナーシップ(太田啓子)
・離婚を扱う弁護士による章。相談くるケースはマニュアルでもあるかのように似通う。妻側は何年も悩んだ上に離婚に行き着くが、夫は青天の霹靂だと思い、謝罪するも無理だとわかると逆上。『愛してる』と主張。
なぜ似通うかというと、性別役割分担の考えから抜け出せていないから。男の人、ケアされて当然と思って自分がケアする側だと気付かない人いる。まるで赤ちゃん(辛辣!)。ずっと不機嫌でいることは精神的DV。
解決するために必要なことは、傾聴。
④性的指向と性自認
・性的マイノリティはいないことにされていただねめ、最近増えたわけではない。
LGBは性的指向。誰が好きか。
TQは性自認。
SOGI、誰しも関係している。
シスジェンダーでヘテロセクシャルがマジョリティな社会。マジョリティ側にいると見えない。
アウンティングは犯罪。
差別禁止の法が成立していないのはおかしい!
⑤性暴力(斉藤章佳)
・自衛ではなく、加害者にならないアプローチが結果的に多くの被害者を救う。
加害者はモンスターではなく普通の人がなる。
激しいレイプだけか性被害ではない。すべての、同意のない性的な行為が当てはまる。
・ノットオールメン、という反応はおかしい。
・なぜ痴漢(等)するのか??
性欲が抑えられない、は違う。
警察が用意するストーリー、男性に都合の良いロジック。例えば妻とはセックスレスだったから、暴走してしまった、というように。
自尊心感情傷ついたときに加害性が発露する。支配欲満たし優越性確保し達成感を得る。
いわば不適切なストレス対処法。
・自分より弱いものを支配するという意味では、男性優位社会が生み出したものでもある。女性をモノ化する考え。
一つの解、教育。
そしてもう一つは、自分の内面を語ること。
男性も弱さをさらけ出せるように。
⑥ジェンダー(田嶋陽子と著者との対談)
・日本の性教育は貧困。いきなり生理の話。
そして大事なことが抜け落ちたまま、興味の延長としてセックスの方法だけ知るものではない。
・江戸時代、混浴当たり前で奔放でオープンだった春画の文化。欧米の価値観で持ち込まれる、恥の意識。明治の大日本帝国憲法で、女性は二級市民に貶められる。その意識と慣習が、今も残る。
・求められる男らしさ。理性的、たくましさ。弊害は心を押し殺してしまうこと。
求められる女らしさ。気配り、従順。弊害は自分を持ちにくいこと。
・生殖を含む性的なタッチは年齢によって変わるけど、根底にある生き物としてのラビングタッチはずっと続けられる。そしてセルフプレジャーも。
■感想
なんとも学びの多い本だった。タイトルで損してると誰かがレビューに書いてあったが全くその通り。そして80代の著者がこんな先駆的な考えなのも驚きだし、それぞれの章を書いているのが30-40代なのも好感。違うアプローチなのに、似通う結論や考え方も興味深い。(男の子は感じることを言語化することをさせられずに大きくなる、とか。)
それぞれ本を書いているようなので、読んでみたい。ちなみに1番面白かったのは、性暴力の章。(弁護士の話は男にやたら厳しくて途中笑える。)
教育って大事だわー。 -
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この本の趣旨を二度までも見誤った。読み誤った、というべきか。
まず1章を読み始めた時、
この本は、今の日本の男女差別を問題視し、会社の役職者や議員の割合などの、
現状の男社会が今の日本の諸悪の根源だ!と訴えたい本なのかなあと思った。
しかし読み進むうちに様子が変わってきた。
ワーカホリック、過労死、アルコール依存症、痴漢依存症、、、
あれ?依存症の恐ろしさを訴えたい本だったのか、
看板に偽りありだなあ、と多少憤りながら読み進めた。
そうしていくうちにようやくこの本の狙い、ターゲット、言いたいことがわかってきた。
男尊女卑社会の通念、固定観念に縛られたが故の生きづらさにより、
ワーカホリックになったり、アルコール依存になったり、ギャンブル依存になったり、
女性、、多くは専業主婦が万引き依存になったりするものなのだ、
と。
誰に植え付けられたか男はこうあるべき、女はこうあるべきという固定化した考えと、
実際の世の中のギャップを埋められない人たちが、様々な依存症にはまっていく。
一度そうなってしまうと、怠けとか何とかでは済まされなくなる。
最後のほうは依存症からどう抜け出すかの話になる。
自分の現状を認めることから始まると。
そのためには仲間が必要と。
自分をさらけ出せる仲間が。
それがいない人、孤独な人、
現実離れした固定観念から逃れられず、それでいて本音を語れる相手を持たない人が、
依存症にはまるからと。
さてここで考える。
まず依存症そのもの。
私は幸いそういう状況にない。
その最大の理由は、本音が言える仲間がいるからだと思う。有難い。
そもそも私は虚勢を張らない。
組織社会の会社でも見栄を張って、あるいはマウントを取って偉くなろう、
としたことがない。性に合わない、できない。
男らしさ、なんて意識してもなかなかできない。
ゆえに無理せずに、依存症にならずに来たのかなあと。
もう一つは男尊女卑のこと。
両親は自営業で、実質父親が稼ぎ、母親はその手伝い程度。
男尊女卑的家庭だったかもしれない。
しかし幸い?私の結婚相手がいろんな意味で強く、そんな考えでは
平穏に暮らしていけなかった。
好きなタレントの一人が男のおばさんの永六輔さんだったから、
素直に受け入れられたのかもしれないけど。
そういうこともあって、男だからこう、女だから、というのはなかった。
もっとも子育ては妻に頼っていたのは間違いない。
資格試験の勉強だから残業だからと、押し付けていた。
受験対策は頑張ったけど、、
そういうこともあって、この本の対象、当事者にはならずに済んだけど、
今の世の中、固定観念からくる依存症に苦しんでいる人は多いんだろうなと思う。
そういう人はもっと本を読んだり、友と語らった方がいいと思うんだけど、
そういう人ほど、電車の中でスマホを見たり、ゲームしている気がする。
スマホ依存症、ゲーム依存症、、、
そういう人に限って足を広げて1.5人前場所を取るし、座ればひじを張るし、、
迷惑だし、心配だ。
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■子供と信頼関係を築き関係性を巧みに利用して性的な接触をする行為をグルーミング(性的懐柔)という。
・2023年7月に改正刑法が施行され「面会要求等罪」(グルーミング罪)が新設された。
・グルーミングの3つのパターン
①オンライン上でのグルーミング
②面識のある間柄でのグルーミング
③面識のない間柄でのグルーミング
■治療の三本柱
①認知行動療法
②薬物療法
③性加害行為に責任を取る
■再犯を踏みとどまらせる手がかりは3つある。
①社会の中に自分の居場所があること。「自分はここにいていいんだ、ありのままに生きていていいんだ」と思える場所があること。
②裏切ってはいけない大切な人がいること。人との繋がりがないと人は追い込まれたとき自暴自棄になってしまうが、大切な人がいることで歯止めとなる。
③希望があること。
この3つは、小児性犯罪者に限ったことではなく、人が同じ過ちを繰り返さないために大切なこと。 -
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ライターの三浦ゆえ氏が企画・構成を立案し、村瀬幸浩さんをスーパーバイザーとして、著者5人の各テーマの執筆と村瀬幸浩さんと田嶋陽子さんの対談である。更年期の基礎知識と向き合い方。思い込みによるセックスの誤解解消の気づき。パートナーシップによる相手への尊重と傾聴。性志向と性自認の理解。性暴力加害者にならないための知識。そして、「ジェンダー」と「らしさ」をめぐる重鎮対談。受け身こそ「女性らしさ」という呪縛から脱却し、自己主張をもっと積極的にと女性を励ます。ペニス信仰、勃起・挿入・射精という男根主義に慣らされている男性への痛切な批判。性の歴史と在り方を平易に解説し、50歳から学び直そうと提案するが、自省を込めて全世代で学び直すべき課題として、多くの人々に読んで欲しい。
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Posted by ブクログ
これは非常に良い本だった。50才から学んだのでは遅い。全ての人が定期的に学び直すべき。
第4講までは、とても落ち着いた当然のことが書いてあるなあ…令和の時代にこんな当然のことを認識し直さなければならないなんて…と悲しくなった。
私の時代に学校で学んだ性教育は、第二次性徴や、妊娠の仕組みといった内容だった。一方、今の性教育は自分、他人を大切にすることを教えるものだ、と聞いて、いまいち腑に落ちなかったのだが…、
第5講を読んで、それまでの全てがすっと納得できた。性加害は、性欲が抑えられないから起きるんじゃない、人を大切にできないからなんだ、と知って私には目から鱗。
ラジオで斉藤章佳さんが話されていたのが興味深かったのでこの本を手に取ってみたのだけど…、やはり学びが多かった。また折に触れて読み返したい。 -
Posted by ブクログ
万引きをする人間の心理、理由、更生・改善させることの難しさが書かれたルポ。
目からウロコがあまりにも多く、同時に当事者に対する自分の偏見の多さを痛感した。
P74)本屋では1冊盗まれると損失カバーのために10冊売らないといけない。
P81)万引き依存症の難しさは、逮捕されなければ変わらない一方で、逮捕だけでは変われない、こと。
それは万引きの再犯率が高いことを示している。まさに全体の1/4。
年齢別に見ると男性の40代、女性は65歳以上が最も多い。女性は年齢が上がるほど再犯率も上がる。
P85) 男性は収入が上がるほど再犯率は下がる傾向にあるが、女性は収入が増えるほど再犯率が増える。これが示すのは女性の万引き理由が、お金、ではないということ。
→節約のため。という理由が多い。男性には見られない。
50歳以上女性の ストレス発散という理由も多い。
P106) 依存症とは、決して快楽に溺れるために繰り返すのではなく、人の内面にある「痛み」を緩和させるための鎮痛剤である。
P116)孤独も依存症再発の引き金になる。
当事者は自身の心の寂しさを誰かに知って欲しいと感じ、その欲求から万引きをする。万引きにメッセージ性がある。
私はこんなに寂しくて辛い思いをしているということを発信している。
P136)万引き依存症者には認知の歪みがある。
全ての依存症に共通する。被害者意識とも言える。
(P160 彼らの中では悪いことをしたから捕まったのではなく、失敗したから捕まった、でしかない。加害者意識は無く、運が悪かっただけ、私は悪くないと開き直っている。)
度重なる万引きで捕まった者は異口同音にこう言う。「大したものを盗ってないのに・・・」
これはおかしい。問題は盗ったこと、なのに。問題を重大なことと捉えず、軽視している。
著者はその認知の歪みを、
「問題行動を継続するための、本人にとって都合のいい認知の枠組み」と定義する。
→まさにその通り。よく実録動画で犯人がチグハグな言い訳をしているのを見るが、総じてそのようなことを言っている。
P143)万引き依存症になると色々な感覚が麻痺し、何百回何千回と繰り返すうちに、「衝動制御障害」状態に陥る。
これは、ある引き金を引くと、自分の内から込み上げる衝動を抑えられず不合理な振る舞いをしてしまうこと。
→スーパーに行くと万引きのスイッチが入る。
怖いわ・・・。
P150)改善策として、依存先を増やすこと。
依存症とは万引きではなく、自分を損なわない依存先をたくさん見つけておく。
P170) 65歳以上で万引き理由で、生活困窮が案外少ないのは、高齢者が一概に貧しさを理由に万引きに及んでいるとは限らないことを示している。
貧困=万引き ではない。
P180) 高齢になり孤独を感じると、男は酒に、女は万引きに溺れる。
男の日常には酒が、女にはスーパーがある。依存症とは日常の中で耽溺していくのだということがよく分かる。孤独だ、人恋しいという感情が引き金となり、問題行動(万引き)に発展する。
P185)孤独が万引きを誘発するのだから、未然に防ぐためには1人にさせないようにすることが大切。周囲が目配りし物理的、精神的にも孤立を防ぐ(おせっかい)。
→孤立させない支援。
P226)万引きした者に家族がかける言葉として、「なんでやったんだ!」と怒っては逆効果。責め立てても問題は解決しない。
話してくれたことに対して(ありがとう)と受け止めることが大切。
P257)万引きGメンの葛藤として、
犯人が商品を持って店を出てからしか声をかけられない。本当はカバンなどに入れた時に声をかけたい。→具体的に声をかければ大半はやめるから。その方が罪を犯さずに済むし、店や警察之負担も少ない。
ただ、そのようなことをして未遂で終わらせるとGメンの仕事は評価されない。。。
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児童わいせつを犯してしまった人たちが、どのような心境で実行に至ったのか、逮捕や服役した後のことなどとても詳細に書かれていた。本の中での使われ方は違えど、児童へのわいせつを起こす原因として「ケーキの切れない非行少年」にもあった「認知の歪み」という表現が使われているのが興味深かった。
・盗撮や痴漢といったAVを好む人と実際に犯罪を犯す人の統計には関係がみられなかったのに、児童ポルノの所持と児童わいせつの実行率には様々な調査で関係がみられる。児童ポルノの規制は事件の防止のために不可欠。
・小児性愛に目覚めてしまった原因に家庭環境やモテない思いをしたことによる劣等感などがあるが、「原因」があっても罪を犯した「責任」は本人にある、という認識でないと治療につながらない。
・児童わいせつは特に釈放されてからの再犯率が高い。加害者への治療は、本人や家族のためでもあるが、それ以上に新たな被害者を増やさないためのものである。
・かわいい=自分より小さい、弱いものに対して心引かれる感情、を抱く時点で人は対象を弱い(下の)存在だと無意識に認識している。性犯罪に限らず、自分もふとしたきっかけで加害者になるかもと自覚的であるべき。
・性犯罪者にGPSをつけるなどの対策を行う国もあるが、コストに対して再犯率が減少しているとは言いがたい。
「こんな事件が二度と起きないように、同じような法律を日本にも導入しろ」と反射的に言うのではなく、事件を防ぐには何が必要なのか、を考えるのにとても参考になる。
「うちの子に限って」というのは被害者・加害者家族が言う常套句である。最悪の事態を少しでも防ぐために、教育関係者や子をもつ人など、できるだけ多くの大人に読んでもらいたい一冊。 -
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ネタバレ不謹慎な言い方かもしれないけど、非常に興味深かった。もっとたくさんの人に読んでほしい。うまくまとめられそうにないので、箇条書きで。
・とにかく、孤独や社会からの疎外感、ストレスは人をダメにするんだな、と思った。家庭内が支配-被支配関係をベースに築かれていたり、精神的に安心できない場所になったりしていると、自分も支配-被支配関係を築いてしまう……それは動物殺しだったり、子どもへの性加害だったり。「ケーキを切れない非行少年」でも強制性交をしてしまう少年の話があって、それが頭をよぎった。回復の過程でもとにかく孤独にしないことが重要視されていて、やはり自分を気にかけてくれる人と触れ合うこと、そして彼らの目を心に持つことは大事なんだなと思った。
・関連して、ペドフィリアってもっと特殊なものだと思ってたけど、他の犯罪と地続きなんだなとも思った。社会から阻害されたいわゆる“無敵の人"の怒りの矛先が、無差別殺人に向かうか小児性加害(時には殺人)に向かうかの違いというか。元々その嗜好があるかどうかの違いなんだろうけど。
・更生への道があまりにも長く、遠いなと感じた。自分が当事者ならば、毎日毎日「また性加害するのでは」と不安で、ひとりぼっちの世界で「今日も生き延びた」と石に正の字を刻んでいるような気持ちになると思う。そして今はネットの発達でポルノがどこにでも転がっているので、ツイッターも迂闊に開けないし、生活がかなり制限されるだろうなと思った。というか子どもを見るだけでスイッチが入りかねないんだからネットがなくたって危険だ。しかしケンタロウさんの話を見ると、非常に落ち着いて自分を客観視できているので、やはり時間を掛けて治療するのは大事なんだなとも思う。でもまともに働けないので経済的にもかなり苦境に立たされるだろうし、当人も支える家族もしんどいだろうなと思う。また同じ性犯罪でも対象が大人か子供かで周囲の眼差しも違い、いたたまれなくて他の性犯罪者と一緒に更生教育が受けられなくなるというのが切なかった。
・児童ポルノについては、実写はダメだけど漫画については本当にそれが抑止力になるのだと思っていたので、違ったこと、むしろ真逆であることに愕然とした。本当に依存症なんだなっていうか……児童ポルノは薬物で言うところの大麻、ゲートウェイドラッグなんだなと思った。あと痴漢の場合はあまり関係ないのも不思議だなと思った。
・「可愛い」の話で、まあ意識して使ってないけど「可愛い」には確かにバカにした響きがあるよねとは思っていた。昔男に可愛いと言ったら「馬鹿にされているようで気分が悪い」と言われたことがある。でも男は女に可愛いと言う。馬鹿にしてるのか?
・日本が男尊女卑社会なのはまあそうで……強い男性がいると弱い男性も生まれてしまう、でも強い男性は自分の特権を維持したいから男尊女卑社会を継続させたい、女性も処世術として弱くいることを学んで再生産してしまう……そして弱い男性は切り捨てられる。彼らもまた男尊女卑社会の被害者と感じる。
・しかし1人で1000人以上に性加害していた人とか……愕然とした。自分がこの年まで何もなく健やかに育ったことが驚きだ。将来自分に子供が生まれたら、必ずトイレには付き添おうと思った。 -
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ネタバレ・小児性犯罪は初めての加害から捕まるまで平均14年、他の性犯罪より長い。子どもがされたことを理解できない/伝えられないので発覚しづらい。再犯率も高い(痴漢は特にものすごい再犯率でそれも衝撃だったが)。1人の加害者が捕まるまでに平均300人ほどの被害者を出すといわれる(1000人くらいいってることも全然ある)
・小児性犯罪は職業を通じて加害行為が行われることが多い。加害者の有職者のうち3割が教師や保育士インストラクターなど子どもを指導する立場の職。執念が強く何年もかけ資格を取り子どもに接する仕事に就いて性加害しやすい環境を作っている。実際本の末尾にあった事例は本当に教師とかばかり。
・他の依存症と同じようにストレス環境下で加害に繋がりやすい。
・児童ポルノを容認する価値観の社会の中で、加害する人間としない人間が地続きに存在する、児童ポルノやそれを容認する価値観によってその溝が埋まっていく。エビデンスはないが現場レベルでワークに参加した加害経験者へのヒアリングした結果では全員が児童ポルノは加害に繋がると回答
・男尊女卑から生まれた男性優位の考え方は、男性の性は社会によってケアされるべきものという考え。より上位に立ちたい、自分より弱いものに受け入れられたいという欲求。女性はかわいい、未熟であることを求められる。(かわいい=自らに危害を及ぼすことのない存在に使われる言葉)これが拒絶されたとき、受け入れてほしいという欲求が力の小さなもの(子ども)に向かうことも
・性犯罪は犯罪者の中でも下に見られる。小児性犯罪は性犯罪の中でもさらに下に見られることから小児性犯罪の加害者は孤立しがち
・GPSなど厳罰化は再犯率低下の効果が低い。加害をやめつづけるための治療が有効なアプローチ。つい厳罰化を望んでしまうが本質は被害を減らすことでそのためのアプローチを忘れないようにしたい
★かなり読むのがしんどかった。けど勉強になった。加害する人間がいる前提で子どもを守るために、1人にしないとか、最低限の知識を伝えるとか、何か違和感感じたときにいつでも共有してもらえるような関係作りが必要だと思った。自分はオタク文化に寛容でフィクションと現実は別だしエンタメとしてオタク文化大事と思っているが、イラストなどであっても児童ポルノが蔓延する社会とそれを許容する価値観、ムードが性加害する人間と地続きの社会を作り出しているというのは本当にその通りだと思った。オタクの大人として文化を守るためにこそしなければいけない規制もあるのではと感じた。 -
購入済み
こちらも依存症の本でしたね
先日、同じ著者による性依存症の本を読みましたので、以前購入していたこちらの本も読みました。
痴漢と盗撮がどうやら二大性犯罪らしくて、今さらでしょうが、暗然たる思いはしますね。当然、依存症の当事者は病識等はない訳ですから。
この本も分かりやすく語りかけるような口調で書かれていますので、すぐ読了は出来ましたが、軽い本ではありませんね。
文明の力としての情報機器、やはり有効活用などできずに悪用ばかりになったりでは情けないのですが、現状の日本の社会はその程度には未成熟でしょうし……大変でも問題点を整理して法制化すべきですね。
ネットの有象無象的な反応を相手にしていても無益に過ぎますからね。
己の加害性に向き合うのって、確かに簡単でもないのでしょうが、それも出来なければ同じ愚行を繰り返すばかりですよね……。
こういう本も、多くの人に読んで欲しいものです。 -
購入済み
性教育等の重要さ
新書ですので1時間もかからずに読了できましたが、内容は決して軽くはありませんでしたね。
私の元配偶者もアルコール依存症を家族ぐるみで隠していましたので、こういう本の内容は、本当に他人事ではありませんでした。
本文でも紹介されている津島隆太氏のまんが作品も参考になりますが、こちらは臨床の当事者の本でもあり、重要なことを分かりやすく書いていますね。
中高の図書室等に常備して欲しいような1冊でしたね。
強くはなれないので、賢くあれ、はホントそう思いますが、ネットの有象無象等、視野狭窄なお山の大将、は幾らでもいますし、山谷えり子や故・古賀俊昭みたいな政治屋が有害無益なのもよく分かりますね。
巻末の森林原人氏との対談等も良かったですね。ぜひ読んで欲しい1冊です。