【感想・ネタバレ】「小児性愛」という病――それは、愛ではないのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

ずっと眉間に皺を寄せて読む。日本はどうしてこんなにも性犯罪、小児性加害に甘いのか。こんなに再犯率が高いのに執行猶予判決が多く再発防止の為のシステムもほぼないに等しく野放し状態。子どもたちが全く守られていない。
日本社会が変わらなければならないという言葉に共感。

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Posted by ブクログ 2023年03月26日

児童わいせつを犯してしまった人たちが、どのような心境で実行に至ったのか、逮捕や服役した後のことなどとても詳細に書かれていた。本の中での使われ方は違えど、児童へのわいせつを起こす原因として「ケーキの切れない非行少年」にもあった「認知の歪み」という表現が使われているのが興味深かった。

・盗撮や痴漢とい...続きを読むったAVを好む人と実際に犯罪を犯す人の統計には関係がみられなかったのに、児童ポルノの所持と児童わいせつの実行率には様々な調査で関係がみられる。児童ポルノの規制は事件の防止のために不可欠。
・小児性愛に目覚めてしまった原因に家庭環境やモテない思いをしたことによる劣等感などがあるが、「原因」があっても罪を犯した「責任」は本人にある、という認識でないと治療につながらない。
・児童わいせつは特に釈放されてからの再犯率が高い。加害者への治療は、本人や家族のためでもあるが、それ以上に新たな被害者を増やさないためのものである。
・かわいい=自分より小さい、弱いものに対して心引かれる感情、を抱く時点で人は対象を弱い(下の)存在だと無意識に認識している。性犯罪に限らず、自分もふとしたきっかけで加害者になるかもと自覚的であるべき。
・性犯罪者にGPSをつけるなどの対策を行う国もあるが、コストに対して再犯率が減少しているとは言いがたい。

「こんな事件が二度と起きないように、同じような法律を日本にも導入しろ」と反射的に言うのではなく、事件を防ぐには何が必要なのか、を考えるのにとても参考になる。
「うちの子に限って」というのは被害者・加害者家族が言う常套句である。最悪の事態を少しでも防ぐために、教育関係者や子をもつ人など、できるだけ多くの大人に読んでもらいたい一冊。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年03月24日

不謹慎な言い方かもしれないけど、非常に興味深かった。もっとたくさんの人に読んでほしい。うまくまとめられそうにないので、箇条書きで。
・とにかく、孤独や社会からの疎外感、ストレスは人をダメにするんだな、と思った。家庭内が支配-被支配関係をベースに築かれていたり、精神的に安心できない場所になったりしてい...続きを読むると、自分も支配-被支配関係を築いてしまう……それは動物殺しだったり、子どもへの性加害だったり。「ケーキを切れない非行少年」でも強制性交をしてしまう少年の話があって、それが頭をよぎった。回復の過程でもとにかく孤独にしないことが重要視されていて、やはり自分を気にかけてくれる人と触れ合うこと、そして彼らの目を心に持つことは大事なんだなと思った。
・関連して、ペドフィリアってもっと特殊なものだと思ってたけど、他の犯罪と地続きなんだなとも思った。社会から阻害されたいわゆる“無敵の人"の怒りの矛先が、無差別殺人に向かうか小児性加害(時には殺人)に向かうかの違いというか。元々その嗜好があるかどうかの違いなんだろうけど。
・更生への道があまりにも長く、遠いなと感じた。自分が当事者ならば、毎日毎日「また性加害するのでは」と不安で、ひとりぼっちの世界で「今日も生き延びた」と石に正の字を刻んでいるような気持ちになると思う。そして今はネットの発達でポルノがどこにでも転がっているので、ツイッターも迂闊に開けないし、生活がかなり制限されるだろうなと思った。というか子どもを見るだけでスイッチが入りかねないんだからネットがなくたって危険だ。しかしケンタロウさんの話を見ると、非常に落ち着いて自分を客観視できているので、やはり時間を掛けて治療するのは大事なんだなとも思う。でもまともに働けないので経済的にもかなり苦境に立たされるだろうし、当人も支える家族もしんどいだろうなと思う。また同じ性犯罪でも対象が大人か子供かで周囲の眼差しも違い、いたたまれなくて他の性犯罪者と一緒に更生教育が受けられなくなるというのが切なかった。
・児童ポルノについては、実写はダメだけど漫画については本当にそれが抑止力になるのだと思っていたので、違ったこと、むしろ真逆であることに愕然とした。本当に依存症なんだなっていうか……児童ポルノは薬物で言うところの大麻、ゲートウェイドラッグなんだなと思った。あと痴漢の場合はあまり関係ないのも不思議だなと思った。
・「可愛い」の話で、まあ意識して使ってないけど「可愛い」には確かにバカにした響きがあるよねとは思っていた。昔男に可愛いと言ったら「馬鹿にされているようで気分が悪い」と言われたことがある。でも男は女に可愛いと言う。馬鹿にしてるのか?
・日本が男尊女卑社会なのはまあそうで……強い男性がいると弱い男性も生まれてしまう、でも強い男性は自分の特権を維持したいから男尊女卑社会を継続させたい、女性も処世術として弱くいることを学んで再生産してしまう……そして弱い男性は切り捨てられる。彼らもまた男尊女卑社会の被害者と感じる。
・しかし1人で1000人以上に性加害していた人とか……愕然とした。自分がこの年まで何もなく健やかに育ったことが驚きだ。将来自分に子供が生まれたら、必ずトイレには付き添おうと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月28日

・小児性犯罪は初めての加害から捕まるまで平均14年、他の性犯罪より長い。子どもがされたことを理解できない/伝えられないので発覚しづらい。再犯率も高い(痴漢は特にものすごい再犯率でそれも衝撃だったが)。1人の加害者が捕まるまでに平均300人ほどの被害者を出すといわれる(1000人くらいいってることも全...続きを読む然ある)
・小児性犯罪は職業を通じて加害行為が行われることが多い。加害者の有職者のうち3割が教師や保育士インストラクターなど子どもを指導する立場の職。執念が強く何年もかけ資格を取り子どもに接する仕事に就いて性加害しやすい環境を作っている。実際本の末尾にあった事例は本当に教師とかばかり。
・他の依存症と同じようにストレス環境下で加害に繋がりやすい。
・児童ポルノを容認する価値観の社会の中で、加害する人間としない人間が地続きに存在する、児童ポルノやそれを容認する価値観によってその溝が埋まっていく。エビデンスはないが現場レベルでワークに参加した加害経験者へのヒアリングした結果では全員が児童ポルノは加害に繋がると回答
・男尊女卑から生まれた男性優位の考え方は、男性の性は社会によってケアされるべきものという考え。より上位に立ちたい、自分より弱いものに受け入れられたいという欲求。女性はかわいい、未熟であることを求められる。(かわいい=自らに危害を及ぼすことのない存在に使われる言葉)これが拒絶されたとき、受け入れてほしいという欲求が力の小さなもの(子ども)に向かうことも
・性犯罪は犯罪者の中でも下に見られる。小児性犯罪は性犯罪の中でもさらに下に見られることから小児性犯罪の加害者は孤立しがち
・GPSなど厳罰化は再犯率低下の効果が低い。加害をやめつづけるための治療が有効なアプローチ。つい厳罰化を望んでしまうが本質は被害を減らすことでそのためのアプローチを忘れないようにしたい

★かなり読むのがしんどかった。けど勉強になった。加害する人間がいる前提で子どもを守るために、1人にしないとか、最低限の知識を伝えるとか、何か違和感感じたときにいつでも共有してもらえるような関係作りが必要だと思った。自分はオタク文化に寛容でフィクションと現実は別だしエンタメとしてオタク文化大事と思っているが、イラストなどであっても児童ポルノが蔓延する社会とそれを許容する価値観、ムードが性加害する人間と地続きの社会を作り出しているというのは本当にその通りだと思った。オタクの大人として文化を守るためにこそしなければいけない規制もあるのではと感じた。   

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年07月06日

小児性愛に特化した防止プログラムがあることを初めて知った。加害者の多くは「僕たちは愛し合っていた」などの認知の歪みがあり、現実が全く見れてないことに絶望した。子どもは無垢な存在であり、そんな子どもと恋愛関係にある。それは成人女性との恋愛と比べようもないほど純度が高く特別。相手よりも性的に優位に立ちた...続きを読むいといった身勝手さが気持ち悪く感じた。吸い込まれるように着いて行った、というところからも依存症なのだろうと感じる。

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Posted by ブクログ 2020年10月28日

犯罪者と私は明確に違うつもりで読み始めたが、実は境界は曖昧で私もきっかけがあればそっち側になってしまうかも、、、と不安になってきた。
弱い者を虐げる犯罪をなくす為には犯罪者を隔離するよりもみんながストレスフリーな世界を目指す必要があるのかな。壮大。

子どもが性犯罪の被害に遭わないために手に取ったの...続きを読むだが、下記が重要。
・犯罪機会論に沿って危険な場所に近づかないよう教える。
・どういう行為が性犯罪にあたるか教え、被害に遭ったら親に伝えるよう教える。

あと小児性愛アニメについては、それが犯罪率を上げる、下げるという明確なエビデンスはないが、臨床の現場にいる筆者としては犯罪率を上げると思われる、とのこと。

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Posted by ブクログ 2020年03月02日

小児性愛者、ペドフィリア、ロリコン。
彼らの認知は歪んでいる。フリーズした状態を受け入れた、同意があったと思い込み、子供から求めてきたと信じ込む。
挙げ句の果てに、LGBTと同じ文脈で語られるべき、とまで。
本書には、実際の加害者の言葉も綴られている。
もし、自分が被害者なら、知人の子が被害に遭った...続きを読むら、ありとあらゆる暴言を浴びせ、GPSで管理し、人権を剥奪しろと言われたら同意してしまうかもしれない。
でも、心を落ち着かせて読んでみよう。
彼らの論理は何か。
なぜ独特の思い込みに至るのか。
何が問題か、再犯防止のために何が必要か。
そういった論点を非常に丁寧に、かつわかりやすく書いている。
扱う内容は悍しく、苦しい箇所もあったが、これらを知ることで、何かが、変わるかもしれない。

本書で議論になりそうな箇所は「児童ポルノ」について。
著者は「児童ポルノは確実にトリガーになりうる」(119頁)と断言する。
表現の自由との兼ね合い、また、単純所持だけなら犯罪抑止になるという反論についても、臨床の立場から異論を唱える。
「現実とファンタジーの区別はつく」という抗弁に対しても、真っ向から批判する。
欲望は増幅する。
初めは2次元で我慢していても、だんだん欲求が高まり、ばれなかったことに味を占めるものがいることは間違いない。

206頁、「被害者が加害者を許さなければならない謂れは、全くありません」
257頁、「日本は、「女性は男性の性を受け入れなければならない」という社会通念がとても根強い国です。」
258頁、「日本は女性にかわいさと未熟さを求める社会であり、女性に男性の性欲を引き受けさせる社会です。どちらも、女性と男性が同等であれば起こりえないことです」
260頁「自分の中にある加害者性と向き合う必要があります」
私たちが生きる社会はとても未熟だ。
だからこそ、こういった指摘を真摯に受け止め改善していくべきだ。
もし、それが果たされないのであれば、こどもたちだけではなく、私たち大人にとっても決して安全ではなく、また過ごしやすい社会にはなりえないだろう。

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Posted by ブクログ 2020年10月18日

150人を超える小児性犯罪者に関わってきた著者が、データをもとに、子どもに性加害をくり返す者はどんな人物であり、どのような背景があるかを探る。その病理に光を当て、加害行為を“やめ続ける”ための方法を解説する。

依存症。認知行動。

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Posted by ブクログ 2020年07月27日

どこか薬物依存と似ているな、と思いました。
薬物依存もどこか精神的に不安定な人がふとしたきっかけで初めてしまう印象。

ただ処罰をするだけだったらもうすでに犯罪率は下がっているはず。
精神的な矯正が必要なんだだろうな。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月23日

過去にこの方の「万引き」と「痴漢」を病として扱った本を読みました。今回は「小児性愛(ペドフィリア)」子供に向けた性暴力の本です。

私には6歳になる姪っ子がいるのですが、この本の加害者の言葉が出てくるたびに頭の中を姪っ子の姿がちらつきました。今すぐ姪っ子に「水着で隠れる部分は、人に見せたり見せられた...続きを読むりしないものだからね。」と教え込みたい気分になりました。
この本はただ加害者をあげつらうだけではなくて、どういう共通点があるか、治療につなげていくかというのが書かれているのが救いです。また、トリガーがあって、再加害してしまう彼らの心理はアルコールや薬物をスリップしてしまうのと近いものだという事も分かりました。でも、スリップと違うのは、小児性愛を持つ彼らがスリップしたら確実に被害者を産むという事。これは、性犯罪やDV等の暴力でも起こりえます。

性犯罪を犯した人は一生刑務所から出てくるな。とか去勢してしまえという意見も聞きますが、それが非現実的でそれだけでは再犯を防止できないというのが現実であるという事も分かり、今後似た様な意見を聞いた時に私はどう考えるのだろうと思いました。病とみなして治療につながってほしいと純粋に考えられるのか分かりません。

ラストに実際の小児性愛者(治療中)との対談がのっているのですが、自分の考えをちゃんと持っていて、10年以上加害をしていない彼はこの問題とちゃんと向き合い続けているのを感じました。だからと言って加害は許されるものではありませんが。

本当に、本当に身近にいる子供たちが被害者にならない社会になることを祈りたくなる本でした。加害者の言葉を読んでいて背筋がぞくぞくしました。

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Posted by ブクログ 2021年05月09日

小児性愛に至るまでのプロセスと、再発防止の取り組みが深い論考の下記載されています。
人間だれしも、このような「ダークサイド」を持っていると思わなければいけないことを改めて自覚しました。

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